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私の「和モノ・シティ・ポップ10枚」

都会的な音楽って何だろう?最先端のファッション、眠らないネオン街。そんな刺激的でスマートなライフスタイルを音楽で表現するには、ジャズやソウル、はたまたサルサやボサノヴァ等、ジャンルの粋を集めた知的で洗練されたものを求めてしかるべき。でもそれだけではありません。そんなライフスタイルを謳歌しつつも、ふと立ち止まると忍び寄る切ない「虚無感」「寂寥感」をほんの少し歌詞に滲ませることでリアル・アーバンリスナーの心を掴み、それに憧れるルーラル/サバーバン(地方/郊外)リスナーにさらに魅力的な妄想を掻き立てさせる(笑)。そんな作品が「良質なシティ・ポップ」と個人的に勝手に決めています。

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高崎オーパ店/ツボルドバード
ロックを中心にほぼオールジャンル・古今東西のレコード収集(基本オリジナル盤)がライフワーク。

南佳孝『SOUTH OF THE BORDER <タワーレコード限定>(Blu-spec CD2/RM)』

若いリスナーにとって「モンロー・ウォーク」や「スローなブギにしてくれ(I want you)」のヒットが彼を知るきっかけの1つかも知れませんが、タワレコ的にはこのアルバムを通して聴いてほしい。当時一般化し始めた海外旅行と南国への憧憬を文字通りスタイリッシュに表現した①「夏の女優」④「日付変更線」(大貫妙子コーラス)⑥「夜間飛行」はメロウ・グルーヴ・クラシック。個人的にはムビラ調のポリリズムに導かれ、霧中のような南さんの歌声が顕れては消える⑩「スフィンクスの夢」。このアルバムのアレンジを手掛ける坂本龍一さんののほとばしる才気が最も表現された楽曲として聴き逃し厳禁です。


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山下達郎『サーカス・タウン』

山下さんの「シティ・ポップ・おススメ盤」として今よく挙がるのは名曲「Sparkle」収録の「FOR YOU」やトッド・ラングレンのようなスコア書きスキルを開花させた「SPACY」だと思いますが、そんな中ソロデビュー作であるこちらをおススメ。当時のアナログ盤ではA面①〜④が「NEW YORK SIDE」、B面⑤〜⑧が「L.A. SIDE」で構成、チャーリー・カレロ率いるNY勢との結晶「WINDY LADY」、同時期のネッド・ドヒニー諸作とのシンクロを感じずにはいられないLAサイドの「迷い込んだ街と」は必聴です。まだ青さが残るこの頃の達郎さんの歌声は、カッコいい!!


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伊藤銀次『デッドリイ・ドライブ 40周年記念デラックス・エディション(2SHM-CD)』

山下達郎&大貫妙子による奇跡のグループ:シュガーベイブの「DOWN TOWN」等、幾多の楽曲の作詞を手掛け、佐野元春のデビュー時のプロデュースも手掛ける伊藤銀次さんのソロ作。①「風になれるなら」のコーラスは大貫妙子。シュガーベイブの余韻を湛えた始まりでノスタルジックですね。でも②で突如アイランドレゲエとなり、③含め当時のリアルなウエストコーストカルチャーを体現し奥行きを広げます。そのあとの④名曲「こぬか雨」…シティ・ポップ屈指のA面ですね!!坂本龍一さんのストリングアレンジがモダンなのもこの盤が色あせない、もう1つの要因かも知れません。


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はっぴいえんど『HAPPY END(UHQCD/RM)』

はっぴいえんどと言えば「風待ろまん」や「ゆでめん(1st)」が先に挙がるのは否定しませんが、個人的には「風街ろまん」よりよく聴くかもしれない73年作品。ソロ作リリース直後だった大瀧さんのペンによる楽曲が減り、細野さんと鈴木茂さんがホームラン(名曲)量産体勢に入る瞬間を捉えた作品です。細野さん印の「風来坊」「相合傘」、鈴木茂さんらしいのはどれだろう、「さよなら通り3番地」「明日あたりはきっと春」かな?ハリウッド録音でロウエル・ジョージ(リトル・フィート)やヴァン・ダイク・パークスが楽曲に参加してるという豪華クレジットは、これまでの彼らの道のりが間違っていなかったことの証明のようなもの。


