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HITOSHI ARAI ACOUSTIC BAND SET、アルバム『ACOUSTIC ROCK』発売!新井仁、インタビュー掲載中

HITOSHI ARAI ACOUSTIC BAND SET

スコット・ゴーズ・フォア、ノーザンブライト、ロンロンクルー、N.G.THREEなどの ヴォーカル&ギターで活動する新井仁。年間100本以上のソロ・アコースティック・ツアーを続ける中で構想されたアコースティック・バンドの作品がリリースされた。メンバーはベースにサニーデイ・サービスの田中貴、ドラムにスコット・ゴーズ・フォア、ノーザンブライトでも一緒に活動している 原 “GEN” 秀樹(通称ゲンちゃん)、ギターは若手ギタリストの望月貴壽。ゲストミュージシャンとしてコンコスの古川太一(ピアノ)&佐藤寛(ギター)、ノムソン・グッドフィールド(マンドリン&コーラス)を迎え、練習スタジオに自らの機材を持ち込み、録音のエンジニアリングから編集までを全て自らで手掛けた渾身のDIY作品。ノーザンブライトのセルフカヴァー、小沢健二の“今夜はブギーバック”を含む全10曲。最近の活動からこのアルバムを作成するに至った流れなどを訊いてみた。

インタビュアー:吾郎メモ
Photography by Megumi Suzuki

 

 

line

──このバンドはどういう感じでメンバーが集まったのかな?

「まずギタリストで若い子がいまして。サニーデイ・サービスで一緒の高野勲さん(ex.Freedom Suite、benzo)が函館出身なんですけど、高野さんが凄くお世話になっていた楽器マニアのお寺のお師匠さんがいまして、その師匠の息子さんなんです。俺らの歳の半分くらい(笑)。函館って北海道の入口なので、ツアーの時にお寺に泊めてもらったり、僕も凄くお世話になっていて、サニーデイが札幌でやる時とかもわざわざ観に来てくれたりして。それでそのお師匠が<息子が東京にいて、あと2年くらいしたらお寺を継ぐんだけど、ギターが出来るヤツなんだ><ちょっとスタジオで遊んでやってくれないか>と。で、ドラムの GEN ちゃんもサニーデイのベースの田中くんも師匠とけっこう交流があったんで、スタジオに入ってみようかと。で、スタジオで合わせてみたらホントにギターが上手で。まだ学生さんだからツアーには出られないんですけどね。曲もだいぶ溜まってきていた状態で<レコーディングしたいなぁ><メンバーどうしようかなぁ>って思っていた頃だったので、そこから始まった感じですね」

──SCOTT GOES FOR はどういう状態なんですか?

「ギターの坂木くん(坂木誠《Nudge' em All》)が忙しくなっちゃって、で、沖井くん(沖井礼二 《Frog、ex.Cymbals》)もプロデュース系の仕事が忙しくなってきたりっていうのがあって。本当は先にもう一枚くらいアルバム出したいというのがあったのですけど「自分の方を先に作ってしまおう」という感じになりました」

──では休業状態?

「そうですねー、今は僕がソロの方をがっつりやっちゃっているから、みんなも忙しそうなので、休業中って言ってもいいですかね。ただ、このアルバムを作ったから<また、SCOTTで作りたいな>というのもふつふつとあります。」

──いろんなプロジェクトを同時進行している印象があるよね

「はい、昔からですけど(笑)」

──たまにノーザン(ブライト)があったりとか、たまにロンロン(クルー)があったりとか、で色んなバンドが同時進行している中で、ずーっと続けてきたのがアコースティックの弾き語りソロ・ツアーになりますよね。これは何年くらいやってるんですか?

「えーっと、もう10年くらいにはなるかもしれないですね」

──けっこう全国津々浦々までやってますよね。

「本当に細かくやるようになってきたのはこの5年くらいです。それまではそんなに地方に繋がりもなかったので。それで少しずつツアーをやっていくうちにだんだんいろいろと繋がって。だんだん止まらなくなってきて(笑)」

──会場はどんなところでやってるんですか。

「カフェとかバーみたいなところもあるし、たまにライブハウスでもやります。ソロだから、アコースティックならではのところを狙ってるというか。普段ライブハウスに来ないような人も巻き込んでいけたらな、と思って。実は地方ばっかり行っていて関東ではあまりやれていないっていうのもあるんですけど(笑)」

──田中くんはサニーデイもやってるわけだけど、その辺の兼ね合いはどうなんですか?

