注目アイテム詳細

SWR超貴重音源アーカイヴ復刻シリーズ ほとんどが未発表で音質も良好

 SWRの超貴重音源アーカイヴ復刻シリーズが、キングインターナショナルから、新たに日本語解説を付けた輸入盤:国内流通仕様として登場!

 1947年夏からスタートした南西ドイツ放送音源を復刻するプロジェクトが、遂にJazzhausにより始動。SWR立上げのサポーターでもあったジャズ・ジャーナリスト(プロデューサー)、ヨアヒム・ベーレントらによって録音されたアーカイヴは、1600もの音声、350もの映像プログラムを誇り、総時間は3000時間余り。その中にはマイルス・デイヴィスやビル・エヴァンス、またチャールズ・ミンガス、エリック・ドルフィーの黄金期の録音もあるとか…。その音源はほとんどが未発表。驚異のプロジェクトが始動します!

 お求め安い価格の輸入盤もオススメですが、それぞれオリジナルの日本語解説(大村幸則氏、岡崎正通氏、原田和典氏が寄稿)が付属した国内流通仕様盤もオススメです!当時の時代背景やアーティストの状況も絡めながら解説されており、音源の理解度が深まる非常に良い解説書となっております。

【Lost Tapesシリーズ】:未発表音源を中心にした貴重音源集

オスカー・ペティフォード『Lost Tapes Germany 1958-1959』
 モダン・ジャズ・ベースのパイオニア、オスカー・ペティフォードの未発表音源を多数収録。1958年~59年のドイツ録音で、その多くが未発表です。
 本作は、オスカーが渡欧した後の、ドイツでの録音をまとめたもの。当時の渡欧と言うと都落ちのようにイメージされがちですが、実力の問題で渡欧することになったわけではなく(ツアーの途中でバーデン・バーデンが気にいって、家族も呼び寄せて移住)、演奏は快調そのもの。骨太のピチカート奏法の音は、後世への影響を想像させてあまりあるジャズ・ベースの真髄を感じさせてやまないもので、コンボの演奏も、モダンの粋が詰まった演奏です。

 ダスコ・ゴイコヴィッチとのいぶし銀のデュオ演奏、ラッキー・トンプソンを迎えた同じくドラムレスでの演奏を筆頭に、ロルフ・キューンや、ハンス・コラーをフロントにしたトラックでの、風格溢れるベース・ラインはあまりに魅力的。またアップ・テンポのベース・ラインのドライブ感や、3人のバリトン/アルトをフロントにしたセクステットでもどっしりとした存在感を感じさせます。これらの演奏の数々には、改めてほれぼれするファンも多いことでしょう。

 

ユタ・ヒップ『Lost Tapes The German Recordings 1952-1955』
 謎多きピアニスト、ユタ・ヒップの渡米以前を紐解く貴重音源。ユタ・ヒップと言えば、ドイツが生んだ女性ピアニストのパイオニア。そして、何と言ってもブルーノートでの『ヒッコリー・ハウスのユタ・ヒップ』、そして『ユタ・ヒップ・ウィズ・ズート・シムズ』が有名でしょう。
 本作は、1952年の最も初期の音源から、渡米/ブルーノートでの録音に至るユタ・ヒップを紐解く貴重な1枚です。収録曲のうち3曲は、ハンス・コラー名義でブランズウィックからSP盤がリリースされた経緯がありますが、他14トラックは未発表。

 レニー・トリスターノからの影響を受けた彼女のピアノはトツトツとクールな演奏が魅力で、後には、ホレス・シルヴァーの影響など、バップ・ピアノへの傾倒を聴くことが出来ますが、この時期はその前期と言えましょう。
 ヨキ・フロイント、アルバート・マンゲルスドルフらの参加音源も収録しており、ヨーロッパ・ジャズの記録として、大変貴重と言える1枚です。

 

ズート・シムズ『Lost Tapes Baden Baden-June 23,1958』
 モダン・ジャズが花開いた時代、1958年のズート・シムズの素晴らしい演奏が詰まった1枚!1958年の春にベニー・グッドマン・オーケストラのメンバーとなったズートは、ブリュッセルで開催された万博で演奏するために渡欧。
 本作は、そこで出会ったハンス・コラーと、ヨアヒム・ベーレントのアレンジメントによりバーデン・バーデンでコンサートを開いた時の演奏を収録したものになります。スタイル的にもハンス・コラーとの相性は抜群で、両者のテナー・プレイ(曲によってはクラリネットも演奏)を満喫できる素晴らしい録音。

 美しいコード進行を持つ名スタンダード“All the Things You Are”から、余りにも魅力的な演奏を聴くことが出来ます。またケニー・クラークのドラミングに軽妙に心地よくプッシュされての、バップ演奏“Alan's Alley”も素晴らしく、この2曲で、ファンの心をとらえることは必至。
 本音源のリリース歴としては、ドイツ<Jazzline>盤で、全てのトラックが出てはいますが、こうして、SWRシリーズとしてリリースされることで話題を集めることは必至です。音質も放送音源ならではでとてもクリア!絶頂期と言える時期のズートの演奏は輝かしい!

