【サントラを極める】第2回:リラックスできるサントラを極める!
リラックスできるサントラを聴く!
音楽をより深く楽しんでいただくための特別企画「極めるシリーズ」。サントラ第2回のテーマは「リラックスできるサウンドトラック」です。サントラバイヤーによる解説とともにお楽しみください。
1.Ennio Morricone『ある夕食のテーブル』
日本未公開ながら、エンニオ・モリコーネのサントラの中でも人気の高い、まさにラウンジ・サントラの名盤といえる傑作。映画は1969年イタリア作品で、『さらば美しき人』のジュゼッペ・パトローニ・グリッフィ監督作、ジャン=ルイ・トランティニャン、フロリンダ・ボルカン主演、脚本にダリオ・アルジェントも参加の、不可思議なミステリアスでエロティックな人間ドラマ。サウンドは、モリコーネらしい奇妙なスパイスを少しだけ加えつつ、ボッサ、スキャットといったテイストたっぷりで進行するイージーリスニング。このサントラを聴けば、どこでもホテルのラウンジ、な盤の決定版。
2.Georges Delerue『ジョルジュ・ドルリュー作品集』
フランスの映画音楽を代表する作曲家ジョルジュ・ドルリューがハリウッド映画に作曲した作品を中心に集めたベスト。サントラ音源ではないが、かなり雰囲気を忠実に再現した演奏。現在もサントラが未発売の『ブルースが聞こえる』はじめ、80年代の作品ながら、ポップというより、流麗なスタイルからジャジーなテイストまで、少し聴いてすぐドルリュー作品とわかる大人のシブいサロン・ミュージックの様相。映画作品そのものは知らずとも、その美しいメロディに酔いしれることはでき、人間ドラマのサントラの手本とでもいうべき、静かにドラマチックな世界が展開する。心もたっぷり、洗われます。
3.Seals & Crofts『One on One』
未だ未DVD化ながら、多くの映画ファンの心に記憶される1977年の青春映画『ワン・オン・ワン』。ナイーヴなヤング・スター、ロビー・ベンソンが自身の脚本で挑んだバスケと恋に燃えるハイスクール・ライフ。人気を呼んだサントラは、チャールズ・フォックス音楽、作詞ポール・ウィリアムスの楽曲をシールズ&クロフツが歌うさわやかで美しいポップスに、フォックスのカジュアルで心地よいフュージョン・タッチのスコアで構成。70年代ソフトロック的テイストをさらにスウィート&ポップに仕上げたサウンドで、少しだけノスタルジックな気分に浸りながら、前向きでもある、決してリラックスだけで終わらない一枚。
4.『インサイド・ルーウィン・デイヴィス』
サスペンス作品で定評の名匠、コーエン兄弟監督が一転、あるフォーク・シンガーを繊細に描いた本作を監督した傑作。実在のフォーク・シンガー、デイヴ・ヴァン・ロンクをモデルに、60年代のニューヨークで、ギターとともに放浪の生活を送る男の愛すべき日常。T・ボーン・バーネット・プロデュースによるサントラは、トラッドから60年代フォークまでを、主役を演じたオスカー・アイザック、ジャスティン・ティンバーレイクらの歌声で。ボブ・ディラン「Farewell」の未発表ヴァージョンの収録や、ラストにはデイヴ・ヴァン・ロンク本人の録音が登場する、歌で癒される贅沢な名盤。
5.Stelvio Cipriani『Concorde Affaire '79』
ホラーやパニック映画に、スウィートなサロン・ミュージックを響かせて、独自の世界?を確立したマエストロ、ステルヴィオ・チプリアーニの名盤。1979年ルッジェロ・デオダート監督『コンコルド』のサントラ。航空事故をめぐるサスペンスながら、チプリアーニは、物語の舞台となる大西洋の海底をイメージした、美しくおおらかで、ユニークな音色のアクセントもつけた、イージーリスニングの世界。独特のネアカ・スウィート・イタリアン・サントラは、数多いイタリアの作曲家たちが書くメロディの中でも特徴的。長らくCD化が待たれていたが、2014年についにの発売。
6.Armando Trovajoli『ジェラシー』
明るくてやがて切ないイタリアン・サントラ・ワールドの真骨頂。1970年イタリア作品、名匠エットーレ・スコラ監督、マルチェロ・マストロヤンニ、モニカ・ヴィッティ主演の大人のシニカル・ラヴ・コメディのサントラ。何とも言えない親しみやすい美しさのメロディが、疲れた心にしみてくる。
7.John Barry『Born Free』
1965年製作の世界的ヒット作『野生のエルザ』のサウンドトラック。ジョン・バリーによるおおらかで、キャッチーなメロディのテーマはスタンダード。ゆったりと名曲中の名曲でくつろぐ。
8.Burt Bacharach『明日に向かって撃て』
主題歌「雨にぬれても」は、すぐにメロディが思い浮かぶ、バート・バカラック作のサントラの名盤。ジョージ・ロイ・ヒル監督による西部劇だが、青春アクションとしての印象が強く、少しだけ影のあるポップなメロディのバカラックのメロディが、テーマ以外にも楽しめる。映画の邦題は『明日に向って撃て!』
9.Original Soundtrack『小さな恋のメロディ』
「イン・ザ・モーニング」「メロディ・フェア」「若葉のころ」といったビージーズのスウィートなヒット曲、クロスビー・スティルス・ナッシュ・アンド・ヤングの「ティーチ・ユア・チルドレン」を収録する、70年代初期を代表する甘酸っぱいサントラの名盤。
10.『I Am Sam』
主人公がビートルズ好きという設定と連動して企画され、アルバム単体としても注目されたサントラ。内容は、アコースティックなビートルズ・カヴァー集。エイミー・マン、サラ・マクラクラン、ルーファス・ウェインライト、ザ・ウォールフラワーズ他が参加。
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