WEEKEND JAZZ ~週末ジャズ名盤探訪 Vol.247
ポール・クイニシェット『ライク・ベイシー』(1959)
ポール・クイニシェット(ts)
ハリー・エディソン、スヌーキー・ヤング、ディック・ヴァンス、シャド・コリンズ(tp)
アル・グレイ(tb)
フレディ・グリーン(g)
ナット・ピアース(p)
エディ・ジョーンズ(b)
ジョー・ジョーンズ(ds)
1959年3月20日、ニューヨークにて録音
曲目:
01.ジャンプ・ザ・ブルース・アウェイ
02.ジャンプ・フォー・ミー
03.ライク・ベイシー
04.ザ・ホーリー・メイン
05.ビッグD
06. P.Q.
【アルバム紹介】
1.ユナイテッド・アーティスト・レーベルでの名手ポール・クイニシェットのリーダー・アルバム
2.“ヴァイス・プレジデント(副大統領)”
3.ベイシー楽団ゆかりのメンバーたちとのリラックス&エンジョイした演奏
テナー・サックス奏者が活躍する隠れ名盤、今回はユナイテッド・アーティスト・レーベルに残された、名手ポール・クイニシェットのリーダー・アルバムを取り上げます。
ポール・クイニシェットは1916年コロラド州デンヴァ―生まれで、そのサックスのスタイルが、レスター・ヤングに似ていることから、レスターのあだ名である“プレジデント(大統領)”or“プレズ”に対して、“ヴァイス・プレジデント(副大統領)”or“ヴァイス・プレズ”と呼ばれて知られていました。またレスター同様カウント・ベイシー楽団に在籍した名プレイヤーとしても名を馳せた存在です。
本作はベイシー楽団ゆかりのメンバーたちと、リラックス&エンジョイした演奏に満ちたアルバムで、編成もトランペットが4人にトロンボーンも入った総勢10人でのセッションになっています。
楽曲はベイシー楽団のレパートリーである1曲目に続き、2曲目がカウント・ベイシーのオリジナルで、それ以外はピアノとアレンジを担当しているナット・ピアースのオリジナルが3曲(3,4、5曲目)、そしてポール・クイニシェットのオリジナルが1曲(6曲目)という構成になっています。
【スタッフのつぶやき:この1曲を必ず聴いて下さい】
ご機嫌なスイング・ビートで聴かせる“ジャンプ・フォー・ミー”。
ベイシー楽団独特のスイング感を思わせる2曲目のこの曲を聴いてみましょう。作曲はベイシー本人によるナンバーです。
ピアノによる短いイントロのあと、ご機嫌なスイング・ビートとともにテーマが提示されます。バックのアンサンブルのリフがなんとも陽気さを醸し出しています。オールド・スタイルのジャズの雰囲気を持った中間派の演奏ともいえそうです。最初にソロを取るのはクイニシェットのテナー・サックスです。ソフトなトーンによる無駄のないフレージングでアピールしてゆきます。続いてトランペット・ソロ(4人の内誰なのかは不明)、そしてトロンボーンのソロへと渡されてその後ホーン・セクションが展開する部分を経て、やがて冒頭のテーマに回帰し、フェイドアウトで曲は終わります。
ポール・クイニシェットは派手な演奏をそのスタイルとするプレイヤーではありませんが、本作のようなリラックスしたスインギーな演奏で聴かせるアルバムではその持ち味を存分に発揮できるタイプなのがわかります。
国内盤CD
タグ : WEEKEND JAZZ
掲載: 2023年09月29日 10:00