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ノラ・ジョーンズ
最新作『ザ・フォール』は〈これからのノラ・ジョーンズ〉。11月11日世界平和記念日に日本先行発売!
2007年にリリースしたサード・アルバム『ノット・トゥ・レイト』までは〈これまでのノラ・ジョーンズ〉。最新作『フォール』は〈これからのノラ・ジョーンズ〉。つまり、それだけサウンド的にもアプローチ的にも違いがある、ということだ。ヴィジュアル的にもギターを持った彼女の写真が公開され、あの黒髪のロングヘアがばっさりショートに。また79年生まれの彼女としては30代最初のアルバムでもある。そう考えると自然な変化があっても当然というべきなのだろう。
たしかにこれまでのノラ・ジョーンズの音楽に漂う、フォーキー、カントリーといったルーツ・ミュージック的な要素はやや薄らいだと感じるはずだ。これまで慣れ親しみ、ツアーでも行動を共にしてきたメンバーとは違った人選で〈新しいサウンド〉を追求したいと取り組んだこの新作はプロデューサーのジャクワイア・キングとの共同作業により、ミュージシャン・チョイスからアレンジまでをこなしていった。ノラがジャクワイアを起用したのは彼女自身が大好きなアルバムであるトム・ウェイツの『ミュール・ヴァリエーションズ』のエンジニアであったという理由だ。意外性といえば、彼女はピアノではなく自身の弾くギターを大きくフィーチュアしている点も驚きだろう。
しかし、ひとつだけ、変わらないことがあった。彼女の声だ。声はいくら操作してもかえることなどできない。1stシングルである《チェイシング・パイレーツ》を聴くと飛び込んでくるポップ感あふれるロック・サウンドに最初は違和感をいだくが、彼女の歌が発せられた途端、誰がどう聴いてもこれはノラ・ジョーンズの音楽だ、と確信する。まるで行ったことのない街の中で、どこからか自分を呼んでいる声がする、といったような癒しにも似た感覚を通過し、誰もが彼女の新しい世界へと深く入り込んでゆくことだろう。殺伐とした世の中にいて、心に安堵と平和が満ちてくるようだ。そして新作『フォール』の日本先行発売日の11月11日は偶然にも世界平和記念日だったりする。
TEXT:笹塚明
ザ・フォール
[EMI MUSIC JAPAN TOCP-70830]
11/11発売
ライヴ・イン・ニュー・オリンズ
[EMI MUSIC JAPAN TOBW-92033]
11/11発売