【7日目~京都決戦~】絵日記担当:仙石みなみ
――7戦終わりましたね。おつかれさまでした!
仙石「おつかれさまでした! 始まる前は7戦っていう数字がすごく膨大に思えて、生きて帰れるのかなっていう心配の方が大きかったんですよ。いざやってみたら、一戦一戦完全燃焼して全部やり尽くせました。なかだるみもなく、疲れもなく」
――疲れはあったでしょう。
仙石「ありましたけど(笑)、公演中にはそいうことを感じずにやれました。想像よりあっという間すぎて、もっとやりたいと思いました!」
――京都決戦はいかがでした。
仙石「みんな、ラストだっていうテンションで、特別感がありました。みんな気持ちがふわふわしていて。これまでの全部を総合したパフォーマンスを見せたいなと思っていた公演なので、浮かれすぎて暴走しないように気持ちを引き締めて、ここにいる方たちを満足させられるアツいものにしようと思ってやってました」
――冷静だった?
仙石「冷静と暴れ屋の葛藤みたいな(笑)」
――〈開戦前夜〉のツアーはこれで終わりですが、横浜、大阪、名古屋、赤坂と続きます。
仙石「ですね。横浜が売り切れたかも、みたいなことをファンの方が握手会で言っていて。でも、それで売り切れてなかったらショックが大きいので、まだ信じられてないです(笑)。ちゃんと満員だよっていうのをこの目で見て感動したいと思います。セットリストは、前夜と繋がっているようでガラッと変わります。まったく別物の公演としてみなさんに見てもらえると思います」
総括レポート
7日間のセットリストはほぼ固定だったが、一度もだれることなく、高いテンションは持続された。それどころかツアー終盤にはよりシャープに、よりダイナミックなパフォーマンスへと変化していったのは驚異的に思えた。前半の聴かせるパートは見るたびに表情が変わり、勢い任せでは生まれ得ない表現力がどんどんついていった。後半の攻めのパートはいつもいつもすごくて、会場の温度は必ず上がるし、自分も突っ立って見ていたはずなのに、いつの間にか体が乗せられることが何度もあった。どこを切り取っても印象的だが、特に“チョッパー☆チョッパー”の〈BOUNCE×4〉の部分で胸をバクバクさせる動きは心臓が飛び出さんばかりの勢いで、文字通り生命が躍動するさまを見る思いだった。5曲連続で命を燃やすように歌い切った後、息も絶え絶えにMCをする姿も忘れられない。佐保明梨は「(固定のセットリストでライヴを続けたため)曲が終わると自然と次の曲が頭の中で流れるようになった」と言っていたが、僕はその後の、肩で息をしながら笑顔を作るメンバーの姿まで含めて記憶に刻まれている。
駆け足で振り返りたい。高崎は、凱旋公演を屈託なく喜ぶ新井愛瞳のポジティヴなオーラが全体にも影響し、ハッピーな空気に包まれた公演になった。熊谷の公演では、土地柄から気温の高さの話が先行したが、それとは裏腹にライヴは落ち着いていて、まとまりのあるものになったように思う。宇都宮は壮絶だった。会場は後ろまで超満員状態で、ライヴもひたすら熱く、息苦しさを常に感じるようなすさまじい公演になった。終わった後にぐったりとへたり込み、酸素ボンベを吸うメンバーの姿が目に焼き付いている。
豊橋ではラストの曲でマイクが反応しなくなるというトラブルが発生した。なかなか復旧しないため、バックの音を最小限のボリュームで流して、メンバーがマイクを通さずに歌うという予期せぬ事態になった。僕は機材トラブルから生まれた名エピソードみたいなものに対して身構えてしまう方だが、空調の音がハッキリと聞こえるくらい静まり返る会場でメンバーの歌を聴いた時、これまでにはなかった一体感をたしかに感じた。神戸は、熱気もあり、まとまりもよい、バランスの取れた公演になった。この日は、初めて見る人とツアーに複数回参加している人に対し、どちらも満足できるMCは何だろうと全員で相談し、考え抜いた結果、メンバーの誰と誰がイチャついているというような話をして、笑いを取っていたのが微笑ましかった。
開戦前夜ツアー最後となる京都公演。彼女たちは、ステージに向かう直前に黒いフィンガーレスのグローブを手にはめる。それまでいくらはしゃいでいようが居眠りしていようが、グローブを付けた途端、戦場に向かうかのような目つきに変わっていく。僕は、バンデージを手に巻くボクサーのような凛々しいその姿を見るたび、静かに感動していた。この日は当然のように気合いが入りまくっていて、ライヴ直前の彼女たちはとてもじゃないけど話しかけられる雰囲気ではなかった。体調としてはよくない、というかこりゃアウトだろうというメンバーもいたが、ステージに立って正面を向けばそのことは微塵も感じさせない。連日のライヴと握手会(のほかにも取材やラジオ出演、ロケ……などなど本当にたくさんの仕事がある)で体力を使い果たし、ほとんど気力のみでやっているはずなのに、鬼気迫る勢いで歌い踊り続けるメンバーには尊敬するほかなかった。“サマービーム!”のファンを含めた大合唱はそれまでで最高にエモーショナルだったと思う。最後のMCで、感極まって半泣き状態になっていたメンバーたちに対し、新井愛瞳は「涙を流すのは早い!」と言って制したが、そう言ったそばから本人が泣いていたのがあまりに彼女らしかった。
さて次はいよいよ横浜ブリッツ。春先に行われた〈対バン行脚(仮)〉の終着地で、満員にできなかった会場だ。〈対バン行脚(仮)〉にケリをつけるためのリベンジマッチでもあるし、ライヴハウスツアーを経て「自分たちの曲に愛が深まった」(関根梓)上での成果を見られる機会でもある。いいライヴが見られるということは、もう、120%わかっている。その上で、さらにどんな感動が待ち受けているんだろうと大きな期待を寄せざるを得ない。楽しみです!