チャン・ギハと顔たちでギタリスト/プロデューサーを務める日本人メンバー・長谷川陽平が、ソウルは弘大(ホンデ)に集まるミュージシャンの生態に迫る連載! 第4回は、観光客御用達の繁華街からちょっと離れた、弘大のはずれにある穴場スポットを紹介します。
コプチャンジョンゴル看板
何度も書いてしまいますが――昼の弘大は穏やかに、夜の弘大はアーティストたちが穴蔵みたいな店に溜まる……なんてことは、もう何年も前になくなってしまった感があるんですよね……。昔からの〈弘大派〉にはちょっと寂しい気がするものの、また新しい文化が発信されているのも事実であります。でも何だか盛り場的な中心を避けてしまう……というのが、私の正直な感覚なんですよねえ……。
魔の通り沿いにある店にて、その1
弘大入口駅から合井駅、弘大正門~上水駅あたりのエリアがいわゆる盛り場的な中心地となるわけで、クラブやライヴハウス、カラオケやチェーンの呑み屋が密集しており、もう週末の夜はライトがギラギラ、街に流れているさまざまな曲が混ざってグヮ~という轟音が鳴り響く感じでありまして……。遊びに来た大学生や会社員が〈おい、次はカラオケだろ、やっぱ!!!〉などと叫んでいたり、道端で酔い潰れた人が介抱されていたり、カップルが大喧嘩していたりー―夜の1時を回っても、日曜日の竹下通り並みの人なんですよ。
……まあ韓国に限らず、ミュージシャンは舞台でデカい音を出して、普段は静かに、という方が多いのではないでしょうか?? 今回はミュージシャンたちが〈呑み〉を楽しんだり、しっとりとした打上げに使うようなお店が立ち並ぶ、〈ちょっと落ち着くストリート〉をお教えいたします。弘大の夜を、少し静かに過ごしてみたいという方にオススメですよ!!
まずは以前にも紹介した〈コプチャンジョンゴル〉のあるワウ山路29キル(地図上の名称で、〈キル〉は道、という意味)。ここには〈コプチャンジョンゴル〉の他にも、〈クラブBbang〉というライヴハウスや、オープンエアーでビールが楽しめるバー、ドリップ・コーヒーが楽しめる〈コーヒーラブ〉、豚の皮焼きを出す焼肉屋、さらに〆の韓国ラーメンまで行けるキンパプ(韓国ののり巻き)屋さんまで揃っているイイ通りであります。週末の夜にこの道を歩いていると、千鳥足の弘大ミュージシャンに100%遭遇――私にとっては、行ってしまうとすぐには帰れなくなる魔の通りでもあるのですが……。
魔の通り沿いにある店にて、その2
そしてもうひとつ、こちらもカフェとバーが建ち並ぶストリートであります。地下鉄6号線・山水駅と合井駅の間に位置するヤンファ路6キルです。通りの入口部分には中堅~人気バンドが出演するホール〈Rolling Hall〉があり、入ってすぐの場所には弘大バンドの打ち上げ開催率No.1ではないかと噂される焼肉屋〈ユッカッパネ〉があります。弘大ミュージシャンなら一度は口にしている焼肉と、〆のキムチカルククス(キムチうどん)が焼酎で酔った身体に染み渡ります!! 強力にオススメ!!
弘大のど真ん中よりも落ち着いている弘大のはずれで、ゆっくりと雰囲気を味わうのも良いですよ。ミュージシャンが思う〈わが地元・弘大〉の雰囲気を目と心に焼き付けられること間違いなしであります……!!
PROFILE/長谷川陽平
韓国のバンド、チャン・ギハと顔たちのギタリスト兼プロデューサー。95年に韓国へ移住し、トゥゴウン・カムジャやサヌリム、ファン・シネ・バンドなどで活動。現在は他にもミミ・シスターズや美男美女の〈美男〉ギタリストを務めたり、若手パンク・バンドのルック&リッスンのプロデュースなども手掛けている。最近はそのルック&リッスンと世界のパンクな名曲カヴァーを練習中! いつもここでつぶやいてます→twitter.com/#!/lghopper_yohei