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マザー・グース『パノラマ・ハウス』

北陸・金沢の中・高校の同級生3人が組んだ女性3人組、ということで、アーバンに憧れたルーラル/サバービアのシティ・ポップ下克上物語としても興味深いグループ、マザー・グース。ウエストコーストなカントリー・ルーツ系仕上がりだった1st「インディアン・サマー」からわずか半年で届けられたセカンドアルバム。都会的で洗練されたシティー・ミュージックに急成長、①、②、⑤、⑥と聴きどころ多いです。ジャケットのイラストは松任谷由実によるもの。この後1stの「貿易風にさらされて」のリメイクカットがシングルで行われ、山下達郎やはっぴいえんどメンバーなど豪華キャストでリリースされています。


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尾崎亜美『MIND DROPS(RM/PS)』

当時ポスト・ユーミン最右翼、前作1stは松任谷正隆氏らティンパン勢完全バックアップという鳴り物入りでデビューした彼女。個人的には余計な力が抜けてリラックスし、表現豊かな歌唱力を存分に知らしめた今作が大好きです。とはいえ今作も林立夫、鈴木茂らティンパン人脈が参加しており、トータルの雰囲気は鈴木茂の「ラグーン」に近いです。トロピカルアーバンな「太陽のひとりごと」、オルードタイム調の南佳孝とのデュエット「うわさの男」はタイムレスなシティ・ポップ・アンセム。


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飯島真理『ロゼ [Deluxe Edition] [UHQCD+DVD](+2/RM)』

デビュー前の段階でテレビアニメ『超時空要塞マクロス』のリン・ミンメイを演じ、本人が歌唱する主題歌がアイドル的な人気を得たことで、最初のアイドル声優とも認識される飯島真理さんですが、TOTOのファンで国立音大も卒業しておりスペックが半端ないです。そんな彼女の83年のデビュー作は坂本龍一全面プロデュース(でも作詞作曲は全て飯島真理!!!!)。可愛らしい歌声にも確かな歌唱スキル、ホントにずっと聴いてられます。③「My Best Friend」がベストだと思いますが教授の天才的なアレンジが暴走寸前の④「Love Sick」も一聴の価値あり。


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飯島真理『ブランシュ [Deluxe Edition] [UHQCD+DVD](+6/RM)』

吉田美奈子が全面プロデュースした飯島真理さんのセカンドアルバムですが、飯島さんの作詞作曲能力はマジでヤバいです。吉田美奈子さんと完全にシンクロしてるというか・・・潑剌とした「シグナル」や「会えない時も」がその収穫ですが、実はストリングスとホーンアレンジで清水靖晃も参加。シティ・ポップを地で行く楽曲の他に、前衛的で未来的な彼のVAPOR WAVEを先取りしたようなアレンジが才気走る①「Marcy Deerfield」が今聴くとベストかも。


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山根麻衣『SORRY +2(RM)』

テイチク傘下のコンチネンタルからデビューしたハスキー・シンガー、山根麻衣さん。当時のアナログではA面4曲が鈴木茂、B面4曲が松下誠でアレンジを二分してます。AOR〜パワフルなギターソロも入る松下誠アレンジの後半楽曲が昨今の再評価どころですかね!でも鈴木茂手掛けるA面のノスタルジックな元祖アーバンの方が落ち着く、という方もいらっしゃると思います。山下達郎さんの「サーカス・タウン」しかり、当時のレコード・フォーマットならではの意匠替えがストリーミング全盛の今新鮮で通し聴きしたくなる魅力にあふれています。


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Bread & Butter『マハエ(真南風)(+2/Blu-spec CD/RM)』

岩沢幸矢,岩沢二弓という茅ケ崎出身の兄弟フォークデュオとして、69年からこれまで20枚以上のアルバムをリリースしているブレバタ。この作品は3枚目にあたる75年のアルバムで2人の代名詞のようなヒット曲は収録してませんが、今だからこそチェックされるべき楽曲多いです。林立夫、佐藤博らティン・パン・アレイによる①②の感触はまさにToo Slow To Disco!!このBPM100前後のスロウなグルーヴ感は、時空を超え今フレッシュに響きます。⑤や⑧もまさに真南風を感じさせる気怠いエレピ。南佳孝の「South Of The Border」や久保田麻琴と夕焼け楽団の「ディキシー・フィーバー」に通ずるレイドバック・クラシックでしょう!


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タグ : おうち時間 シティ・ポップ タワレコ名盤セレクション

掲載: 2020年05月12日 14:30