THE BEACH BOYS 『That's Why God Made The Radio』 Capitol(2012)
夏、砂浜、車、そして恋。古き良き西海岸の風景が色褪せることなく音としてここにあるという奇跡。ブライアン・ウィルソンと縁深いヴァン・ダイク・パークスのライヴに、ダニエルが出演したのも素敵じゃないか。 *佐藤
Teen Runnings 『LET'S GET TOGETHER AGAIN』 Jaune Orange(2012)
音の重ね方などでビーチ・ボーイズの影響下にあるグリズリー。京都のレーベルから新作を出したばかりのこのバンドは、その感覚をよりデフォルメ。過剰にリヴァーブをかけた処理はグリズリー以上にトランシー。 *岡村
踊ってばかりの国 『FLOWER』 mini muff(2012)
USのルーツ音楽をディグしながら、トリップ感をも追求する……という点で共通している両者。今回の新作でも関西出身の4人組はアレンジに幅を持たせ、グリズリーはバンドとしての一体感を見せるなど、ここにきて共に新たな挑戦も。 *岡村
ANIMAL COLLECTIVE 『Centipedo Hz』 Domino(2012)
久々に4人編成に戻って大いに発奮した動物たちの最新作は、過剰な音の情報量とエフェクトをひたすらアグレッシヴにぶち込むことで〈原点怪奇〉したパノラマ大陸奇談。そのなかで、ビーチ・ボーイズ風のメロディーもキラキラと。 *佐藤
DANA BUOY 『Summer Bodies』 Yacca(2012)
アクロン/ファミリーのパーカッショニストによるソロ・ユニットが奏でるのは、極上の楽園ポップ。フォーク界の大先輩、ポール・サイモンのワールド・ミュージック指向や、アニコレの無国籍なトライバル感をコアに突き詰めたという趣も。 *佐藤
POOR MOON 『Poor Moon』 Sub Pop(2012)
フリート・フォクシーズもヴァン・ダイク・パークスと共演しており、グリズリーとは良きライバル関係。フォクシーズのメンバーを中心としたこのユニットはさらにコーラスに重点を置いていて、音の厚みにおいてはグリズリーと双璧をなす。 *岡村
HUSKY 『Forever So』 Sub Pop(2012)
サブ・ポップが発掘したメルボルン出身の4人組。自宅のコテージを改造して録音したというこの初作はレーベルメイトのフォクシーズを想起させながらも、(バンド名とは裏腹の)ヴォーカルの甘い声質が、南半球的なポップ感を醸し出している。 *佐藤
BOB DYLAN 『Tempest』 Columbia/ソニー(2012)
2000年代以降の彼が無敵なのは、積極的に自分の根幹でもあるUSのルーツ・ミュージックをさらに掘り下げ、常にモダンに取り組んでいるから。この新作でも軽やかに解釈しており、グリズリーやフォクシーズらと共振して聴こえる。 *岡村
DAN SAN 『Domino』 Jaune Orange(2012)
USで蒔かれた種は、国境を越えて欧州にまではるばる飛んできた。ベルギー出身の6人組によるデビュー作は、グリズリーやフォクシーズらが描いたフレスコ画をヨーロッパ流に精緻に修正し直したかのような、ミステリアスで繊細な歌を聴かせる。 *佐藤
DUSTED 『Total Dust』 Polyvinil(2012)
カナダのポスト・ロック・バンド、ホーリー・ファックのメンバーとオーウェン・パレットの過去作に参加していた人物によるデュオ。埃まみれのローファイ・サウンドとメランコリックな旋律の隙間から、米国のうらぶれた原風景がうっすらと浮かび上がる。 *佐藤
OGRE YOU ASSHOLE 『100年後』 バップ(2012)
ギター・ロックから密室的なサイケにシフトしてきた長野のトリオ。エドのソロに始まりバンド感を強めたグリズリー・ベアとは辿ってきたルートは逆で、歌の温度に違いもあるが、フォークとサイケをミックスしたようないまの音楽性は近い。 *岡村