 

【Legends Liveシリーズ】:全てのライヴ音源が未発表!

ジェリー・マリガン・セクステット『Legends Live Liederhalle Stuttgart November 22, 1977』
 1976年から率いているセクステットでの1977年11月22日のシュトゥッツガルトでの公演を収録した未発表音源。この時期、マリガンはライオネル・ハンプトンの企画によるレコーディングにも参加して話題を集めていましたが、ここでのマリガンは、自身の演奏に集中した素晴らしい演奏を聴かせてくれます。
 全体的に、1950~60年代のクールなジャズの響きに、1970年代の洗練が加わった洗練された演奏が魅力。しかし、ここには、滲みだすようなスピリチュアリティが絶妙のバランスでミックスされています。

 ここに収録されているスウィンギーな演奏には、数々のクール・ジャズの名盤を残したマリガンのノリのよさが表れているのと同時に、アストル・ピアソラとの共演で見せたような鬼気迫る演奏も楽しませてくれます。また“My Funny Valentine”や名曲“Night Lights”、ビリー・ストレイホーンに捧げた“Song For Strayhorn”で聴かせる、バラード・プレイには、クールという語では括れない重厚感があります。“Idol Gossip”では、マリガンのソロも、バンド全体の演奏も躍動感にあふれています。この曲は、同メンバーによって前年にリリースされた作品『Idol Gossip』のタイトル曲でもあり、もともと、ダイナミズム溢れるメロディが魅力的な、マリガンの作曲センスを聴ける曲ですが、コンサートでの演奏となって、スリリングさも倍増。ミステリアスな世界も除かせます。
 とかく1950、60年代のことを話題にされることが多いマリガンでもありますが、1970年代の活動の充実感も味あわせれくれるライヴ音源です。

 

アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズ『Legends Live Sangerhalle Unterturkheim July 15,1978』
 1978年、ヴァレリー・ポノマレフ、デイヴィッド・シュニッツァー、ボビー・ワトソンをフロントに、ピアノにジェイムス・ウィリアムズを迎えたジャズ・メッセンジャーズの未発表ライヴ音源。
 1980年には彗星のごとく現れた若きトランペッター=ウイントン・マルサリスの参加があって、1980年代前夜は、存在感を奪われてしまっている感も否めないジャズ・メッセンジャーズですが、ここに収録されている編成も強力なグループです。一言でいって、ハード・バップの良さを十二分に感じさせる纏まりも抜群なグループなのです。

 演奏する楽曲も、シュニッツァーの“Mishima”をはじめとして、ジェイムス・ウィリアムス、ボビー・ワトソンと各メンバーのオリジナルを織り交ぜ粒ぞろい!かつてのメンバー、ベニー・ゴルソンの名バラード“I Remember Clifford”に、ラストは、ジャズ・メッセンジャーズの代名詞とも言える“Mornin'”。鉄壁のラインナップで歌心満載の演奏を聴かせてくれます。
 いつの時代も参加メンバーの才能を引き出し、素晴らしい演奏を聴かせてくれるアート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズの隠れた名演にスポットライトをあてるライヴ作品のひとつです。

 

キャノンボール・アダレイ・クインテット『Legends Live Liederhalle Stuttgart March 20, 1969』
 1969年3月20日、シュトゥットガルトでの公演を収めた未発表作品。
 本作品では、特にジョー・ザヴィヌルの演奏は素晴らしく、1961年以来およそ9年にわたってキャノンボールのグループで演奏するザヴィヌルですが、本公演の時期は、最後期の時代(マイルス・グループに引き入れられる直前)の演奏で、テンション感も非常に高いものがあります。1969年という時代も反映したシュールさ、切れ味鋭いスリリングな演奏も魅力。オープニングもファンクなノリをバックにしつつ、混沌としたカオスなエネルギーが充満。変革を予感させる空気は、正に時代を色濃く映し出します。

