アラールがモダン・チェンバロの機能と魅力を存分に発揮!
エラス=カサド渾身のファリャ第2弾!!
飛ぶ鳥落とす勢いのエラス=カサドが「三角帽子」「恋は魔術師」(2020年度第58回レコード・アカデミー賞大賞銅賞受賞/KKC 6127;HMM902271)に続きマーラー・チェンバー・オーケストラとファリャの「ペドロ親方の人形芝居」に挑戦。カップリングのチェンバロ協奏曲とストラヴィンスキーの「プルチネルラ」も魅力的です。
注目はバンジャマン・アラールがチェンバロ協奏曲を、それもプレイエル製「グラン・モデル」で弾いていること。曲はチェンバロの女王ランドフスカのためにモダン・チェンバロを想定して書かれていますが、この楽器自体、今日の美学的に好ましくないものとされ淘汰された感があります。アラールは楽器を探した末、ランドフスカ最後の弟子プヤーナがファリャ財団に寄贈したものを発見、それを用いて録音しました。ノイズのなさや音量の大きさ、時にオルガンさえも思わす今や貴重なサウンドを堪能できます。
アラールはビリャンシーコによる第1楽章やスカルラッティを思わす第3楽章での指さばきはもとより第2楽章のスペイン的情念も理想的。決定盤出現と申せましょう。また、近代オーケストラにチェンバロが用いられた最初の例といわれる「ペドロ親方の人形芝居」もアラールが同じ楽器で参加して、華を添えています。
ロシアのストラヴィンスキーは一見異質ですが、「プルチネルラ」はペルゴレージをはじめ18世紀イタリア音楽を素材にしていることと、もともとディアギレフがロシア・バレエ団のためにファリャへ編曲を依頼したものの、断られたという因縁を持つ作品でもあります。エラス=カサドはラテン的な感性と輝きで見事に再現しています。
キングインターナショナル
発売・販売元 提供資料(2023/12/14)
スペイン・グラナダ出身のエラス=カサドによる!2020年度レコード・アカデミー賞銅賞受賞した『バレエ「三角帽子」「恋は魔術師」』に続くファリャ第2弾は歌劇『ペドロ親方の人形芝居』と『チェンバロ協奏曲』。どちらの作品も、プレイエル製「グラン・モデル」というモダン・チェンバロを使用して演奏。独自性溢れる楽曲を、時に繊細に、時に大胆に聴かせるエラス=カサドの指揮と、煌めき躍動感あふれるバンジャマン・アラールのチェンバロ演奏がとにかく魅力的。18世紀イタリア音楽を素材とした、カップリングの『ストラヴィンスキー:組曲「プルチネラ」』も肉厚なアンサンブルでガッツリ聴かせてくれます!
intoxicate (C)橘佳世
タワーレコード(vol.169(2024年4月20日発行号)掲載)