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「シティ・ソウル(City Soul)ディスクガイド」掲載作品から小渕晃氏の書き下ろしコメントでオススメCDをご紹介 第5回(定期更新:全7回)

City Soul

『シティ・ソウル ディスクガイド』
~シティ・ポップと楽しむ ソウル、AOR&ブルー・アイド・ソウル~

「80sリヴァイヴァル~ブギー/ディスコ・ブーム」と、「国内のシティ・ポップ人気とも関連する、世界的なクロスオーヴァー・ポップス人気の高まり」。『シティ・ソウル ディスクガイド』は、いまの音楽シーンにおけるこの二大潮流を踏まえ、1970年代~2010年代のソウル、AOR&ブルー・アイド・ソウルの名盤およそ600枚をあらためて紹介するディスクガイド本です。「シティ・ソウル」を、クロスオーヴァーな洗練されたポップ・ミュージックで、ヒップホップ以降も通じるある種のグルーヴを備えた作品とゆるやかに定義。音色とBPM(テンポ)にこだわって、いま聴いて心地いいと感じる名曲/名盤をセレクトしています。

『シティ・ソウル ディスクガイド』
(DU BOOKS刊)

・編著者
小渕 晃(元bmr編集長)

・著者
梶本 聡(ベイビー・レコーズ)
駒木野 稔(diskunion / Kissing Fish Records)
関 美彦(SUNDAY GIRLS)
高木 壮太(CAT BOYS / 井の頭レンジャーズ etc.)
高橋 一(思い出野郎Aチーム)
林 剛(R&Bジャーナリスト)
福田 直木(BLUE PEPPERS)

・インタヴュー・ゲスト
冨田 恵一(冨田ラボ)
クニモンド瀧口(流線形)
DJ JIN(RHYMESTER / breakthrough)
G.RINA

 

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入手可能な作品の中からオススメCDをご紹介。
コメントは小渕晃氏の書き下ろしで、読めるのはタワーレコードだけ!

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【Part 5 1988-1994】

 

坂本龍一と制作、エレガントなグルーヴが満載

Aztec Camera / Dreamland

・オススメ曲
Spanish Horses
Birds

80年代にイギリスで盛り上がった「ネオアコ」は、ブルー・アイド・ソウルのひとつのカタチだったとも言えます。アズテック・カメラが、デビュー作『High Land, Hard Rain』から10年後に組んだ相手は坂本龍一。フラメンコを取り入れた”Spanish Horses”は、クロスオーヴァーなポップ・ソウルの歴史に残る名曲です。ドリーミーな”Birds”もいいですね。

 

ロンドンのシティ・ライフに根づいたジャズ・ファンク

The Brand New Heavies / The Brand New Heavies

・オススメ曲
Never Stop
BNH

90年前後にイギリスで盛り上がったアシッド・ジャズを代表するバンドの初アルバム。アメリカのジャズ、ファンクへの憧れを、アヴェレイジ・ホワイト・バンドといった先輩にならって、なんともキャッチーに聴かせた彼ら。ジェイムズ・ブラウン譲りのビートをメロディアスに仕上げた”Never Stop”は、いまも古びない名曲です。クール極まる”BNH”も真骨長となる1曲。

 

90年代アコースティック・ソウルの代表的人気作

Des'ree / I Ain't Movin'

・オススメ曲
You Gotta Be
I Ain’t Movin’

イギリス伝統のフォーキー・ソウルを聴かせ、アメリカのネオ・ソウルに先駆けてアコースティック・サウンドの復権を印象づけ、人気を博したデズリー。「最後に愛は勝つ」と謳うポシティヴな歌詞を、当時流行りのグラウンド・ビートに乗せた心地いい”You Got Be”はこの国でもヒット。同じくメロディの良さが光る”I Ain’t Movin’”や、”Feel So High”もおすすめです。

 

