チェロ界期待の超大型新人、宮田大の初アルバム~『FIRST』
『FIRST - ポッパー, ドビュッシー, R.シュトラウス, 他』
チェロ界期待の超大型新人宮田大の初アルバム。
宮田大は、若干25歳の将来を嘱望されるチェリストで、2009年、チェロ部門の国際音楽コンクールの最高峰と言われるパリ市主催の第9回ロストロポーヴィチ国際チェロコンクールで優勝し、世界からも注目される存在に一気に駆け上がりました。
収録曲目は、ドビュッシーとR.シュトラウスのチェロ・ソナタ、ポッパーの「ハンガリア狂詩曲」とラフマニノフの「ヴォカリーズ」、そして最後は「くまんばちの飛行」でしめくくるという多彩な構成。すべて宮田大本人の選曲です。収録したのは軽井沢大賀ホール。最近放映されたドキュメント番組「カルテットという名の青春」でもわかるように、宮田大は多感な時期にヨーロッパに留学までしてカルテットに打ち込み、国際コンクール優勝後はソリストとしても世界の舞台を数多く経験してきただけに、すぐに大賀ホールの特性をつかみ、名前に負けないスケールの大きな音楽を奏でて、隅々までホールを鳴らしきっています。使用楽器は、故齋藤秀雄(1902-1974)の愛器だったテストーレ(1746年製)、齋藤秀雄の直弟子や孫弟子に貸与されてきたチェロの銘器です。
「チェロは技とか効果ではごまかせない楽器。かっこつければ、逆にダサい。あくまで地球の引力に逆らわず、自然に弾くのが一番です」。宮田の演奏の魅力は、本人の言葉がすべて言い表している。策を弄せず、作曲家の懐に飛び込み、心理や時代背景にも十分のアンテナを張り巡らし、感じたままを奏でている。2年前から共演を続けるピアニスト、柳原良輔とは「お互い刺激し合いながら自然と、同じ方向を目指せる」と、理想のデュオを究める。ポッパーやシュトラウスの冒頭を聴けば、ピアノの素晴らしさも納得できるはずだ。──ライナーノーツより(池田卓夫=音楽ジャーナリスト・日本経済新聞社文化部編集委員)
【曲目】
ポッパー:ハンガリア狂詩曲
ドビュッシー:チェロ・ソナタ
R.シュトラウス:チェロ・ソナタ ヘ長調 作品6
ラフマニノフ:ヴォカリーズ
リムスキー=コルサコフ:くまんばちの飛行
【演奏】
宮田大(チェロ)
柳谷良輔(ピアノ)
【録音】
2011年4月21,22日 軽井沢大賀ホール