カウフマン&パッパーノ/ヴェルディ:歌劇《ドン・カルロ》5幕版全曲 2013年ザルツブルク音楽祭ライヴ
ヴェルディの生誕200年を記念して上演され2013年のザルツブルク音楽祭のハイライトとなったオールスター・キャストによる「ドン・カルロ」。ドイツの大御所ペーター・シュタインによるオーソドックスな演出、舞台装置、衣装、照明は、どれをとっても不自然さは皆無。ヨナス・カウフマン、アニヤ・ハルテロス、トーマス・ハンプソンを始めとする歌手陣は言うまでもなく最高の顔ぶれ。イタリア語による5幕版と言うのも嬉しいところ。「やはりこの作品には(4幕版ではカットされた)フォンテンブローの森の場面が必要」と指揮者パッパーノも力説しています(パッパーノにとっては、コヴェント・ガーデンでの上演の映像以来2種類目の「ドン・カルロ」となります)。もちろん、カウフマンのカリスマ性はこの舞台でも遺憾なく発揮されており、彼が舞台に現れるだけで全体がぴりりと引き締まるのが素晴らしい。例えば、このオペラの見せ場の一つであるドン・カルロとロドリーゴの二重唱「われらの胸に友情を」では、最初、跪いたハンプソンとカウフマンがやがて立ち上がり、手を取り、向かい合い、思いの丈をこれでもかと歌い上げていく。この緊張感と高揚感、そして少しばかりの妖しい雰囲気はこの2人でないと出せないでしょう。パッパーノの流麗な音楽作り、そしてウィーン・フィルの濃密な響きは、凡庸な指揮者の手にかかると短調になりがちなヴェルディの音楽を存分に楽しませてくれます。(ソニーミュージック)
ヴェルディ:歌劇《ドン・カルロ》(イタリア語5幕版全曲)
【出演・演奏】ヨナス・カウフマン(T:ドン・カルロ), マッティ・ザルミネン(Bs:フィリッポ2世), アニヤ・ハルテロス(Sp: エリザベッタ), トーマス・ハンプソン(Br:ロドリーゴ侯爵), エリック・ハルフヴァーソン(Bs:宗教裁判長), ロバート・ロイド(Bs: 修道僧&カルロス5世), エカテリーナ・セメンチュク(Ms:エボリ公女),他, ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団, ウィーン国立歌劇場合唱団, アントニオ・パッパーノ(指揮)
【演出】ペーター・シュタイン
【舞台装置】フェルディナント・ヴェガーバウアー
【衣装】アンナマリア・ハインリヒ
【照明】ヨアヒム・バルト
【振付】リア・ツォラキ
【収録】2013年8月, ザルツブルク祝祭大劇場(ザルツブルク音楽祭でのライヴ)
【字幕】イタリア語、英語、フランス語、ドイツ語、スペイン語、韓国語、中国語
掲載: 2014年01月24日 11:45