オリジナル・マスターからの最新リマスタリングで、鮮やかな響きが甦る!
ステレオ録音による「ベートーヴェン:序曲集」を集成。量感溢れる弦、晴朗な木管群。
1958年録音の「レオノーレ序曲」第3番から、1960年の「フィデリオ」序曲まで全6曲のステレオ録音を収録。これらの序曲集は、当初よりまとまって発売された訳ではなく、交響曲の余白等で初出となった後に、LPの再発盤として集積して発売されたのが最初です。そのため、これまでのタワー企画盤のコンセプトとしては、オリジナル・ジャケット・デザインを使用しているのが常ですが、今回の復刻に際しては余白に入っていた交響曲のジャケット・デザイン(第2番や第3番等で使われた右部分のクリュイタンスの横顔があるジャケット)の左側文字部分を変更して使用しました。
この時期のベルリン・フィルには、フルートのニコレ(1959年退団)をはじめ、オーボエのシュタインス、クラリネットのシュテールといったいわゆる伝説の奏者たちが主体となった木管セクションが弦楽器と並んでかつての重厚な響きを堅持しており(ほぼこの時期にコッホやライスターも入団)、後のカラヤン時代とは異なる、前時代の響きを聴くことができます。フルトヴェングラー時代の面影を残しつつも、カラヤンのよって変貌を遂げつつあった名門オケのひと時の響きが残されているのです。そこに、クリュイタンスという別の響きの概念を持った指揮者が存在することで成り立つこの盤の音色は貴重であり、むしろベートーヴェンという彼らにとってスタンダードなレパートリーがより魅力的に奏でられているのは面白い現象と言えるでしょう。この時期、ベルリン・フィルによるベートーヴェンの序曲集は様々な指揮者と複数録音があり、中でも同じレーベルの録音となるヴァンデルノートとの比較は面白いです(1960年頃の録音。曲は「アテネの廃墟」序曲以外同じ。タワー企画盤QIAG50072で発売中)。音的にも、今回の復刻によって、ピラミッド型の当時の重厚なベルリン・フィルの響きが蘇りました。各楽器の分離も向上し、これまで塊であった響きがほぐれ、各楽器の音色をより堪能することができます。
タワーレコード(2015/04/28)
<制作に関しまして>
今回の発売に関しましては、イギリス本国にあるマスター・テープから96kHz/24bitに変換されたWAVデータを、伝送ではなく直接光学ディスクに保存し、空輸してもらいました。その元データを基本にSACD層用としてDSDに変換した後、マスタリングを行い、それとは別にCD層用としてもPCMでマスタリングを行いましたので、SACD層、CD層、それぞれ独立したマスタリングを行っているのが特徴です。例えば、PCMで編集した後にDSDにも変換を行う、もしくはDSDで編集した後にPCMにも変換を行うといった、1回のマスタリング作業ではなく、SACD、CD、それぞれの特徴や音質を重視し、あえて個別にマスタリングを行いました。マスタリング・エンジニアは、他の高音質レーベルや、これまでにも様々な優秀録音を手掛けてきた杉本一家氏です。
クリュイタンスとベルリン・フィルのこれらの音源は、CD時代になってからは意外と再発売の機会は少なかったと言えます。日本人に絶大な人気が
未だにありながら、なぜか国内盤での発売は1999年以来なく、輸入盤でも2000年前後のフランス盤やその後の廉価なインターナショナル盤、もしくはライセンスを受けた廉価盤が主でしたので、必ずしも恵まれた状況ではありませんでした。ステレオ初期の名盤にしては不遇な時代が続いたのです。
昨今のデジタル化の技術の進歩は凄まじく、アナログ・マスターに残された音を、現代では高品位でデジタル変換することができます。当社がここ数年、別レーベルのCDで恒常的に発売しております過去の名盤も、従来の音質とは一線を画した素晴らしい音が蘇っています。
今回はタワーレコードが新たに立ち上げた新規レーベル「DEFINITION SERIES」の第1弾として、名盤として名高いこれらの音源を取り上げました。マスター・テープに残されていた素晴らしい音楽は、今の時代だからこそより緻密に堪能できるとも言えます。SACDハイブリッド盤として、高品位な音質で歴史的な名盤をお楽しみいただけます。
タワーレコード(2015/04/28)