WEEKEND JAZZ ~週末ジャズ名盤探訪 Vol.68
ソニー・スティット『ソニー・スティット・プレイズ/ニアネス・オブ・ユー』(1956)
ソニー・スティット(as,ts)
ハンク・ジョーンズ(p)
フレディ・グリーン(g)(1~4曲目)
ウェンデル・マーシャル(b)
シャドウ・ウィルソン(ds)
1955年12月15日、16日ニューヨーク録音
曲目:
01.ゼアル・ネヴァー・ビー・アナザー・ユー
02.ニアネス・オブ・ユー
03.ビスケット・ミックス
04.イエスタデイズ
05.アフターワーズ
06.イフ・アイ・シュッド・ルーズ・ユー
07.ブルース・フォー・ボビー
08.マイ・メランコリー・ベイビー
【アルバム紹介】
1.パーカー派として知られる名サックス奏者ソニー・スティット
2.ギター入りクインテット編成とピアノ・トリオとのカルテット編成で構成
3.吹きまくりといってもいい流暢なプレイで全曲魅了
チャーリー・パーカー生誕100年の2020年ということで、前回はダイヤル・レコードに残されたパーカーの名盤をご紹介いたしました。その天才的なプレイは数々のフォロワーを生みましたが、そんな“パーカー派”の一人がこのソニー・スティットです。
本作はモダン・ジャズ全盛の50年代に数々の名レコーディングを残したルースト・レーベルでのソニー・スティットのリーダー作で、カウント・ベイシー楽団の名リズム・ギタリスト、フレディ・グリーンが参加したクインテット編成の前半4曲と、ピアノ・トリオとのカルテット編成での後半4曲で構成されています。
パーカー直系ともいうべき見事なアルト・サックスで、スタンダード曲、オリジナル曲等、快速なビバップ・ナンバーからブルース、バラードまで聴きごたえ十分の演奏を披露。 バックには、ひたすらリズムを刻み、ソロは一切無しで独特の存在感を見せるギタリストのフレディ・グリーン、そしてピアノには名手ハンク・ジョーンズが彩りをそえ、まさにストレート・アヘッドなワン・ホーンの秀作といえる一枚になっています。
【スタッフのつぶやき:この1曲を必ず聴いて下さい】
吹きまくり、素晴らしいオブリガート、“ゼアル・ネヴァー・ビー・アナザー・ユー”。
アルバム1曲目は名スタンダードの“ゼアル・ネヴァー・ビー・アナザー・ユー”で始まります。
この曲に限らず、スティットは曲調に関係なく、吹きまくりといってもいいほどの流暢のプレイを聴かせていますが、その音数の多さに圧倒されながらじっくりスティット節を堪能するというのも本作を聴く楽しみのひとつです。
“ゼアル・ネヴァー・ビー・アナザー・ユー”には数々の名演がありますが、このスティットの演奏も完成度が非常に高いものになっています。
ピアノのイントロに続き、ロマンティックなテーマ・メロディをサックスが奏ではじめますが、旋律の谷間に、ところどころ素晴らしいオブリガートを挟み込み、生き生きとしたプレイで魅了します。そしてアドリブ入るとスティットによる歌心満載のブロウが続き、いったんハンク・ジョーンズのピアノ・ソロに移るも、その後またソロを吹き始め、繰り出されるフレーズの豊かさは際限を知らない、といった印象を与えてくれます。また、各人のソロのフレーズの合間にしっかり浮上して聴こえるフレディ・グリーンのリズム・ギターもいい味出しています。
爽快なアルト・サックスを聴いてみたい、そんな方には、本作はお薦めの一枚です。
SHM-CD国内盤(一般普及盤)
タグ : WEEKEND JAZZ
掲載: 2020年03月13日 11:30