 ザヴィヌルのプレイは、正に、この直後、マイルスの1969年の問題作『In a Silent Way』につながっていくそのものの世界。圧巻は“Blue and Boogie”で、アダレイ兄弟2人の演奏もさえまくり、アップテンポに決めまくりつつも、重量感もどっしりの演奏は、ビ・バップの究極の演奏!もちろん、このグループならではのブルーズも忘れず、レイド・バックしたリズムでのグルーヴ感がたまらない“Sweet Emma”などは最高のものが聴けます。ファンクを通底にし、明るく、楽しく、しかし気だるく、シュールに、ミステリアス…。時代の一頁を物語る貴重な発掘音源です。

 

アルバート・マンゲルスドルフ・クインテット『Legends Live Audimax Freiburg June 22, 1964』
 ドイツが生んだ革新的トロンボーン奏者マンゲルスドルフの、1964年年6月22日、フライブルグでの公演を収めた未発表作品。
 マンゲルスドルフと共にフロントに立つのは、ハインツ・ザウワー、グンター・クロンバーグ。このクインテットでは、1963年に『Tension!』を発表。1964年には『Now Jazz Ramwong』をレコーディングし、本公演はその2週間後。勢いに乗ったグループの演奏が繰り広げられます。キャリア初期の1950年代には、レニー・トリスターノ的なクールな演奏を聴かせ、自身もクール・ジャズからの影響を口にしていますが、1958年に“ニューポート・インターナショナル・ユース・バンド”に参加し、アメリカのレジェンズとも共演。強烈な刺激を受けて以来、音楽の独自性を追求し、時代と共に、先陣を切って変化し続けたマンゲルスドルフ。

 この時代は、テクニックも抜群にクリアなフレージングを矢継早に繰り出し、3管のスリリングかつ、切れ味の鋭い演奏を聴かせます。サウンド的には、ピアノレスで1960年代中頃のウェイン・ショーターや、ジョー・ヘンダーソン辺りと肩を並べ、後に新主流派と呼ばれる新しいムーヴメントの世界も匂わせる高テンションの演奏。本パフォーマンスを聴くと、アメリカのシーンを視野に入れても、1964年において如何にマンゲルスドルフが斬新であったかにも驚かされ、またヨーロッパのジャズ・シーンにおいての影響力の大きさも感じます。中には“Sakura Waltz”という楽曲も。日本のトラッド“さくら”のフレージングを下敷きにしたジャズ。この辺りのセンスも斬新そのものです。
 もともと、戦前のドイツにおいて、ナチに拘束されたという経歴も持ち、反骨の政治意識も強いアーティスト。この後1970年代には、ペーター・ブロッツマンや、ハン・ベニンクらと共演。グローブ・ユニティ・オーケストラへの参加、またジャコ・パストリアスとの野心作『Triologue』も発表していくマンゲルスドルフですが、1960年代の半ばにして、このサウンド。とても半世紀前の音とは思えない音に驚くとともに、歴史の偉大なる一頁が明らかになるこのリリースに貴重さを感じます。

 

ディジー・ガレスピー・クインテット『Legends Live Liederhalle Stuttgart,November 27, 1961 & Kongresshalle Frankfurt November 29, 1961』
 モダン・ジャズ・トランペッターの巨匠ディジー・ガレスピーの1961年11月27日のシュトゥットガルト、11月29日フランクフルトの未発表コンサート音源を1枚にまとめた作品。
 この時代は、ビッグ・バンドを率いてラロ・シフリンの楽曲を演奏した人気盤『Gillespiana』をリリースし、ディジー・ガレスピーもノリにのった時期。本作もそのシフリンをピアノに、また新進の若手レオ・ライトを迎えたクインテット演奏。超ご機嫌の充実の演奏を聴かせてくれます。その内容は、実に多種多彩。エリントン・サウンド特有のバネのあるビートが特徴のナンバーをオープニングにディジーのハイノートも高らかなハード・バップ的な演奏あり、これぞ、ディジーという代名詞的なラテン・ジャズ名曲“Con Alma”あり、言わずと知れたスタンダード“Willow Weep For Me”では、レオ・ライトのフルートをフィーチャー。かと思えば、これも、いかにもディジーといったユーモア感もたっぷりで、観客席から笑いも起こるヴォーカルをフィーチャーした“Oops-Shoo-Be-Doo-Be”のような楽しいナンバーも。

 かと思えば、華麗なハイノートと、中音域のまろやかな歌心が合いまったディジーのトランペットが魅力的な“I Can't Get Started”あり、ベースのみをバックにトランペットとのデュオでスリリングな予兆をみせ、ファンキーに突入する演奏もあり。
 オリジナルとスタンダードの配分も絶妙。ビバップの元祖であり、ハード・バップと、アフロ・キューバンの音楽の融合を試みたり、ディジーのオリジナルかつユニークな音楽性と、演奏家としてのテクニックが聴ける貴重な発掘音源。1961年とは思えない音質のクリアさにも驚きの発掘音源です。

 

【Bigbands Liveシリーズ】:エリントン&グッドマンの素晴らしき演奏記録~ほとんどが未発表!

