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The Chieftains『ヴォイス・オブ・エイジス』

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o-cha-no-ma LONG REVIEW
公開
2012/03/14   12:25
ソース
intoxicate vol.96(2012年2月20日発行号)
テキスト
text : 天辰保文

T・ボーン・バーネットをはじめ豪華メンバーが集結した結成50周年の記念作

チーフタンズ、結成50周年記念だそうだ。30年、40年はいても50年となるとなかなかいない。それだけでもすごいが、共演者たちの顔ぶれをみて驚いた。以前、『ロング・ブラック・ヴェイル』ではミック・ジャガーやヴァン・モリソンなどが参加、豪華さには驚かされない。むしろ、こうやっていろんな人たちとの共演を通じて、アイルランドという地のキャンバスに未知の新しい絵を描いていく。我々は、そこに現れる新しい景色を眺めながら、音楽の至福に酔う。それこそが、チーフタンズを聴き続ける理由だ。

今回の共演者は、現代を象徴する気鋭ばかり。同郷アイルランドのリサ・ハニガンはともかくとして、例えば、ボン・イヴェールだ。米国ウィスコンシン出身のシンガー・ソングライター、ジャスティン・ヴァーノンのソロ・プロジェクトで、今年のグラミー賞では複数部門でノミネートされるなど、いまもっとも注目されている。シヴィル・ウォーズとディセンバリスツも、グラミー賞のノミネート組だ。殊に、ディセンバリスツは、REMのピーター・バックが肩入れした『ザ・キング・イズ・デッド』が全米チャートで1位になった。他に、米国インディーズ系の有望株ロウ・アンセムの名前も見える。元ニッケル・クリークの天才マンドリン奏者クリス・シーリーが率いるパンチ・ブラザーズは、評判通りの快演を披露してくれるし、スコットランドの若手パオロ・ヌティーニのように、地方色を滲ませながらトツトツとした歌声で、ここならではの魅力を披露する人もいる。

プロデュースは、T・ボーン・バーネット。もちろん、彼が仲介役として重要な働きをしたことはわかる。それでも、そのアイディアなりを受け入れ、対応するには普段から柔らかく感覚を磨いていなければならない。そこが、このチーフタンズの素晴らしいところだし、宇宙飛行士キャディ・コールマンを迎えるアイディアなんてつくづく頭が下がる。なお、中心人物パディ・モローニは、今年74才だ。

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