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イスラエル出身のギタリスト、ギラッド・ヘクセルマン、10年振りのギター・トリオ作

Gilad Hekselman

全曲ギター・トリオ。ベースとドラムもちろん不動のマーチン&ギルモア。(※2曲/ジェフ・バラード参加)。10年の時を経たギタリストのマイルストーンといえるものが記録されました。

透明感と浮遊感が溢れる音色と、牧歌的な雰囲気をもったコンポジション。コード・ワークとソロ・フレーズを重ね合わせ、面としてのハーモニーと線となるフレージングを巧みに織り合わせて行く奏法は、一作ごとにソフィスティケイトされ、確実にアップデイトされていく印象。ジョー・マーチン、そしてマーカス・ギルモアとも演奏を重ねて、“あうんの呼吸”の域に達してきている他、三者で世界を拡張していく様は、正にレギュラー・バンドとしての貫禄でしょう。

特に、シンプルなドラム・ソロから、畳みかけるような高速のフレージングと間を活かした演奏で、劇的な展開を見せて行くM3は、ドラムもツイン・ドラムとなった強力トラック。また数々のオリジナルに加えて、バド・パウエルのバップ・ナンバーや、バーデン・パウエルのブラジリアン・ナンバーをフィーチャーしている点なども興味が尽きません。

ポスト・パット・メセニー、ポスト・カート・ローゼンウィンケルという形容がなされる現在、数々のギタリストが群雄割拠する中で頭一つ抜け出た感が濃いギラッド。

ちなみにM10は言わずと知れたパット・メセニーの大名曲。シンセを効果的に使ってオーケストラ的に描いたオリジナルをシンプルにトリオで描いたところも、注目です。

掲載: 2015年12月22日 22:08