ロック好きの大学生が集まって放課後タイムにダラダラおしゃべり! 専攻科目よりも皆さんロック史の研究に夢中なようですね!!
NEW ORDER 『The Lost Sirens』 Warner UK/ワーナー
寒かった冬の日々も終わり、ようやく穏やかな季節へと移ろいはじめた春休みのある日。ここはT大学キャンパスの外れに佇むロック史研究会、通称〈ロッ研〉の部室であります。まりあの号令のもと、新入生勧誘の準備で集まったようですが……。
子安翔平「ジョンよ、どれだけニュー・オーダーを聴いたら気が済むんや。もう4周目やで」
杉田俊助「Oh〜! 何しろミーにとってはゴッド・バンドだからネ! ガッラビ〜ラ〜イ、ウェィクアッ♪」
生麦 温「へ〜、僕はいま初めてこの『The Lost Sirens』を聴いたよ。凄くいいね!」
子安「大幅に遅刻してきたからやろ、ボケ」
生麦「あ、ゴメン。これって2005年作『Waiting For The Siren's Call』レコーディング時のお蔵入り曲を中心にまとめた未発表音源集でしょ?」
杉田「Yes! でもアウトテイクとは思えないほどハイクォリティーだヨ、Ha! Ha! Ha!」
生麦「最近はハーツやデルフィック、エヴリシング・エヴリシングにエジプシャン・ヒップホップなどなど、マンチェスター発の若手バンドが奮闘しているけど、やっぱりニュー・オーダーは貫禄が違うね」
子安「せやけど、〈ダンサブルなシンセに哀愁メロディー〉っちゅう、金太郎飴的な音楽ではあるわな。1曲目なんて往年の名曲“Regret”にそっくりやで」
杉田「アンビリーバブル! ユーの耳はヴェリー・チープだネ! ガッカリだヨ!」
子安「何でやねん! 俺が言いたいのは良い意味で類型的な音、つまり聴けば誰にでもわかる〈ニュー・オーダー節〉が確立されているってことや」
杉田「Oh〜、なるほどネ! そういえばブライアン・ジョーンズタウン・マサカーも、このスタイルのオマージュだかパロディーだかを披露していたヨ!」
生麦「あ、そうだ! 〈和製ニュー・オーダー〉ことサカナクションを買ってきたから聴いてみようよ。ポチッ!」
杉田「P76で紹介しているブランニューだネ。……う〜ん、全然似てないヨ! フィジカルでアッパーな昂揚感とセレブレーションなフィールがもう少し欲しいかナ!」
子安「意味わからんわ。まあ、ニュー・オーダーのフォロワーは数多いんやけど、あの金太郎飴サウンドになかなか到達できんのは確かやな」
生麦「前々から思っていたんだけど、彼らのセンチでキラキラした音とヴォーカルってさ、少しネオアコぽいよね。マイティ・マイティとか、青臭いという意味では近いかも」
子安「そりゃ一理あるわ」
生麦「じゃあ、そろそろひと休みしてお茶でも飲もうか!?」
汐入まりあ「ひと休み!? さっきからお喋りしてるだけじゃないですか! 皆さんはいったい何しに来たんですか!?」
杉田「マリーア、日本のコトワザでも〈笑う過度には服着たら〉ってあるヨ! スマ〜イル! Ha! Ha! Ha!」
汐入「……」
子安「でも、まりにゃんだってニュー・オーダー好きとちゃうの?」
汐入「そ、それは好きですけど……。4月に大磯で行われるハシエンダの30周年パーティーにはフッキーが出演するらしいので、行くつもりです」
生麦「フッキーって吹石一恵だっけ!?」
汐入「ピーター・フックです! でも私、ファクトリー・レーベル周辺ならばセクション25のほうがツボです」
杉田「流石、マリーアはビター・テイストだネ!」
子安「で、話をニュー・オーダーに戻すと、フッキーとバーナード・サムナーは脱退だ解散だとしょっちゅうモメとるけど、いまはちゃんと正規メンバー4人で活動していて嬉しいわな」
生麦「2011年に何度目かの再結成を果たして、去年は〈サマソニ〉に出たよね」
杉田「今年の〈コーチェラ〉にも出演するヨ! チャリティー目的で再結成したわりにはコンスタントに活動しているから、ミーはハッピーだネ!」
汐入「新作のレコーディングに入るなんて噂もあるみたい…って、つい私まで会話に加わってしまったじゃないですかっ!」
子安「まあまあ。オンちゃん、もう1杯、熱〜いお茶プリーズ!」
生麦「ハイハ〜イ、新しいオーダー入りました。これがホントの……」
汐入「本気でキレてもいいですか!?」
一向に新勧の準備が進んでないようですが……。思えば昨年はモコやエージがせっせとポスターやビラを作っていましたっけ。時の経つのは早いものです。1年後、この部室にはどんなメンバーが顔を揃えているのやら。 【つづく】