ダンディの愛弟子、セヴラックの師!ブランシュ・セルヴァの貴重な復刻盤!
ホアン・マッシア(ヴァイオリン)とブランシュ・セルヴァ(ピアノ)
ブランシュ・セルヴァ(1884~1942)はカタロニア人の父とロレーヌ出身の母のもと、フランス中部のブリーヴ=ラ=ガイヤルドで生まれました。幼い頃から楽才を発揮し、9歳でパリ音楽院に入学しソフィ・シェネ夫人(1847~1898)に学び、一等賞を獲得。1年間、アルフォンス・デュヴェルノワ(1842~1907)に作曲を学んだ後、12歳でパリ音楽院を卒業しました。
13歳で初のリサイタルをローザンヌで開催。この頃、ヴァンサン・ダンディ(1851~1931)の「フランス山人の歌による交響曲」をコンサートで聴き、感動。1899年8月、15歳の彼女はダンディに面会に行き、ダンディも彼女の才能に驚き、彼女の演奏会をフランス各地で開くように計らいます。1900年にはパリでデビュー。演奏活動と並行してスコラ・カントルムで和声法、対位法、グレゴリオ聖歌、音楽史を学びました。18歳の誕生日(1902年1月29日)にはスカラ・カントルムのピアノ科の教授に就任しました。
丁度同じ頃、パリ音楽院のアカデミズムに嫌気がさし、スコラ・カントルムに移籍した青年がいました。デオダ・ド・セヴラック(1872~1921)です。彼はダンディとマニャールに作曲を、セルヴァとアルベニスにピアノを学びました。1903年、19歳のセルヴァは作曲家の友人たちと定期的に会合をもつようになります(1910年まで)。メンバーはダンディ、セヴラック、ルーセル、アルベニス、デュカス、カントルーブ、マニャールといった錚々たる顔ぶれでした。こうした交友の中で、セルヴァは1904年にセヴラックの《鉛の兵隊》(4手)をリカルド・ビニェスとともに初演、1906~1909年にアルベニスの《イベリア》第1巻~4巻を初演、第2巻はセルヴァに献呈されました。1911年にはルーセルより《組曲嬰へ短調》を献呈され、初演しています。
1904年にはバッハの全鍵盤作品を17回のコンサートで演奏。このうち《ゴルトベルク変奏曲》はフランス初演でした。1915年から1923年にかけて7冊のピアノの教則本を執筆。1921年に弟子のセヴラックが亡くなると、未完で残された《休暇の日々》第2集の第2曲と第3曲を完成して、遺作として発表しました。
1922年に彼女はスコラ・カントルムを離れ、フランス南部マス・デル・ソルでの夏期講習を実施。1924年、彼女は若いカタロニアのヴァイオリニスト、ホアン・マッシア(1890~1968)と出会い、デュオチームを組み、1925年以降はバルセロナを拠点として教育活動と演奏活動を行いました。1927年のベートーヴェンの没後100年祭には、ピアノ・ソナタ全32曲と、マッシアとのヴァイオリン・ソナタ全10曲を演奏し、「ベートーヴェンのソナタ」というタイトルでカタロニア語の講義も行いました。一方、パリの出版社は6年前に亡くなったセヴラックの伝記を書くように彼女に依頼し、彼女は快く引き受けました。
1928年からはコロムビア・レコードと契約し、マッシアとの二重奏を含む大規模な録音計画が立てられましたが、1930年11月に突然左腕が麻痺し、以後、演奏活動を行うことができず、録音もCDに直して2枚分が残されただけとなりました。その後1936年まではバルセロナで教鞭を取りましたが、スペイン内乱が起きると、フランス中部のクレルモン=フェランに移り、教育活動を続けました。1942年12月3日、がんのため亡くなりました。
(タワーレコード 商品本部 板倉重雄)
『コロンビア録音1929-1930』
【曲目】
[CD-1]
J.S.バッハ:パルティータ 第1番 BWV.825
Columbia D15234-5/WLX1020-1023 (1929年5月4日パリ)
C.フランク:プレリュード、コラールとフーガ
Columbia LFX168-70/WLX1382-1387 (1930年6月5日マドリード)
D,de セヴラック:ひなたで水浴びする女たち、リィヴィアのキリスト像の前のらば引きたち(セルダーニャより)、祭りの農家をめざして(ラングドックにて)
Columbia D15142/WLX771,771 | D15141/WLX791,792 | D15140/WLX793,794(1929年1月7日、11日パリ)
J.ガレータ:サルダーニャ
Columbia D2594/WL2302-1,2303-1 (1930年6月3日マドリード)
[CD-2]
J.S.バッハ:ヴァイオリン・ソナタ ホ短調(2楽章)BWV.1023*
Columbia LFX108/WLX750 (1929年1月3日パリ)
L.van ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ 第5番 Op.24「春」*
Columbia LFX105-8/WLX777-3, 1370-1374 (1929年1月9日、5月13日パリ 1930年6月2日マドリード)
C. フランク:ヴァイオリン・ソナタ イ長調*
Columbia LFX100-3/WLX1378,1379,1780,1781,1388,1390,1391 (1930年6月3-6日マドリード)
【演奏】
ブランシュ・セルヴァ(ピアノ)
*ホアン・マッシア(ヴァイオリン)
【録音】
1929-30年 パリ、マドリード
カテゴリ : ニューリリース
掲載: 2018年04月11日 00:00