THE STROKES
これはイイ!というよりは、おもしろい!!といった印象。ガレージ・ロック・リヴァイヴァルを推進し、2000年代のロック・シーンをリードしてきたNYの5人組、ストロークスが約2年ぶりに完成させた5作目『Comedown Machine』のことだ。そっけないアートワークからして、中身だけで勝負したいというメンバーの熱い思いがヒシヒシと伝わってくるだろう。ギターのタッピングとジュリアン・カサブランカスのファルセット歌唱が印象的な80sディスコ調の“Tap Out”で幕を開け、その後もさまざまなエフェクトを駆使しながら立体的にリズムが組み立てられていく。得意のロックンロール・チューン“All The Time”も間に挿まれるものの、それよりはファンク、ダブ、ジャズなどの要素を呑み込み、ギター・ロックの可能性を押し広げようという野心が感じられる楽曲群に、耳を奪われるはずだ。
賛否両論を呼んだ前作『Angles』(2011年)の路線をさらに追求したようなこの新作を、僕らはストロークスの新たなデフォルトと認識するべきなのか。またまた物議を醸しそうな予感がするが、そんななかストロークス・チルドレンも同じタイミングに続々とアルバムを発表中。このコーナーで紹介している作品を聴きながら、今後のロック・シーンの行方を占ってみるのはいかがだろう。