呪詛的チャントと圧巻のブラスト・ビートが融合!ジール&アーダー
スピリチュアルなアフリカン・アメリカン・ビートとブルース、そしてブラック・メタルを同居させた、得も言われぬ不気味なサウンドを作り上げる、スイス系アメリカ人Manuel Gagneuxによるプロジェクト、ジール&アーダーの罪深き作品『DEVIL IS FINE』が、とうとう世に放たれる事となった…!
タランティーノの映画に出てくるキャラクター、ジャンゴがステージ上でヤギを生け贄として捧げている間、恐るべき奴隷のチャントと背景を焼き尽くすかのようなギター・リフが周りを取り囲み、そのリズミカルなビートが悪魔召喚の調べへと転じ、その後あの不気味なまでのノルウェー・ブラック・メタルのメロディが沸き起こってくる…。そんなイメージを想像すれば、この新たなる稀有の存在、ジール&アーダーの放つサウンドに近づけるのかもしれない。誰もが体験したことのないサウンドが封じ込まれたこの作品は、まぎれもなく最も奇妙で、最も独特で、最も謎に満ち、そして最も素晴らしい作品だと言えるだろう。
悪魔的儀式や犠牲、炎や血といった典型的なブラック・メタル的要素を主題にしているものの、このジール&アーダーは不敬にも、鎖につながれた囚人:奴隷たちのスピリチュアルな歌声/チャントでその歌詞を語るという、あまりに罪深いサウンドを作り上げてしまった。例えて言うならば、コットン畑から生まれたブラック・メタルとでもいえばいいのか…。予想もしない音空間に魅入られてしまったら最後、その悪魔の淵から逃れることが出来ないほどの背徳的魅力に満ちたアルバムが誕生したのだ。
「まさかこのアルバムを大勢の人に聴いてもらえるようになるとは考えもしなかった。特に何か音楽的文脈があるわけでも、何かのジャンルに迎合するようなものでもなく、単純に私が個人的に気に入っているものに過ぎないのだから」とこの首謀者でもあるジール&アーダー=Manuel Gagneuxはコメントしているのだが、そのあまりに奇妙でユニークで、かつ魅力的なサウンドは、Rolling Stone誌やAlternative Press誌からも賞賛を受けるほどの出来なのだ。彼が放つサウンドが気に入った人は、この罪深きサウンド/作品に逆に魅入られた、選ばれし人達なのかもしれない…。
タグ : ハードロック/ヘヴィメタル(HR/HM)
掲載: 2017年01月17日 15:00