トミー・リピューマ制作の、比類なきAOR名盤

Everything But The Girl / The Language Of Life

・オススメ曲
Driving
Me And Bobby D

巨匠トミー・リピューマ指揮の下、アメリカの腕利き多数とLA録音。比類なきAORを聴かせた、2018年のいまならエヴリシング・バット・ザ・ガールの最おすすめ作としたい傑作。ソングライトのウマさが際立つ”Driving”や、初期のシャーデーばりにジャジィな”Me And Bobby D”など。最上級の演奏と、歌に酔える、耳が喜ぶ至福の40分間。

 

70sソウル・リヴァイヴァルを加速させた人気作

Lenny Kravitz / Mama Said

・オススメ曲
It Ain't Over 'Til It's Over
Stand By My Woman

ヒップホップとも呼応する形で90年代に70年代サウンドをリヴァイヴァルさせたレニー・クラヴィッツ。”It Ain't Over 'Til It's Over”は、シカゴ・ソウル伝統のリズム「ステッピン」を応用した、いまは彼の最人気曲となったメロウ&スムーズな大名曲。サザン・ソウルのスタイルを用いながらもポップに聴かせる”Stand By My Woman”も彼ならではの秀曲です。

 

ハウスの奇才による極上音響のシカゴ・ソウル

Lil' Louis & The World / Journey With The Lonely

・オススメ曲
Dancing In My Sleep
Thief

ハウス・ミュージックがメジャー進出を果たした90年代初頭にリリースされた、奇才リル・ルイスの2nd。特に後半は地元シカゴのソウル・ミュージックを、独特な音響で聴かせたつくりで、ネオ・ソウル好きにもおすすめしたい人気作です。”Dancing In My Sleep”などステッピン・ビート3連発に続く、とろけるメロウな”Thief”と”Share”もスゴい!

 

名曲カヴァーも最高な、名物チームによるさすがの好盤

Matt Bianco / Samba In Your Casa

・オススメ曲
What A Fool Believes
Lady Of My Mind

AOR/ブルー・アイド・ソウルを代表するドゥービー・ブラザーズ78年の大ヒット、”What A Fool Believes”のカヴァーがとにかく素晴らしい! イントロのホーンを聴けば、クルマのCMで聴いたことを思い出す御仁も多いはず。EW&Fなイントロの”Lady Of My Mind”は、メロウでクリスタルな、彼ららしいキャッチーなAORナンバーです。

 

80年代屈指のポップ・バンドによる永遠の名盤

Prefab Sprout / From Langley Park To Memphis

・オススメ曲
Nightingales
Knock On Wood

80年代屈指のポップ・バンドのひとつ、プリファブ・スプラウトの3rdは、ポップス全盛の2018年のいま、改めて様々な年代の音楽ファンに再発見されているエヴァーグリーンな名盤です。スティーヴィ・ワンダーのハーモニカが味わいを増す、メロウ&メランコリックな”Nightingales”や、レゲエのリズムを取り入れたグルーヴで魅せる”Knock On Wood”をおすすめ。

 

いま聴きたい名曲が入った、これも世界音楽遺産な1枚

Stevie Wonder / Jungle Fever

・オススメ曲
Fun Day
Lighting Up The Candles

スティーヴィ・チルドレンがシーンに溢れる2018年。いまなら、評価の低い80年代以降の作品もより楽しめるはず。スパイク・リー映画のサントラながらほぼ全曲でワンダーな歌を聴かせる本作は特におすすめ。マルーン5”Sunday Morning”に直結する、心浮き立つパーティ・チューン”Fun Day”や、メロウ&メロディアスな”Lighting Up The Candles”など名曲あり。

 

ヒップホップ世代が生んだソウルのマスターピース

Tony! Toni! Tone! / Sons Of Soul

・オススメ曲
Leavin'
(Lay Your Head On My) Pillow

70sソウルとヒップホップをつないだ、愛すべきソウル・バンド、トニ・トニ・トニの最高傑作です。心も体も踊る、最高に楽しい”Leavin’”や”If I Had No Loot”。極上のソウル・マナーで聴くものをとろけさせる、”Pillow”や”Anniversary”といったスロウ。他のどこにもない、彼らだけがつくることのできたソウル・ミュージックにメロメロです。

タグ : AOR City Soul

掲載: 2018年09月07日 12:00