「そのギターの子とスタジオに入ったのが2年前の春頃で、その年の9月にサニーデイでコヤブソニックに出るっていうんで練習に入ったりしていたんだけど、ドラムの丸山くんの体調があまり良くなくて。<今後のサニーデイの予定は?>って田中くんに聞いてみたら<なにも決まってなくて暇なんすよ、ラーメンの方ばっかで(笑)>みたいなことを言うから<一緒にツアー回ろうか>って」

──各地でラーメンも食えるし(笑)

「そうそう(笑)田中くんその頃はスネオヘアーもやっていなかったし、プロデュースは少し、ワンリルキスとかやっていたけど、あまりベースを弾いていなかったので。<じゃあ、一緒にライブやろうか>って話になって、ベースがいるならドラムも入れて、という感じで。僕もずっと一人でやってきて少し変化が欲しかったというのもあったし。ギターの子はまだ学生だし、4人で回ると動きもけっこう大変なので、ゲンちゃんにドラムをお願いして3人で回るようになったんです」

HITOSHI ARAI ACOUSTIC BAND SET

──今回のアルバムはツアー中にできた曲が多かったのかな?

「前からできていた曲も多くて<いつかレコーディングしたいな>と思っていたんですよ。実は GENちゃんには何曲かドラムを叩いてもらって録音はしていたんですよね。<あわよくばリリースできるかな>って思って試行錯誤しながら。だけど、なかなか納得いく音で録れなくて、、、っていうのを地味にずっと続けていて。GENちゃんには悪いんだけど<この曲叩いて>ってちょこちょこスタジオに来てもらって。それで今年の春に新しく録音用の機材を買って<おっ、これなら行けるかも!>ってなって。そこからですね。そこから<自分で作っちゃおう!>って」

──じゃあ、これはセルフ・レコーディングってことなんですか?

「そうですね。ミックスとマスタリングは結局自分ではやらなかったのですけど、録音に関しては全て自分でやりました。まぁ、昔からそういうことはやっていましたけどね。N.G.THREE の頃から」

──英語の歌詞と日本語の歌詞があるじゃないですか。これはどういうわけなんですかね?英語で自作でない歌詞もありますよね。

「英語の歌詞はフィル(フィル・ホッパー《N.G.THREE ex.Five Thirty》)に2曲書いてもらったのですけど、あとは自分で書いたり。それは、なんていうかな、曲に合う方で。というか、曲に合えば日本語でも英語でもいいかなぁーと。でも半々にしたのはわざとですね。<どっちもありだよ>みたいな感じで」

──みんなおどろくのは“今夜はブギーバック”のカヴァーだと思うんだけど、これはどういう経緯でカヴァーしようと思ったの?

「今回のアルバムのデザインもそうですけど、いつも僕のデザインまわりをやってくれている関西在住のKent Funayamaくんという僕よりちょっと年下の人がいまして、関西の方でよくライブも一緒にやっていて、それで<なんかセッションしよう>ということになって<なんでもいいから選んでよー>って言ったら<ブギーバックは?>ということになって、それで初めてやったんですよね。最初は小沢くんの曲だし、歌うのがちょっと恥ずかしかったんですよね。割と近い世代だったし。だけど実際セッションしてみたら<やっぱり名曲だなぁー><こういうアコースティックなアレンジで演るのもいいなぁー>って思って」

──最初、曲目とか見ないでアルバム聴いてて、あ、なんか聴いたことあるなー、この曲って。

「ベース・ラインとかですよね」

──歌い出しも変えてある?

「これは小沢くんが『Eclectic』っていうアルバムでセルフ・カヴァーしてるヴァージョンの方のカヴァーなんですよ。ラップが入らない方。ライブでやった時にもよく言われるんですよ<ブギーバック良かったです!あれ、ちょっと変えてあります?>って。ケントくんが<そっちのヴァージョンでやったらどう?>って持ってきてくれて」

──ツアーはこのバンドで続けていくかんじ?

「そうですね。みんなのスケジュールが許せば」

──ものすごい数やってるよね。

「やってますねー。この前は18本連続とか(笑)その時は一緒に回っていたKONCOSと半々くらいでブッキングをしていて<じゃあ、ここ俺やるから、ここ太一くんお願いします>みたいな感じでやっていたらハコの都合とかで全部埋まっちゃって<これ18連チャンだよね!>なんて。ホントは休みを入れたかったんですけどね」

──飲みにも行けないね!

