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ジャイルス・ピーターソン
ジャイルスが出遭ったキューバの新世代ミュージシャンたち
膨大な音楽知識と卓抜したセンスを武器に80年代から英クラブ・シーンを牽引してきたトップDJ/プロデューサーのジャイルス・ピーターソン。ジャズを基軸にソウルやファンク、アフロなど様々な音楽をフラットな視線でディグ&シェイクしてきた彼が今回新たに挑んだのはキューバ音楽だった。ラム酒のハバナ・クラブからの支援の下、08〜09年に2度ハバナに飛んで現地調査と録音(場所は、伝説のエグレム・スタジオ)を敢行。完成した2枚組アルバム『ジャイルス・ピーターソン・プレゼンツ・ハバナ・カルチュラ〜ニュー・キューバ・サウンド』は、ディスク1に、本プロジェクトでジャイルスの現地案内役も務めたピアニストのロベルト・フォンセカを中心とするバンド演奏が収められ、ディスク2は、ヒップホップやレゲトンまで幅広いジャンルから気鋭の若手ミュージシャンたちを集めたオムニバス盤となっている。コンセプトはずばり、現在進行形の新世代キューバ音楽のショウケイス、といったとこか。
「そうだね。一般に、キューバ音楽といえば〈ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ〉ばかりが有名だけど、実際には、たくさんの若いミュージシャンがいるわけで。僕自身、レコード屋に行ってもキューバ音楽のコンピ盤は古い音源ばかりで、新しい音楽はほとんど見たことがなかったし」
とりわけ彼の心を強くとらえたのは、オブセシオンやロス・アルデアーノス他のヒップホップ系の充実だったようだ。
「キューバではルンバとレゲトンが主流だけど、数年前に、タリブ・クウェリやモス・デフ、ルーツ、コモン、エリカ・バドゥといったヒップホップ・アーティストがキューバでライヴをしたのが、とてもいい影響を与えたようだ。まだ小さいけど、とてもエキサイティングなムーヴメントになっている」
言葉の表現には制限はないのだろうか。
「まさにそこにキューバン・ヒップホップの特殊性もあるわけで、ダブル・ミーニングなども駆使しているんだ。彼らは非常にリスキーな場所にいる。だからこそ聞き手も心を動かされる。元々キューバには優れた作家が大勢いて、美しい言語表現の歴史もある。そうした中、より意識的で深い表現方法として、今ヒップホップが生きているんだと思う」
本プロジェクトの果実は、遠からず、世界のクラブ/ジャズ・シーンにも影響を及ぼしてゆくのだろうか。
INTERVIEW&TEXT : 松山晋也
『Gilles Peterson Presents Havana Cultura - New Cuba Sound』
[Brownswood Recordings/Beat Records BRC-247] 2CD
10/24発売
*インフォメーション*
『J-WAVE Gilles Peterson's WORLDWIDE SHOWCASE 2009』
10/23(金) 19:00開演
http://www.j-wave.co.jp/topics/0906_ww.htm