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ハープの新生、中村愛~日本人作曲家のハープ曲を集めたアルバム リリース!

中村 愛~風と愛/日本のハープ音楽80年

驚くべきアルバムの出現です。これまで邦人のハープ作品集といえば、前衛的なものか、ハープ界だけで有名な作品ばかりでした。しかし、なんと伊福部昭、早坂文雄、清瀬保二がオリジナルのハープ曲を残していました。
日本人の手による最初のハープ曲は、1936年に石田一郎作曲した「牧歌」といわれていますが、今回ほぼ同時期に福田蘭童が五所平之助の映画のためにハープ曲を作っていたのを発見。80年間の日本のハープ曲のうち、前衛的でなく美しいメロディに満ちたものの系譜を俯瞰します。
注目は伊福部昭が映画「ビルマの竪琴」のために書いた5曲。伊福部は「埴生の宿」「荒城の月」「仰げば尊し」など既存曲をそのまま使わず、全部自分流に書き直しています。凄まじいのが中山晋平の有名な「コガネムシ」。完全に伊福部ワールドで、重量感のあるオスティナート、fffのグリッサンドが渦を巻きます。映画中、音楽はみなフェードアウトしているため、初の完全録音の登場となります。さらに未使用ナンバーも日の目を見ます。これまた伊福部調でファン狂喜。
「ウルトラセブン」の冬木透が人気時代劇「風」のために作曲したハープ・ナンバーを、今回の録音のために改訂。冬木ファン感激の美しすぎる世界。また、冬木がハープ用に編曲した「赤とんぼ」「もみじ」「グリーンスリーヴス」も貴重。「ウルトラセブン」と同時期の作で、「もみじ」の序奏には、円谷特撮サウンドがエコーします。
もうひとつの注目は、友人の作曲家たちが、彼女に捧げた新作。2015年11月に日本人として初めてジュネーヴ国際コンクール作曲部門で優勝して、注目の薮田翔一の新作を聴くことができます。まさに「小室サウンド」の美しくポップな曲で、癒されます。

演奏の中村愛(なかむらめぐみ)は人目を引く美貌の持ち主ながら、伊福部や清瀬作品を熱愛する貴重な逸材。解説も恩師モルナールを軸に、ハープ奏者たちと日本の作曲家の創作の関係を綴った興味津々の力作を自身執筆しています。
美しいメロディにあふれる曲ばかりですが、ハープの優雅さはもちろんながら、あるときはオーケストラ、あるときは箏、あるときはオルゴールになる想像以上の表現力に、目から鱗が落ちます。

※こちらの『ヨセフ・モルナール ハープ・リサイタル』では、中村愛が解説を書いております。

~中村 愛(なかむら・めぐみ)~
千葉県出身。4歳よりピアノを始め、12歳よりハープを始める。ハープをヨセフ・モルナール、木村茉莉、篠崎史子の各氏に、室内楽を故・島崎説子女史に師事。第9回大阪国際音楽コンクールハープ部門第3位。ハープ協会主催新人演奏会、東京音楽大学千葉県支部主催新人演奏会出演。2011年2月、すみだトリフォニーホールにて初リサイタルを開催、好評を博す。ソロ・室内楽の演奏会を中心に、群馬交響楽団、ベトナム国立交響楽団、中国・武漢管弦楽団等との共演から、ブラス、オペラまで活動も行う。東京音楽大学大学院科目等履修修了。
(キングインターナショナル)

中村 愛(なかむら・めぐみ)(ハープ)

風と愛~日本のハープ音楽80年
【曲目】
1.伊福部昭:ビルマの竪琴組曲(1956)
【No.4(未使用曲)/埴生の宿/荒城の月/斥候(コガネムシ)/仰げば尊し】
2.石田一郎:牧歌(1936)
3.福田幸彦(蘭童):映画「新道 前篇朱実の巻」より(1936)
4.露木次男:花(1938)【月見草/三色すみれ/虞美人草】
5.山田耕筰(冬木透編):赤とんぼ(1968)
6.岡野貞一(冬木透編):もみじ(1968)
7.雨田光平:初夏草心抄(1948)
8.モルナール:さくらさくら(1960年代)
9.イギリス曲(冬木透編):グリーンスリーヴス(1968)
10.清瀬保二:小品三章より第1曲(1971)
11.早坂文雄:雨月物語より No.13(1953)
12.伊福部昭:ゴジラ対モスラ~モスラ宇宙へ(1992)
13.冬木透:かがりの風と愛/姉と弟(1967/2015)
14.平田智暁:アンティークの首飾り(2015)
15.江原大介:ハープ・ドリームズ(2015)
16.薮田翔一:セレーネ(2015)
【演奏】
中村愛(ハープ)
【録音】
2015年9月24日、10月19日、11月18日、2016年1月26日 キング関口台第1スタジオ

カテゴリ : ニューリリース

掲載: 2016年03月01日 16:00