「飲みには行ってましたけどね(笑)ちょっと控えつつ」

──今回、自主リリース(自己のレーベルLIFESTYLE MUSICからのリリース)になるわけですよね

「自主リリースはずーっとやりたかったのですけど、ノウハウがわからなかったのと、周りにリリースしてくれる人がいたというか。KOGA Recordsの古閑さんだったり、LD&Kだったり。でも、今更ソロ・アルバムをお願いするのもな、というのもあって、とりあえず自分でやってみて、自分で基盤を作って、若い子をリリースできるような環境作りもしていきたいなって。ノムソンくん(ノムソン・グッドフィールド)っていう凄く気に入ってるアーティストがいたり、元WINOの吉村潤くんとか。自分で聴いて<いいなぁー>って思う人を見つけたら、レコーディングして、プロデュースして出して行けたらなって。あちこち回っていると共演する人でけっこういい人がいるんだけど<ちゃんとリリースしていなくてもったいないなぁ>っていうのもあって」

──今回、バンド名もHITOSHI ARAI ACOUSTIC BAND SETっていうことで、アコースティック・ギターを中心にしたアレンジになっていますが、コンセプトとしてアコースティックというのがあったんですか?

「ここ何年間かアコギ1本でツアーやりながら書いた曲が多いので、アコギ中心の曲構成になっているというのが大きいですかね。でもメンバーも揃ってせっかくバンド編成で出来るようになったので、新井仁っていうソロ名義ではありますけど、バンドいうイメージいきたいなっていうのがあってACOUSTIC BAND SETという名前にしました。
あとはレコーディングの録り音をなるべく加工しないで鳴ってる音でその場で聴こえている音で録りたいなと。ドラムは電気を使ってないからアコースティック、ベースとエレキ・ギターは電気を使っているからアコースティックではないのですけど、<ナチュラルな鳴っている音そのままで>というニュアンスを込めて<アコースティック・ロック>という感じにしたかったんですよね。ピアノもアップライトピアノだし。レコーディングやミックスをやっていると、どんどん音を重ねたくなっちゃったり、リバーヴとかディレイを使ってふわっとさせたくなったりしちゃうんですよね。自分でやっているとゴールが見えなくてキリがないというのもあって<アコースティックなロック>というコンセプトで作りました。
今回レコーディングをしたのは池袋のハモン・スタジオっていう小さなスタジオで、とある理由で立ち退きをすることになってしまって、、、それが8月いっぱいっていう話だったんですよ。僕の予定としては<7月にツアーをやって、8月は暑いから休んで(笑)、まぁ年内くらいに完成すりゃいいや>みたいにのんびり考えていたんです。そしたら7月に<来月でスタジオが閉まっちゃうんです>みたいなことをオーナーくんから言われて<やばい!>ってなって。オーナーくんも含めてそのスタジオの雰囲気が大好きだったんですよ。生ピアノも置いてあったり。ニャンコもいたり。移転ということになってはいたんだけど、その場所は一旦なくなってしまうみたいで。<7月中は普通に営業してるけど、8月中に立ち退きです>ということで、8月中ずーっとスタジオに籠って、引っ越し作業をしている横でレコーディング作業をさせて貰っていました」

──そのおかげでいま作品としてあがってる。

「そうなんですよ。9月にまたKONCOSとのツアーが控えていたから<だったらそれに間に合うように完成させよう!>と思って。僕が悶々と作業をしている横で、オーナーくんはせっせと引っ越し作業をしながら、たまに<どうすか?調子は?>なんて。それでそのスタジオのオーナーくんに仕上げのミックスとマスタリングをやってもらって。だから彼も今回の作品に思い入れがあるというか、自分のやっていたスタジオの最後の音が記録できたというか。2人ともキツキツの状態だったから、出来上がった時はもう感激しましたね。そういう思いが詰まってます」

──その頃だっけ?ライブ観たのは?

