ヤンソンス&バイエルン放送響のシチェドリン:カルメン組曲&レスピーギ:ローマの松
20世紀のオーケストラ作品の中でも、とびきりの色彩感を持つ2曲を
ヤンソンス&バイエルン放送響の演奏で
ビゼーの名作オペラ《カルメン》をバレエで踊ろうと企画したボリショイ・バレエの名プリマ、マヤ・プリセツカヤ。当初は編曲をショスタコーヴィチとハチャトゥリアンに依頼したものの、最終的には彼女の夫シチェドリンが仕事を引き受け、「弦と4人のパーカッション奏者およびティンパニ」というユニークな編成の作品に仕上げました。刺激的な響きを纏い現代的に蘇った組曲は、21世紀におけるオーケストラの重要レパートリーとなっており、ヤンソンスはバイエルン放送交響楽団の高い機動性を存分に駆使し、冒頭の序曲における神秘的な幕開けから、曲の終りまでを一気呵成に聴かせています。リズミカルで変幻自在なパーカッションの活躍も聴きどころ。かたや「ローマの松」も、レスピーギ特有の巧みなオーケストレーションが極限まで活かされた作品。ローマの風景を支配している松を通して、グレゴリオ聖歌や鳥の声などを効果的に響かせながら古代ローマの幻影を描くというレスピーギの試みを、ヤンソンスは幻想性を丹念に手繰りながら紐解いていきます。全曲を締めくくる「アッピア街道の松」では、響き渡る勇壮なファンファーレを交えたスケールの大きな音の構造物を、世界最高のオーケストラの一つバイエルン放送交響楽団ならではの力量で圧巻のクライマックスへと導いています。
(ナクソス・ジャパン)
【曲目】
シチェドリン(1932-):カルメン組曲-ビゼーの歌劇《カルメン》による弦楽と打楽器のための編曲版(1967)
1.イントロダクション
2.ダンス
3.第1間奏曲
4.衛兵の交代
5.カルメンの登場とハバネラ
6.情景
7.第2間奏曲
8.ボレロ
9.トレロ(闘牛士の歌)
10.闘牛士とカルメン
11.アダージョ
12.カルタ占い
13.フィナーレ
レスピーギ(1879-1936):交響詩「ローマの松」(1924)
14.第1部:ボルゲーゼ荘の松
15.第2部:カタコンバ付近の松
16.第3部:ジャニコロの松
17.第4部:アッピア街道の松
【演奏】
マリス・ヤンソンス(指揮)
バイエルン放送交響楽団
【録音】
2017年11月13-17日 ライヴフィルハーモニー・イン・ガスタイク、ミュンヘン