【付録4】モーツァルトのレクイエム、さまざまな版を聴く
〈ジュスマイヤー版以外の補筆版に基づく演奏〉
※指揮者がさらに手を加えている場合もあります。
【バイヤー版】
ジュスマイヤー版の全体の構成は残し、主にオーケストレーションを修正。
【モーンダー版】
基本的にはジュスマイヤーの補筆を削除、あるいは修正する方針。新しく発見されたモーツァルトの草稿「アーメン・フーガ」を使用。
※ホグウッド盤は現在入手が難しくなっているようです。
【ランドン版】
補筆は現代の音楽学者たちが行うよりも、モーツァルトの同時代人たちに任せる方が相応しいという立場。アイブラーによる補筆が残っている部分は復活させ、それ以外の部分はフライシュテットラーとジュスマイヤーのものを採用。
【レヴィン版】
ジュスマイヤー版を尊重しつつも、フォルテピアノ奏者&音楽学者であるレヴィンが大幅な修正を加えた版。「ラクリモーサ」における「アーメン・フーガ」をモーツァルトのスタイルに則って復活させた点が最大の特徴。
【ドルース版】
モーツァルト時代の作曲家になったつもりで未完部分を作曲。「アーメン・フーガ」も独自のもの。
【ジュスマイヤー版+数々の断片集】
従来のジュスマイヤー版を全曲入れた後に、さらにモーツァルトが書き残したフラグメント(スケッチ)をそのまま音にしたというもの。つまりモーツァルトが残した素材をすべて書かれたままの状態で録音したアルバム。またモーンダー版などで用いられている、1961年発見の「アーメン・フーガ」も演奏。
【1793年初演復元版】
モーツァルト研究家デイヴィッド・ブラックによる最新の校訂(2013年)。
【鈴木優人版】
アイブラー及びジュスマイヤーの手稿譜をもとにして、バッハ・コレギウム・ジャパンのチェンバリスト鈴木優人が補筆校訂。下記ディスクには「奇しきラッパの響き(トゥーバミルム)」の異稿も収録されている。