シベリウス, ドビュッシー, グリーグ, チャイコフスキー, 他 - 管弦楽曲集＜タワーレコード限定＞

最晩年のPHILIPSへの小品ステレオ録音。初出時のカップリングを再現!特別収録曲、世界初CD化曲あり。

ベイヌムが最晩年のPHILIPSレーベルへ録音したステレオ録音の小品アルバムをオリジナル通りに復刻し、さらに＜特別収録＞として、CD時代ではオランダ・フィリップスのローカル盤「巨匠たちの声」というアルバムが初発売だった、大変貴重な「スーザ:星条旗よ永遠なれ」をカップリングしました。尚、本国のLP初出時には、今回の収録順である6曲目の「くるみ割り人形」組曲は全曲ではなく、「花のワルツ」のみを置いた全6曲でのみ発売されていました(組曲全体は後に、B面にセルの「真夏の夜の夢より3曲」と出たのが初めてのようです)。今回、5曲目の「グリーグ:2つの悲しい旋律」は世界初CD化、「チャイコフスキー:くるみ割り人形組曲」と前述のスーザは、日本初CD化です。今回の復刻では、初めて初出時のオリジナル・カップリングでのCD化となります。これらの小品は、これまでCD時代でもいくつかのアルバムの余白でCD化されてきたもののため、アルバムとしてはあまり知られていない音源かも知れません。シベリウスは何曲か録音を残しており、「フィンランディア」は1949年にもDECCAへの録音が遺されています。ベイヌムはロシア音楽や北欧もの、近代フランス音楽であっても決して情に流される音楽になることはなく、極めて流麗に、そして品位が高い演奏を堅持しています。DECCA以外にも小品は多く録音していますが、最晩年の録音となったこれらのステレオ録音は、まさに珠玉の逸品ばかりです。＜特別収録＞である「スーザ:星条旗よ永遠なれ」は、PHILIPSへの商業録音の最後となる1958年10月録音の「ブラームス:交響曲第1番他」のわずか1か月前の収録。どういう経緯でこの曲を録音することになったのかは不明ですが、かなりの珍品であることは間違いありません。アメリカのオケ以外が演奏したらこうなるというスタンダードに近いとは決して思われない変わった演奏で、ベイヌムの違った一面が垣間見れる稀少な音源です。音は今回の復刻のために、新規でオリジナルのマスターよりハイビット・ハイサンプリング化しCDマスターを制作。従来盤より向上した音質で、当時のPHILIPSレーベルの優秀録音を堪能できます。ジャケットはLP初出時のオリジナル・ジャケット・デザインを使用し、今回の解説書には新規で満津岡信育氏による序文解説を掲載しました。今回の復刻では、一部モノラル録音も含む全5作を発売いたします。

往年の名指揮者ベイヌム(1901～59)が遺した数少ないステレオ録音の一つで、彼が56歳にして最晩年のアバドに比肩する境地に至っていたことを証明している。彼はここで楽譜を解釈するのではなく、隅々まで読み取って演奏しており、全ての音符に意味があることを痛感させてくれる。これら聴き慣れた名曲の、その折々の楽器配合の意味や色合いの変化を、陰影の深い響きと多彩な音色で次々に明らかにしてゆく。60年前のコンセルトヘボウ管弦楽団の繊細な表現力と豊かな音楽性にも驚かされるばかり。重厚であるのに軽やかで、豊麗であるのに透明な合奏は、深い眼差しを浮かべて聴き手に語りかけてくる。
intoxicate (C)板倉重雄