デューク・エリントン・オーケストラ『Big Bands Live Liederhalle Stuttgart March 6, 1967』
 RCAに残した2枚の傑作『極東組曲』『ビリー・ストレイホーンに捧ぐ』の間、1967年3月のシュトゥットガルト公演を収録。未発表トラックも多数の充実の演奏です。
 この時期のエリントン・バンドには、クーティ・ウィリアムズ、キャット・アンダーソン、ポール・ゴンザルヴェス、ジョニー・ホッジズ、ハリー・カーネイ、ジミー・ハミルトン、ローレンス・ブラウン…と、連ねていけばバンド全員の名前をあげてしまうほどのスター揃いで素晴らしい演奏が聴けます。オープニングは、デューク・エリントン・バンドのテーマ曲ともなっていた言わずとしれた名曲“Take the "A" Train”。溌剌としてダイナミックな演奏は、これぞ、エリントン・サウンドと言うべきもの。スター揃いの演奏は、アンサンブルもソロも完璧。

 もともと、エリントンはそれぞれのソロ奏者の個性を思い描いてアレンジ。その時々によってサウンドも大きく変化し、その変化一つ一つが魅力にもなっていたのは言うまでもないことでしたが、役者がそろえば揃う程、その音楽は効果?絶大。ソリやノリといったリズムも、ハーモニーの調合感も絶妙に、力強くも、楽しく、可憐さも備え、豊かな浪漫も漂うこの演奏は、音楽の粋、そのものです。
 収録曲中5曲は、イギリスJazz Band Recordsから出ていたことがありますが、その他は初出。音質も素晴らしく、エリントン楽団の魅力を伝えてくれる、貴重なリリースです。

 

ベニー・グッドマン・オーケストラfeat.アニタ・オデイ『Big Bands Live Stadthalle Freiburg October 15, 1959』
 1959年にジャック・シェルドン(tp)、フリップ・フィリップス(ts)、レッド・ノーヴォ(vibes)、そしてアニタ・オデイ(vo)などを引き連れてベニー・グッドマンが行った欧州ツアーから、10月15日のフライブルクでの公演を収めた未発表音源のCD化。
 このグッドマンのオール・スター・バンドは、10月3日のミュンヘンでのコンサートから始まり、3週間にわたり、ドイツの他にもフランス、スウェーデン、スイス、オーストリアそしてアルジェリアの20の都市をめぐり、いくつかのコンサートがLP化されてもいますが、本公演は、他公演とは、内容も違っており、また1950年代とは思えないクリアな音源も大きな魅力です。コンサートはグッドマン楽団のテーマ曲“Let's Dance”からスタート。軽快にスウィングするサウンドは、グッドマンならではで、会場の歓声からも当日の盛り上がりを感じます。そして、何と言ってもこの音源の魅力は、グッドマン楽団のアンサンブルに加えて、アニタ・オデイの素晴らしいパフォーマンスが聴けることでしょう。ファッツ・ウォーラーの可憐なメロディが魅力な名曲“ハニーサックル・ローズ”からスウィング感も抜群に、バンドとも<あうんの呼吸>のノリ。それは軽妙にして洒脱、正に古きジャズの香りが満ち満ちた演奏と歌の共演。また、織り込まれたユーモアや、アドリブの余裕も絶妙にして絶品。

 アニタがロイ・エルドリッジと掛け合いで歌って有名になったナンバー“Let Me Off Up Town”が、ここではロイ・エルドリッジの代わりにジャック・シェルドンとの掛け合いに。「ヘイ・ロイ」と云う呼びかけに「俺は、ロイじゃない、ジャックだよ」と云うやりとりが見られるなど、メンバーのユーモアも滲み出て、微笑ましさも溢れています。1959年は、ジャズの名画として余りにも有名な『真夏の夜のジャズ』でのステージの翌年。その映画でアニタはラストに登場し、作品を美しく締めくくり、ジャズ・ファンのみならず映画ファンからも注目されることになりましたが、広くファンを魅了するのは、言うまでもなく歌い手の実力の証明で、そんな時期のこの録音は大変貴重と言えます。

 

カテゴリ : ニューリリース | タグ : ジャズ復刻&発掘

掲載: 2013年03月26日 20:00

更新: 2013年05月24日 11:25