「録る前ですね。6月くらい?<録ろうかなー>って思っていたところで、ドラムだけは半分くらい録り終えていたのかな。ドラムがいい音で録れていたので<行ける!>と思っていて。その時<自分で出そうと思っている>って言いましたっけ?」

──うん、言ってたね。

「言いましたよね。そしたら<自分でやっちゃえば?>って言ってくれたんで、その後押しもあって。」

──その時のライブは本数たくさんやってるだけあって、バンドとしてまとまってて、CD を聴いて納得したというか。でも、アルバムは一発録りってわけでもないんですね。

「本当は<せーの>で一発録りしたかったのですけど、となるとある程度広いスタジオじゃないとできなくて。でもなるべく一発録りっぽい雰囲気は出したいなと思っていたから、ツアーでライブをいっぱいやって、録る前にはみんなでスタジオに入って練習して。ただピアノの KONCOSの太一くんに関しては一緒には練習をしていなくて。もともと4人でどうにかやろうと思っていたので。でもスタジオで生ピアノが目の前にあって<何曲かピアノを入れたいなぁー>と思ってきまして。で、ブギーバックのフレーズは自分で弾いて既に録音していて、ピアノを入れちゃうと他の曲にも欲しくなってきちゃって。生ピだったし。それで太一くんに弾いてもらったら凄く良くて!太一くんは元々はドラマーで<ピアノは僕インチキですから(笑)>って自分で言うくらいの感じで、凄く上手いわけではないんだけど、なんかいいフレーズを弾いてくれるんですよね。ピアノの人って上手すぎる人が多くて、たいていの場合<そんなに弾かないでいいですよ>ってお願いをするんです(笑)。太一くんは自分で<まだまだなんですよ>って言っているくらいなんだけど、音楽を凄くいっぱい聴いていて、凄くセンスがいい。<こんな感じの曲はやったことないっすよー>とか言いながら楽しんでやってくれて<新井さんが良ければもっと弾きたいです>って言ってくれて、忙しいスケジュールを合わせてくれて」

──ツアーでもピアノで参加してる感じなんですか?

「7月中のツアーでは一緒にやっていなくて、レコーディングの頃には9月のツアーも決まっていたから<9月のツアーの時には一緒にやりましょう>って言っていたんです。7月のツアー中毎日僕らの演奏を聴いてくれていたから、曲はもうだいぶ頭に入ってくれていたみたいです」

──今後の活動とか、どうしようかな、とかいうのがあれば教えてください。

「さっきも言いましたけど、スコッツもやりたいし、他のバンドも誘われるままにやっているんですよね。ロンロンクルーも<イベントやるから出てよ>と言われれば出るし<ノーザンやろうよ>と言えばライブやるし。基本的には自分のソロ・ワークというのが中心の LIFESTYLE MUSIC になると思うのですけど、できる限りいろいろやっていきたいなぁと。
最近、地方あちこちに行くのはみんなやり始めてきているので、それは凄く嬉しいことで、昔からいっぱいやっていたとは思うんですけど、ミチロウさんとかギターパンダさんとか数限りなくいるけど、ヒックスヴィルとかホフディランとか、もちろん KONCOS もそうだけど、僕ら界隈の人たちが地方に行くようになってきてくれたので、逆に僕はそろそろもう少し落ち着こうかな(笑)。最初ソロで動こうかなと思った時に、音楽をやってる者の夢として<毎日歌っていられたら幸せだな>なんてところがあって。僕は裏方さんというよりはどっちかというと歌う方なんで、沖井くんとかは裏方さん的な仕事が凄い得意で、そっちの方の才能が凄くある人なんだけど、僕はたぶん向いてないかなー。だから自分はできるかぎり歌って回ってみたいなライフスタイルを夢見ていて。ソロ・アルバムの『On the Street』もそういう旅のコンセプトで作ったりしていて。当時USTREAMとかが出始めて<地方に居てもパソコン上でリアルタイムでライブが観れちゃう、ってこれはヤバいぞ>って。自分たちもUSTREAMで地方に発信したりしてましたけどね。でも<これじゃなんだかなぁー>って。<だったら自分があちこち行って、生の演奏を見せてやろう>という風に思ってこの活動を始めたんですよ。地方に行くとライブというものがあまりなかったりするから、普段からあまり音楽を聴かなかった人やライブハウス行かなかったような人も来てくれて、音楽に興味を持ってくれて、そこで繋がってくれて<これは凄くいいな>と思って続けきて。それにみんな気づき始めてくれて、みんなあちこち行くようになってきていて、ある意味地方が活性化されてきていると思うんですよね。うん。あちこちでアンテナ張って待っていてくれている人っているんですよね。やっぱり。数は少ないのかもしれないけど、そういう人がいる限り僕は行きたいなと思ってて。ただ、みんなもツアーをやってくれるようになったから、僕は少し落ち着いてもいいかなと思ったりもして(笑)」

HITOSHI ARAI ACOUSTIC BAND SET



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タグ : J-インディーズ

掲載: 2014年11月18日 20:18