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ユニバーサル映画100周年記念『ジョーズ』『E.T. 』 初ブルーレイ化!

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公開
2012/08/17   22:08
ソース
intoxicate vol.99(2012年8月20日発行号)

ジョーズ(1975)

見えていなかった海草が見える! 驚きの高画質&高音質

人を楽しませたいという1人の男の夢。目標は、世界最大の映画スタジオを作ること。1912年にカール・レムリによって設立されたユニバーサル映画が今年で100周年を迎える。ちなみに今年は、パラマウントや日活も同じ100周年という映画史的に記念すべきアニバーサリー・イヤー! そんな中、各社とも世界的なブルーレイ・マーケットの拡大に合わせてカタログのブルーレイ化に力を入れている。そして遂に、待ちに待った、スティーブン・スピルバーグ監督の代表作『ジョーズ』と『E.T.』が初ブルーレイ化となる。

私自身、初めて『ジョーズ』を観たのは、小学校低学年の時に観たTV放映版。今でも覚えているのは、その頃、夢中になっていた未知の生物を主軸においた非現実的な映画の怖さをはるかに凌ぐのが、現実的な怖さを描いたものだと知ったこと。しかしそれは、私だけが感じたことではないようで、『ジョーズ』の公開当時、スクリーンで観た人の多くが現実的な怖さを体験したくて劇場に足を運んだと聞く。その結果、日本での興行収入は約100億円! 1970年代洋画部門でも1位の成績を残した。

まず、今回のブルーレイ版を観て思ったのは、冒頭の海中シーンだけで、今までのDVD版とは比べものにならない高画質(見えていなかった海草が見えるほど!)と、音の奥ゆきと広がりが桁違いになった音響に驚かされる。それもそのはず、今回のブルーレイ化には、スピルバーグ監督本人も携わっており、撮影された頃のままにオリジナルネガを修復し、更に昔より画質が鮮明になったと断言している。詳しくは新しく映像特典に加わった『フィルムの修復』を観て頂きたいのだが、どのようにして修復をしたのか、修復前と修復後の対比など、この映像特典だけでも買う価値は大きい。なかなか、この凄さを伝えるのは難しいのだが、スピルバーグ自身がこう発言している。「画質も音質も飛躍的に向上した。僕では到達し得なかったレベルにまで」。これが決して大袈裟ではないことを是非、ブルーレイで確認してもらいたい。そして、『ジョーズ』を初めて観た時のあの高揚感を再び体感できるはず!

また、100分を超える新しい映像特典『伝説は終わらない:作品の反響と影響』が実に素晴らしい! ここでは『ジョーズ』の裏話と撮影時の秘蔵映像が収録されているのだが、今まで観たことのない映像ばかりで、トラブル続きだった撮影の真相が全て当事者の証言と映像で明らかに! 考えてみれば、『ジョーズ』撮影時のスピルバーグは、27歳! まだ、世界規模でのヒット作がなかっただけに周りからの圧力も凄かったとのこと。この映像特典は、『地獄の黙示録』の撮影を追ったドキュメント『ハート・オブ・ダークネス』級と断言しても過言ではない!

E.T.(1982)

『ジョーズ』のブルーレイ化だけでも満腹なのだが、11月には何と!『E.T.』の初ブルーレイ化が決定しているという。現時点では、まだ未確定な部分も多いが、新しく追加される映像特典もあるとのこと。そして、1991年に金曜ロードショーで放映された際の日本語吹替え(エリオット:浪川大輔氏)が収録される事が決定している点も嬉しいかぎり! 映像自体は現在製作中で未見ですが、『ジョーズ』のブルーレイ化のクオリティを考えれば事前期待値をはるかに上回ることは間違いなさそうです。

最後に私自身、新宿店でDVDのバイヤーを勤めておきながら、実はブルーレイ・デッキを1年前まで持っていなかった(白状します…)のですが、こうやって映画史を語る上で絶対に外せない作品がどんどんブルーレイ化されていく現状は非常にありがたいと同時に作品の背景や影響を知ることが出来て勉強になる次第。自分が幼少の頃に初めて観た高揚感を再体験出来るだけでも素晴らしいメディアだと痛感させられます。もし、この現状をユニバーサル映画の創始者、カール・レムリが知ったら、どう思うのだろう? 人を楽しませたいと夢みたことが100年経った現在でも映画というフィルターを通して充分通用するのだと安心するのではないでしょうか。

Film ©1975 UNIVERSAL STUDIOS. ALL RIGHTS RESERVED.
Artwork and Packaging Design ©2012 Universal Studios.ALL RIGHTS RESERVED.

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