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日本を代表するテノール歌手、村上敏明のデビュー20周年記念アルバムは、心から愛してやまないイタリアン・アルバム

村上敏明


数々のオペラで主演し、いずれも大成功を収め、2012年より7年連続で、NHKニューイヤーオペラコンサートに出演するなど、日本を代表するテノール歌手として、活躍の幅を広げている村上敏明のデビュー20周年記念アルバムです。長年にわたり檜舞台の第一線で歌い続けてきた村上敏明が、こよなく愛するイタリア・オペラ・アリアからイタリアン・ポポラーレまで全17曲を収録。
彼自身のアイデアによるピアノ、ヴァイオリン、マンドリンとのアンサンブルはまさにヴィヴァ・イタリア!心から愛してやまないイタリアに捧ぐ、パッションとロマン溢れる珠玉の名曲をご堪能下さい。

【曲目】
1.陽はすでにガンジス川から(スカルラッティ)
2.愛の喜びは(マルティーニ)
3.サンタ・ルチア(コットラウ)
4.泣かないお前(デ・クルティス)    
5.太陽の大地(ダンニバーレ)
6.つれない心(カタリ・カタリ)(カルディッロ)
7.コメ・プリマ(ディ・パオラ、タッカーニ)
8.ヴォラーレ(モドゥーニョ)
9.君と旅立とう(タイム・トゥ・セイ・グッバイ)(サルトーリ)
10.「リゴレット」“女心の歌”(ヴェルディ)
11.「イル・トロヴァトーレ」“ああ、愛しい人よ”(ヴェルディ)
12.「イル・トロヴァトーレ」“見よ、あの恐ろしい炎を”(ヴェルディ)
13.「アイーダ」“清きアイーダ”(ヴェルディ)
14.「道化師」“衣装をつけろ”(レオンカヴァッロ)
15.「トスカ」“星は光りぬ”(プッチーニ)
16.「西部の娘」“やがて来る自由の日に”(プッチーニ)
17.「トゥーランドット」“誰も寝てはならぬ”(プッチーニ)

【演奏】
村上敏明(テノール)
栗原正和(ピアノ)
古館由佳子(ヴァイオリン)(Track1,7,8,9,17)
田中早苗(マンドリン)(Track3,6)

村上敏明(テノール)のアルバムによせて
テノール 村上敏明の世界    
村上敏明は、演じる役柄の「威風」を全身から放つ名テノールである。舞台に出てきた瞬間に、彼は、キャラクターの胸中を圧倒的な勢いで表現する。「オペラ歌手だから当たり前だろう」と人は簡単に言うが、それを、高い境地で成立させられる歌い手はごく僅か。その中で、村上敏明は、常に、瞬時に、役柄の存在意義を確立するのである。例えば、最近観たステージでは、《こうもり》のアルフレードの楽天的な姿勢と、《アイーダ》のラダメスの悲壮感がどちらも際立っていた。色恋に全エネルギーを注ぎ、今を楽しみたいと明るく語る前者、武将として、国の将来と愛する女性との未来をともに成立させたいと願う後者-このような、あまりに対照的な二人の男性像を、村上は、なんら無理なく演じ上げた。そこには、この名歌手ならではの「楽譜を信じる、素直な歌手魂」が確かに息づいていた。村上敏明の歌心は、精緻に磨き抜かれたフレージングにも明らか。どのオペラ・アリアでも、どの歌曲でも、歌い出しの一節の息遣いがとびきりの雄弁さを誇るのだ。だから、彼がステージに現れると客席の集中力は倍増する。批評をすべく、常に、劇場1階の中央列より後ろに座る筆者は、村上が口を開いた瞬間に背筋を伸ばす観客の姿をこれまで何度も目にしてきた。恐らくは、このアルバムをお聴きになる皆さまも、ご自宅のくつろぎの空間であっても、自然と居ずまいを正されるのではないか。彼の歌声が、我々の活力と理解力を自然に高めるからである。筆者が知る村上は、まずは朗らかな人である。一方、オペラのプリモ・ウォーモ(主役男性歌手)であるのに常に控え目に振る舞い、好奇心を絶やさず、かつ、人と接する時間を大切にできる「人生の達人」でもある。このアルバムでも彼の探求姿勢が発揮されている。冒頭のスカルラッティの歌曲で、弦楽器を加えるというアレンジに驚かれる方も多いだろう。芯のあるピアノの響きと滑らかなヴァイオリンの間を縫って、彼の美声が、名弓の弦のごとく、ぴんと響きわたるさまに耳を欹てて頂こう。
解説:岸純信(オペラ研究家)

村上敏明(テノール)プロフィール
国立音楽大学声楽学科卒業。平成11年度文化庁国内研修員。2001年より、文化庁在外研修員としてイタリア・ボローニャへ2年間留学。その後、2007年までイタリアに在住。イタリア・オペラを中心に50役以上の幅広いレパートリーを有し、国際的に活躍している。
第9回マダム・バタフライ世界コンクール・グランプリをはじめ、15の国際声楽コンクールで優勝または上位入賞。2002年以降に、「リゴレット」マントヴァ公爵、「蝶々夫人」ピンカートン、「イル・トロヴァトーレ」マンリーコ、「ナブッコ」イズマエーレ、「トスカ」カヴァラドッシ等をイタリア各地で主演し、活躍を続けている。
国内でも、藤原歌劇団「椿姫」アルフレード/「蝶々夫人」ピンカートン/「ラ・ボエーム」ロドルフォ/「ルチア」エドガルド/「仮面舞踏会」リッカルド、新国立劇場「黒船」領事/「椿姫」アルフレード/「修禅寺物語」頼家/「蝶々夫人」ピンカートン/「愛の妙薬」ネモリーノ等で主演し、いずれも大成功を収めている。その他全国各地で、愛知県芸術劇場「リゴレット」マントヴァ公爵、「ルチア」エドガルド、「ナブッコ」イズマエーレ、びわ湖ホール「ホフマン物語」ホフマン、オペラ彩「トゥーランドット」カラフ等に出演し、活躍を続けている。2004年には、第40回日伊声楽コンコルソ第1位、第35回イタリア声楽コンコルソ・シエナ大賞と、国内2大タイトルを獲得し話題を集める。2010年6月には、イタリア・スポレートのDueMondi音楽祭より招待され、ヘンツェ作曲・三島由紀夫原作のオペラ「午後の曳航」の舞台上演世界初演で、主役のNOBORU役を演じ、ヘンツェ本人をはじめ、各マスコミより絶賛された。同公演は、イタリア国営放送RAIで、ドキュメント番組(Primadellaprima)およびオペラ全曲が放送された。2012年より7年連続で、NHKニューイヤーオペラコンサートに出演。2017年2月には、バッティストーニ指揮・東京フィルのヴェルディ「レクイエム」に当日急遽出演し、大成功を収める。
今後も、2018年7月・新国立劇場高校生鑑賞公演「トスカ」カヴァラドッシ、2019年2月・新国立劇場「紫苑物語」藤内(世界初演)、4月・新国立劇場「ジャンニ・スキッキ」リヌッチョ等、大舞台でのオペラ出演が多数予定されている他、年間100公演を超えるステージで活躍している。平成16年度五島記念文化賞オペラ新人賞受賞。南大沢コミュニティオペラ芸術監督。勝浦歌劇団総監督。藤原歌劇団団員。人気実力ともに、日本を代表するテノール歌手として、日本オペラ界を牽引している。(2018年6月現在)

カテゴリ : ニューリリース

掲載: 2018年05月24日 00:00