目下イギリスで人気沸騰中! ジプシーの古謡をタイムレスに奏でる注目の新鋭
サム・リー、とは言っても、香港の俳優とは違う。Sam Leeと、スペルも同じなのに、映画『ピンポン』で日本でもお馴染みの香港の俳優とは違う。こちらは、英国のミュージック・シーンで評判のフォーク・シンガーだ。
なにしろ、デビュー・アルバムとなる『Ground Of Its Own』は、ヨーロッパ・ワールド・ミュージック・チャートで1位を記録、英国のマーキュリー賞の年間ベスト・アルバムにノミネートされた。「BBC Radio 2 Folk Awards 2013」では、年間ベスト・アルバム、ベスト・シンガー、ベスト・トラディショナル・ソングの3部門にノミネートされるといった具合だ。
1980年生まれだから、今年33才。若い頃は、シンガー・ソングライターを目指したり、ジャズやR&Bに夢中になったり、バレー・ダンサーへの道を模索したこともあったが、ブリテン諸島の伝統音楽との出会いが彼の人生を変える。それも、畏まったものではなくて、流浪の民ジプシーたちが生活の中で伝えてきた歌の数々との出会いだ。
アルバムで歌われているのは、だから、古い歌の数々だ。ところが、一聴してわかるように、単純に伝承歌をなぞり、歌っているのではない。何処から見つけてきたのかその使用楽器を含めて、風変りというか、何処にもなかったような、誰もやったことのないやりかたで、現代に響かせる。
人によっては、ワールド・ミュージックの未来をそこにみるかもしれないし、フォーク・ミュージックの行き着く先だと言い切る人もいるかもしれない。エレトクロニカの新しい可能性をみる人がいてもおかしくないし、音響系の鬼才と紹介する人がいても不思議ではない。彼の歌声から、遠い時間の彼方に潜む人間の叫びを聴き取る人もいるだろう。そのどれにも当てはまるし、どれにもあてはまらない。
終始、静かなトーンで統一されている。深い森を歩き、木々の一つ一つに触れて、その生命にそっと耳を澄ます。そういう細やかさと同時に、空高く浮かぶ雲をひょいとつかみとる大胆さも備え持つ。例えば、そういう音楽を楽しませてくれるのだ。
LIVE INFORMATION
「アルバム発売記念ライヴ」
6/20(木)EATS and MEETS Cay
『LAU来日公演2013』にもゲストで出演予定(渋谷 Club Quattro公演のみ)
6/17(月)梅田 Club Quattro
6/18(火)名古屋 Club Quattro
6/19(水)渋谷 Club Quattro