アッシュ、8年振り6枚目のスタジオ・アルバム
2分30秒のピュアなパワーポップ曲「コクーン」とともに、2015年2月18日の”アッシュ・ウェンズデイ(灰の水曜日 / 復活祭の46日前の水曜日)”にASHはカムバックした。。「これこそASHの最高の状態だよ。ギターの壁があり、甘いメロディーのチェイサーが付いた一杯のアドレナリンのような曲だ」とドラマーのリック・マックマーレイは語る。リックの明確な声明と共に「コクーン」はBBC6やXFMといったラジオ曲から直ぐにサポートされ、来るべきアルバムの大胆な導入となった。
ASHが最後のアルバムとなると宣言した『トワイライト・オブ・ジ・イノセンツ』から8年の月日が流れた。その後、ASHは「一年間で26曲、アルファベットの各文字のシングル曲を2週間毎に発表していく」という前代未聞の企画”A-Zシリーズ”に着手し、アルダーショット(Aldershot / 英ハンプシャーにある街)からゼナー(Zennor / 英コーンウォールにある街)まで、アルファベットのAからZの街をツアーする”A-Zツアー”をおこなった。一旦アルバムの制作は別のところに置いておくというASHの決断は、1年をかけて26曲をリリースするという一味違ったバンドのダイナミズムを生み出した。「”A-Z”の企画はクリエイティヴで偉大な作業だったよ。僕らは自らの決断でこの企画を行った。けど僕らはまだ”アルバム”というフォーマットを愛しているんだ。8年もアルバム制作から離れていたから”アルバム”というフォーマットに対しての新たな愛を僕らは発見したんだ。再び”アルバム”を念頭に置いて音楽について考えることができたのは本当にエキサイティングなことだよ」とバンドは語っている。
ASHは『カブラモ!』にライヴのエッセンスを取り込もうとした。それは2004年のアルバム『メルトダウン』や『フリー・オール・エンジェルズ』のシングルが持つものだ。「僕らは”A-Zシリーズ”の曲からエレクトロニックなオーヴァートーン取り払ったんだ。そして流れるようなギターを中心としたレコードを作ったんだよ。そう、何がバンドのアトミック・ハート(アトミック・ハートはバンド自身のレーベル名でもある)を作っているかがアルバムの曲を聴けばわかるよ。このアルバムはまさにバンドの内臓表現だ。1992年のバンド結成から僕らが何に突き動かされてきたかを表現しているんだ。パッション、メロディ、そしてASHだ」と彼らは語る。そう、新しい音楽を作るために一つの部屋に一緒にいることの興奮をタイトルの『カブラモ!』は表現している。収録されたどの曲からもそれは感じ取ることができる。一緒にプレイするという新たな熱意がアルバムの12曲には込められており、それによってASHはイギリスで最も愛されるバンドとなっているのだ。「フリー」と「ムーンダスト」はアルバムの中でもアンセミックな曲だ。「フリー」は遠大なファルセットがギターリフの上で反響するエモーショナルなギター・ソロを持った挑戦的な叫びのようだ。「ムーンダスト」は力強いクレッシェンド作り上げながらスウィートなキーとストリングスの悲しげな恵をもって僕らの心を魅了する。一方、全ての曲がこうした高遠な曲ではない。「シャットダウン」はトリオとしてのASHのルーツを感じさせる。スリー・ラインのコーラスを持ったこの曲には90年代の懐かしさがあり、10代のパンクスピリットに満ちている。9曲目の「ディスパッチ」はカレッジロックだ。
「僕らはついにライヴとレコーディングの溝を埋めることができた。『カブラモ!』こそがその証明だよ」とバンドは語る。
【ASH(アッシュ)】
1992年、北アイルランドで学友であったティム・ウィーラー(Vo, G)、マーク・ハミルトン(b)、リック・マックマーレイ(Dr)の3人でバンドを結成。1996年、ファースト・アルバム『1977』をリリース。アルバムは英チャートで1位を獲得しプラチナ・ディスクとなる。1998年のセカンド・アルバム『ニュークリアー・サウンズ』は、高い評価を獲得しゴールド・ディスクとなるが、チャートは最高位7位に留まる。2001年、サード・アルバム『フリー・オール・エンジェルズ』をリリース。アルバムは再び英チャートで1位を獲得しプラチナ・ディスクとなる。2004年、アメリカ進出をねらった4枚目のアルバム『メルトダウン』をリリース。チャートは5位を記録しゴールド・ディスクとなる。2007年リリースの5枚目のアルバム『トワイライト・オブ・ジ・イノセンツ』は、デジタル配信とアルバム・セールスの衰退の時代において、チャートも32位と苦戦を強いられる。バンドは「人々の音楽の聞き方が変わった。ダウンロードの到来によって単体の曲に重きが置かれるようになった」と同作が最後のアルバムになると発表。2009年、膨大な数の新曲を書き上げたバンドは、「一年間で26曲、アルファベットの各文字のシングル曲を2週間毎に発表していく」という前代未聞の企画「A-Zシリーズ」を発表。2010年にはこの26曲をコンパイルした2枚のアルバム『A-Z VoL.1』『A-Z Vol.2』をリリース。『A-Z VoL.1』はオリコン洋楽デイリー・チャート1位を獲得するなど、バンドの変わらぬ人気を証明した。
タグ : UK/US INDIE
掲載: 2015年05月07日 12:24