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第63回――永遠のトータル・エクスペリエンス

年末年始を吹き抜けるリイシュー

連載
IN THE SHADOW OF SOUL
公開
2013/02/01   20:35
更新
2013/02/01   20:35
ソース
bounce 351号(2013年12月25日発行号)
テキスト
文/出嶌孝次


師走の冷え込みにはソウルで防寒! まずはフィリップ・ウィンがスピナーズ脱退後に発表した77年のソロ・デビュー作『Starting All Over』(Cotillion/ワーナー:1)が世界初CD化です! ド定番が揃ったアトランティック千円復刻100枚のひとつですが、パースエイダーズの『Best Thing That Ever Happened To Me』があったり、廉価シリーズとは侮れませんよ。

次もデトロイト・ソウルの逸品、ジーニー・レイノルズが77年に残した『One Wish: Expanded Edition』(Casablanca/Expansion/DIZZARE:2)が初CD化です。ドラマティックスを率いるLJ・レイノルズの実妹ということで、LJはもちろん名匠ドン・デイヴィス軍団が全面サポートしたスムースな仕上がりでございます。

続いては魔法のランプ繋がりで、ミラクルズの結果的に最終作となった78年の『The Miracles』(Columbia/SoulMusic:3)が、前年の『Love Crazy』と共にCD化! セールス面では一気に失速していった時代のブツになりますが、当時のディスコ気分に屈託なく寄り添うビリー・グリフィンの歌いっぷりは、以降のソロでの成功を予見させる清々しさです。

最後はキューバ・グッディングがモータウンで作った78&79年作の、2in1による復刻盤『The 1st Cuba Gooding Album/Love Dancer』(Expansion/DIZZARE:4)を推薦。アーバン界隈の絶対的傑作として知られる初作は以前も復刻されていましたが、『Love Dancer』は今回が待望の初CD化です。モダン・ソウル文脈から再評価を受ける、マイケル・ラヴスミスの洒落たフィーリングがたまりませんね。……他にも山ほど出てるので、年末年始はソウルに酔いましょう。