パブロ・エラス=カサドとフライブルク・バロック・オーケストラによるシューベルトの交響曲集、第2弾の登場。第1弾(HMC 902154)では第3(1815年)&4番 (1816年) という組み合わせでしたが、今回は第5番 (1816年) および未完成 (1822年)という組み合わせ。19歳の時に書かれた交響曲第5番は、シューベルトの心の闇を感じさせない、朗らかでリズミカルな作品。エラス=カサド持前のリズムの良さに FBO が機敏に反応しており、細やかかつ躍動感に満ちた演奏は見事です。未完成でも、シューベルトが楽譜に記した細かな音符ひとつひとつにいたるまで、丹念に表情づけがなされています。特に第2楽章冒頭の管のアンサンブルの美しさは絶品。第5番にはない、絶望や不安に駆られたような瞬間も、実に劇的な効果をもって奏されます。明るい5番、絶望や不安が垣間見られる未完成という2作品のコントラストがきわめて鮮やかな1枚。エラス=カサドの歌心とリズムに満ちた指揮と、FBOの機動力が素晴らしい化学反応を起こした名演です。 (C)RS
JMD(2023/04/07)
抜群のリズム感と機動力
パブロ・エラス=カサド&FBOによるシューベルト!
パブロ・エラス=カサドとフライブルク・バロック・オーケストラによるシューベルトの交響曲集、第2弾の登場。第1弾(HMC902154)では第3(1815年)&4番(1816年)という組み合わせでしたが、今回は第5番(1816年)および未完成(1822年)という組み合わせ。
19歳の時に書かれた交響曲第5番は、シューベルトの心の闇を感じさせない、朗らかでリズミカルな作品。エラス=カサド持前のリズムの良さにFBOが機敏に反応しており、細やかかつ躍動感に満ちた演奏は見事です。未完成でも、シューベルトが楽譜に記した細かな音符ひとつひとつにいたるまで、丹念に表情づけがなされています。特に第2楽章冒頭の管のアンサンブルの美しさは絶品。第5番にはない、絶望や不安に駆られたような瞬間も、実に劇的な効果をもって奏されます。明るい5番、絶望や不安が垣間見られる未完成という2作品のコントラストがきわめて鮮やかな1枚。エラス=カサドの歌心とリズムに満ちた指揮と、FBOの機動力が素晴らしい化学反応を起こした名演です。
キングインターナショナル
発売・販売元 提供資料(2023/03/29)
名曲の交響曲『未完成』に注目したい。これまでに聴いたことのないアグレッシブで鮮烈なサウンドで、緊迫した雰囲気が漂う。優しいアンダンテの第2楽章でも棘とげしく慟哭すら感じられる。この作品がこれほど空恐ろしいとは。愛らしいイメージの交響曲第5番も、ここではそれを覆す高揚感に満ちた熱演。出だしから快速で、気持ちよい音色のフルートの活躍とガット弦がかき鳴らされる様が爽快。第2楽章の木管楽器の美しいアンサンブルも聴きどころ。エラス・カサドはチェンバー・オーケストラを前にすると、立体的でキレのある素晴らしい音楽を引き出してくれる。
intoxicate (C)雨海秀和
タワーレコード(vol.164(2023年6月20日発行号)掲載)