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第14回――【今月のレポート盤】JEFF LYNNE 『Armchair Theatre』

連載
ろっくおん!
公開
2013/04/24   00:00
ソース
bounce 354号(2013年4月25日発行)
テキスト
構成/だし巻き玉子


ロック好きの大学生が集まって放課後タイムにダラダラおしゃべり! 専攻科目よりも皆さんロック史の 研究に夢中なようですね!!



JEFF LYNNE 『Armchair Theatre』 Reprise/MARQUEE(1990)

爽やかな春風が心を浮き立たせる今日この頃。ここはT大学キャンパスの外れに佇むロック史研究会、通称〈ロッ研〉の部室であります。おや、今日は見慣れない顔が……。

子安翔平「だはは、女の子が揃って2人も入部するなんて夢のようや! キミたち、もう一度名前ええかな?」

川崎美奈「ハイ、川崎美奈です! ミーナって呼んでください!」

梅屋敷由乃「美奈さんに誘われて入部した梅屋敷と申します。よろしくお願いします」

戸部伝太「会の存続という意味で、部員が増えたことはめでたいですな。が、それよりも祝福すべきは、ジェフ・リンのソロ・デビュー作『Armchair Theatre』がリイシューされたことでしょう」

子安「データ、お前はどこまでKYなんや」

梅屋敷「あら、ジェフ・リンさんというお名前には聞き覚えがあります。どのようなお方ですか?」

戸部「ふふん。70年代に一世を風靡したエレクトリック・ライト・オーケストラ、通称ELOのリーダーですよ。以前に名曲“Twilight”が俗なTVドラマの主題歌に使用されたようですが……」

川崎「それって〈電車男〉じゃない!? 伊藤淳史って可愛いよね〜」

戸部「小生はTVなど一切観ないのでわかりませんがね。で、バンド解散後の90年に発表されたのが本作というわけですな」

子安「ELOはフル・オーケストラやシンセを大胆に使用した分厚いサウンドが持ち味なんやけど、ソロでは過剰な装飾は控えめで、もうちょいオーガニックなんよな。それでもメロディーが際立ったジェフ・リン節満載のポップな名作になっていて、実は俺も大好きや」

戸部「チャート的にはあまり振るいませんでしたが、愛着のあるファンが多いようですな。一度もリイシューされないまま長らく廃盤状態が続いていたので、喜ばしい限りですよ」

子安「しかも本人による最新リマスタリングに加えて、ボートラも3曲収録されているのが嬉しいやん!」

戸部「せっかくなので、1年生諸君に聴かせてあげましょう、ポチッと」

梅屋敷「ビートルズのようですね」

戸部「貴女はなかなか鋭いですな。彼は95〜96年の〈ビートルズ・アンソロジー・プロジェクト〉にもプロデューサーとして関わっているほど縁が深いですからね。しかも実際に本作にはジョージ・ハリスンとリンゴ・スターも参加していますし」

子安「改めて聴くと、独特なエフェクトを掛けたドラムの音が、いかにもジェフやね〜。同じ頃にプロデュースしたジョージやトム・ペティ、ロイ・オービソンらのアルバムでもこのサウンドが特徴的やったもんな」

梅屋敷「バシャバシャとしたおもしろい音ですね。私、好きですわ」

川崎「あっ、新しいbounce見っけ! 表紙はヴァンパイア・ウィークエンドね、大好き(もはや完全に飽きて独り言)!」

戸部「……ところで今回は2001年のELO再結成作『Zoom』と、そのリリースに伴って一度だけ行われたライヴの音源集『ELO Live』も同時に登場したのですが、これも実に素晴らしかったですぞ!」

子安「確か『Zoom』はリマスタリングされていて、〈Live〉は初CD化やったな」

戸部「で、2001年以降あまり音沙汰のなかったジェフが、2012年になってバディ・ホリーのトリビュート盤〈Listen To Me〉に参加し、さらにジョー・ウォルシュの『Analog Man』をプロデュースしたのには驚きましたよ」

子安「しかもその後に、突如ソロ2作目『Long Wave』とELOの再録ベスト盤〈Mr. Blue Sky〉を同時リリースしたのには、もっとブッたまげたわ!」

梅屋敷「では最近また活発にご活動を始められたのですね。その流れのなかで今回のリイシューも実現したということでしょう」

生麦 温「みんな〜、お茶を煎れたよ。そういえばフジファブリックもELOに影響受けているらしいね」

梅屋敷「あら、もうおひと方いらしたのですね、気付かずに申し訳ございません」

生麦「いつものことだから……あ、僕、会長の生麦です」

川崎「ちょっと! イケメンがいるなら最初に言ってくださいよ〜!」

汐入まりあ「おはようございます! あ、新入部員の1年生さんですか!?」

川崎「うわ、超カワイイんですけど! 入部を後悔してたところだからアガる!」

新たなメンバーが加わって賑やかになりそうな気配ですね。それにしても、オンちゃんはいつの間に会長に就任していたのでしょうか。 【つづく】



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