第1話がシューリヒト指揮の“ハフナー”のアナログ盤を題材としたマンガ「ショパンの事件譜」
アナログ盤のもつ豊かな音色と表現に魅せられた人々は、時にその魔力に絡め取られてしまう…
閑静な下町・谷中に佇むレコード店、奏(かなで)音楽堂を舞台に、音楽と人の織り成す謎を紐解いてゆく、新感覚音楽ミステリー。(小学館の紹介文より)
中古レコード店がマンガの題材になるのも意外ですが、その第1話がカール・シューリヒト指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団による英デッカでステレオ未発売に終わったモーツァルトの交響曲第35番「ハフナー」に関するミステリーになっているのが、クラシック・アナログ・ファンにとっては堪らないことでしょう。
1956年録音のシューリヒトの「ハフナー」は、英デッカではモノラル盤が発売されただけで、結局CD時代になってもデッカからは一度もステレオでは発売されていません(デッカからライセンスを受け、英EMIが「偉大な20世紀の指揮者たち」シリーズで、キング・レコードがロンドン・レーベルでCD化したことはあります)。
2014年12月にタワーレコード限定で発売したCDが、世界で初めてデッカ・レーベルで出たステレオの「ハフナー」となります。ジャケットは英デッカがモノラルで発売した時のデザインを使用しました。ちなみに同日に録音された「未完成」はステレオで2度デッカからLP発売されたことがあります。
このマンガの第1話では、世界に数枚しか残されていない「ハフナー」の英デッカ・テストプレス・ステレオLP(レコード会社内の検討用の試聴盤)を所有する弁護士が、英デッカ・レーベルのコレクターに殺されるところから物語が始まります。
シューリヒトの「ハフナー」「未完成」のステレオLPはアメリカ盤では一度発売されたことがあり、日本でもキング・レコードから幾度となく発売されたのですが、英デッカ・オリジナル・プレスでないことと、当時の商標権の都合で日米ではロンドン・レーベルとなっているので、英デッカのテストプレス・ステレオLPは最高のコレクターズ・アイテムとなっています。
もちろん、このマンガはクラシックだけでなく全ジャンルのアナログ盤を題材にしていますから、アナログ・ファンであれば楽しめる内容となっています。
クラシック音楽を聴きながら、久しぶりにマンガでもいかがでしょうか。
(タワーレコード)
カテゴリ : ニュース タワー限定 タワーレコード オリジナル企画
掲載: 2015年10月27日 15:00