プリンスが絶賛した歌姫キャンディス・スプリングスがBlue Noteからデビュー
photo by Mathieu Bitton
2014年9月30日にデビューEP『Kandace Springs』を発売すると同時に、瞬く間にiTunesチャートを駆け上がり話題となった、ソウル&ジャズ・シンガー、キャンディス・スプリングスのデビュー・アルバム。ノラ・ジョーンズ直系ともいえるBlue Noteからの新世代歌姫のデビュー・アルバム。
先日惜しくも亡くなってしまったプリンスは生前にキャンディスの声を“A voice that could melt snow”「“雪さえも溶かすほどの(温かい)声”」と絶賛。キャンディスがカヴァーしたサム・スミスの「ステイ・ウィズ・ミー」を聴いたプリンスが、彼女に興味を持ち、ペイズリー・パークで行われた「パープル・レイン」の発売30周年記念コンサートで一緒にパフォーマンスをしようと彼女を誘ったほどであった。
2014年にリリースしたセルフタイトルのEPでは、リアーナ、ニッキー・ミナージュ、ミゲルなどを手掛けるポップ&オークがプロデュースを担当し、コンテンポラリーR&Bやヒップホップの要素が強く出ていたが、アルバムのレコーディングに入る際、キャンディスには「まだ本当の自分の歌が歌えていない」という気持ちが強くあり、長年彼女のプロデュースを手掛けてきたカール・スターケンやエヴァン・ロジャースとの会話を通じて、彼女は自らの魂や音楽性を探求。幼い頃に影響を受けたジャズやナッシュビルで育った環境から、壮大でオーガニックなサウンドに立ち還ることとなった。
本作のプロデューサーにはジョニ・ミッチェル等を手がけ、グラミー受賞経験のある名匠ラリー・クラインを起用。ノラ・ジョーンズの出世作となった「ドント・ノウ・ホワイ」を作ったジェシー・ハリス書き下ろしによる楽曲や、アルバムタイトル曲となったマル・ウォルドロンの「ソウル・アイズ」、カントリー・シンガーのシェルビィ・リンの楽曲、さらにはウォーの「世界はゲットーだ!」など様々なジャンルの曲のカヴァーと、自身のソングライティングによる楽曲が収録されている。
ソウルフルでありながらも、女性らしいしなやかさと強さを兼ね備えたヴォーカルとピアノ・プレイがより際立つ仕上がりとなっている。その楽曲全てにキャンディスのピアノがフィーチャーされている他、レコーディング・メンバーには、テレンス・ブランチャード(tp)、ディーン・パークス(g)、ジェシー・ハリス(g)、ヴィニー・カリウタ(ds)、ピート・クズマ(org)、ダン・ルッツ(b)、ピート・コーペラ(per)といったミュージシャンが参加。ソウル、ジャズ、ポップスなど様々なジャンルの音楽を吸収し、取り入れているにも関わらず、非常に新鮮で過去に囚われないサウンドを持った類いまれなるアーティスト。2016年、Blue noteが送り出すノラ・ジョーンズ直系ともいえる大型女性シンガー・ソングライター&ピアニストのデビュー。
掲載: 2016年05月25日 11:00