クーベリック生誕100周年記念 ケルン放送響ライヴ1960-63(3枚組)
2014年6月29日に生誕100周年を迎えたチェコ出身の名指揮者ラファエル・クーベリック。ライヴを中心にクーベリックの名演奏の数々をリリースしてきたORFEOからまたひとつアニヴァーサリー・イヤーを飾る最高の一組が登場します。
ケルンWDRのアーカイヴ音源を使用したCD3枚組のボックス・セットは、1960年代初めにクーベリックがケルン放送響を指揮した複数のコンサートから編まれたもので、おそらくすべて正規盤としては初出の内容とおもわれます。
演奏の特徴として、作品の本質を的確に掴み、カチッと端正でありながら、ここぞというところでは熱のこもった部分にも事欠かないという、実演におけるクーベリックの持ち味がよく表われており、しかもメンデルスゾーンの『宗教改革』やハイドンの『時計』&102番などセッション録音の存在しないレパートリーが含まれるプログラム構成がおおいに興味をかきたてます。
そのうえ、3曲収録されている協奏曲がまた聴きもの。フィルクシュニー、シュタルケル、アラウと、ソリストがみな大物ばかりというのがなんとも嬉しい限りで、ここでしか聴けない特別な内容となっています。
チェコ出身のクーベリックにとって、ドヴォルザークはキャリアを通じて特別な作曲家であり、すべての作品も特別な作品であり続けましたが、ドヴォルザークのピアノ協奏曲におけるソリストは、同じくチェコの名手フィルクシュニーが務めています。1948年の政変でクーベリックが祖国を離れる以前、1946年に第1回プラハの春音楽祭がクーベリックのもとで催された際にも、クーベリックの指揮でフィルクシュニーは同曲を演奏しており、ここで同じ顔合わせが実現したことになります。
シューマンのチェロ協奏曲はシュタルケルが好んで取り上げていた得意曲で、すでに1957年のジュリーニ指揮フィルハーモニア管とのセッション録音、1962年のスクロヴァチェフスキ指揮ロンドン響とのセッション録音、1994年のデニス・ラッセル・デイヴィス指揮バンベルク響との共演盤と3種の異演をかぞえるほど。交響曲第3番と同年の作で濃厚なロマン薫る内容に、ここでも36歳の若きシュタルケルが熱い思いのたけをぶつけて圧巻。
シューマンの協奏曲を弾くアラウといえば、この1年後の1964年に同じクーベリックとの顔合わせでおこなったブラームスの第1協奏曲ライヴ盤(ORFEOR500991)があり、そこでの美しく、スケールおおきなピアノがたまらなく印象深いものでした。パワフルなクーベリックの音楽運びも特筆もので、相性の良さからくる熱演ぶりが思い起こされるので、ここでの内容にもおおいに期待が持てそうです。
【収録内容】
「クーベリック/ケルン放送響ライヴ集1960-1963」
[CD 1]79’25”
シューマン:チェロ協奏曲イ短調op. 129 24’37”/ヤーノシュ・シュタルケル(チェロ) 録音:1961年4月10日
ハイドン:交響曲第101番ニ長調Hob. I:101『時計』 29’34”/録音:1963年5月31日
ハイドン:交響曲第102番変ロ長調Hob. I:102 25’12”/録音:1961年4月10日
[CD 2]65’28”
シューマン:ピアノ協奏曲イ短調op. 54 32’50”/クラウディオ・アラウ(ピアノ) 録音:1963年5月31日
シューマン:交響曲第3番変ホ長調op. 97『ライン』 32’36”/録音:1962年9月20日
[CD 3]77'21”
メンデルスゾーン:序曲『フィンガルの洞窟』op. 26 10’17”/録音:1962年1月25日
ドヴォルザーク:ピアノ協奏曲ト短調op. 33 36’01”/ルドルフ・フィルクシュニー(ピアノ) 録音:1960年2月22日
メンデルスゾーン:交響曲第5番ニ長調op. 107『宗教改革』 31’01”/録音:1963年10月18日
【収録場所】
ケルン、フンクハウス、ザール1
【演奏】
ケルン放送交響楽団(現ケルンWDR交響楽団)
ラファエル・クーベリック(指揮)
【製作】ケルンWDR
ORFEOR 726143(3CD) ADD モノラル 222’14”
カテゴリ : ニューリリース | タグ : ボックスセット(クラシック)
掲載: 2014年08月07日 18:00