アレシャンドレ＆エグベルト・ジスモンチ
©Milton Montenegro / ECM Records
菊地成孔とペぺ・トルメント・アスカラールは、彼が自らの表現の核としてこだわっているアフロポリリズムをアコースティックで表現する「ストレンジ・オーケストラ」。南米大陸の土地の精霊のようなパーカッションに、ヨーロッパ伝統のストリングス、そしてオペラ歌手、林正子のソプラノが融和したサウンドは、実在する女優の妄想などのイメージを下敷きに、結果、官能という肉体的な感覚そのものをみごとに音楽化してくる。まあ、世界広しといえども、このようなアプローチの表現は珍しいことと思う。
ポスト・クラブ時代のジャズのありかたは、世界で様々な若手がコンセプチュアルにかつ肉体的に試みているが、SOIL&"PIMP"SESSIONSは、今や、世界のビッグフェスの常連。ロックにも通暁するジャズのパワーとハードコアさを身上に、ダンス、というこれもまたジャズのDNAを刺激するサウンドは、その熱量こそを堪能したいもの。今回はホーン・セクションを拡大したビッグバンド編成で、いったいどこまでヒートアップするのかな、と期待大。
エグベルト・ジスモンチは、音楽のジャンルを超えて、心あるミュージシャンたちに影響与えてきた巨人（私的にはキース・ジャレットのモア音楽ファン版、そして、ザッパから資本主義の毒を抜いた感じと言いますか）で、その表現はもはや宇宙や精神世界すら要素に入ってくるような恐るべき雑食性を誇る。今回は愛息とのギターデュオで登場。複雑系で語られることの多い彼の音楽だが、メロディやグルーヴの魅力などその表現の骨格を見届けるのにはまたとない機会です。
マイルスの黄金期を支えた、ウェイン・ショーターは、何と言っても、伝説的フュージョン・グループ「ウェザーリポート」を結成し、ジャズの閉塞感に穴を開けた人物。ブラジル音楽を含め、世界のあらゆる音楽をプレイに取り込み、消化し、ジャズの多様性と豊かさを掘り起こした80歳を迎えようとするエヴァンジェリストは、このラインナップの父親たる存在。80歳迎えようとするその強靭な胃袋プレイは、体験しておく意義があると思われます。
そういえば、出演メンツ中、半分がビッグバンド形式なのにも注目。ビッグバンドは楽譜的な決めごとありきゆえに、オールドスクールと捉えられているのにもかかわらず、このようなアプローチが浮上してきていることの意味も感じ取りたい今回なのだ。
JAZZ WEEK TOKYO 2013｜ 3/22（金）～3/27（水） 会場：渋谷ヒカリエ 東急シアターオーブ
八代亜紀
ゲスト：日野皓正
3/22（金）18:30開場/19:00開演
ピンク・マルティーニ
3/23（土）14:00開場/14:30開演
3/24（日）13:30開場/14:00開演
菊地成孔とペペ・トルメント・アスカラール
ゲスト：林正子（ソプラノ）他
3/26（火）18:30開場/19:00開演
ソイル＆“ピンプ”セッションズ プレゼンツ・ソイル＆“ピンプ”・ビッグバンド
3/25（月）18:30開場/19:00開演
ウェイン・ショーター・カルテット
feat.ジョン・パティトゥッチ、ダニロ・ペレス、ジョナサン・ピンソン
3/23（土）18:30開場/19:00開演
3/24（日）18:00開場/18:30開演
エグベルト＆アレシャンドレ・ジスモンチ
3/27（水）18:30開場/19:00開演
