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ウィリアム・マセロス/コンプリートRCA & コロンビア・アルバム・コレクション(7枚組)

ウィリアム・マセロスBOX

アイヴズのソナタ第1番、コープランドのピアノ幻想曲を初演したアメリカの鬼才ピアニスト、ウィリアム・マセロス生誕100年記念リリース。その革新的なレコーディングの全貌が初めて明らかにされる凄いセットが登場。

 アメリカのピアニストのウィリアム・マセロス(1920年8月11日ニューヨーク州ナイアガラフォールズ生、1992年10月23日ニューヨーク没)は、彼の世代の中でも最も個性的な演奏活動を行ったアーティストの1人で、その名はディープなピアノ・ファンの間に深く刻み込まれています。当ボックスは、1950年から1971年にかけてマセロスがコロンビアとRCAのためにレコーディングした全てのソロ録音を、初出時のカップリングとジャケット・デザインで蘇らせるものです。このうち日本で発売されたのは1971年RCA録音のシューマン「ダヴィッド同盟舞曲集」とブラームスのソナタ第1番を収めた1枚のみで、江藤俊哉と録音したブラームスのヴァイオリン・ソナタ全集(珍しいFAEソナタを収録)での見事な共演ぶりの方がよく知られているほどです。

【関連CD】
ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ(全曲)、F.A.E.ソナタ~『江藤俊哉の芸術-~RCAソロ・レコーディング集成』より
江藤俊哉(ヴァイオリン)
ウィリアム・マセロス(ピアノ)
1977年1月29日~2月1日、入間市民会館でのセッション録音

 マセロスの名前がピアノ・マニアの間だけにとどまっているのは、幅広いレパートリーを持ち、コンサートではミトロプーロスの指揮によるブラームスのピアノ協奏曲第1番でニューヨーク・フィル・デビューを飾り、その後バーンスタイン、モントゥー、クレンペラー、ストコフスキー、ハイティンク、オーマンディなどの名指揮者と共演した人気ピアニストであったにもかかわらず、レコード録音の数が少なく、しかも現代曲が多かったせいでもあります。
 マセロスのピアニストとしての活動と分かち難い存在となった作品は、アイヴズが1902年から1910年にかけて書き上げた巨大なピアノ・ソナタ第1番でしょう。アイヴズが友人に送った自筆譜は行方不明となり、ほぼ40年後に作曲家ルー・ハリソンによって、残されていたスケッチからアイヴズの承認を得て再構成され、1949年にマセロスが初演したのです。翌年、当時のコロンビア・レコードの社長ゴッダード・リーバーソンの肝いりで、初演者マセロスによる初録音が行われました。賛美歌からラグタイムのメロディまで、アイヴズはこのソナタにさまざまな音楽素材を盛り込んでおり、「壮大で強烈なアメリカ的精神に満ち、演奏するたびに新しい発見がある」と、マセロスは語っています。このソナタはマセロスのトレードマークとなり、1966年にRCAにステレオで再録音しているほどです。
 マセロスは、コープランドのあらゆる作品の中で最も野心的な「ピアノ幻想曲」の初演と初録音も果たしています。1960年にはコープランドの野心的な「ピアノ変奏曲」を録音し、「巧妙さと全体を通して途方もない強さを維持する本当に驚異的に演奏」と高く評価されました。さらに、アメリカの作曲家ベン・ウェバーの変奏曲(これもマセロスが初演)、ポール・ボウルズ(映画「シェルタリング・スカイ」の原作「極地の空」でも有名)による1950年代初頭の声楽・室内楽作品も録音しています。
 よりクラシカルな作品では、日本で発売された唯一のソロアルバムである1971年のシューマンとブラームス、そして1968年のサティ・アルバムがあります。
 各ディスクはLP時のレーベル・デザインで、アメリカ初出盤のデザインによる紙ジャケットに封入され、クラムシェルボックス(サイズL 13 cm x W 13 cm x H 2.9 cm)に収納されます。オールカラーの別冊解説書には詳細な録音データとトラックリスティング、ジェッド・デイストラーのライナーノーツ(英・独・仏)が珪砂入れています。今回新たにオリジナルのアナログマスターから24ビット/ 192 kHzリミックス&リマスターが行われています。
(ソニーミュージック)

収録内容
<CD1>
アイヴズ:ピアノ・ソナタ第1番
[演奏]ウィリアム・マセロス(ピアノ)
[録音]1950年12月1日、ニューヨーク、コロンビア30番街スタジオ
<CD2>
1. ポール・ボウルズ:道化芝居のための音楽
[演奏]ウィリアム・マセロス(ピアノ)
   デイヴィッド・グレイザー(クラリネット)
ハーバート・C・ミュラー(トランペット)
エルデン・C・ベイリー(パーカッション)
[録音]1952年5月27-30日、ニューヨーク、コロンビア30番街スタジオ
2. ポール・ボウルズ:「遠征」の諸場面
[演奏]ウィリアム・マセロス(ピアノ)
ウィリアム・ヘス(テノール)、ジョゼフ・マークス(オーボエ)
[録音]1952年5月27-30日、ニューヨーク、コロンビア30番街スタジオ
3. ノーマン・デロ=ジョイオ:ヴァイオリンとピアノのための主題と6つの変奏
4. ノーマン・デロ=ジョイオ:ヴァイオリンとピアノのためのカプリッチョ
[演奏]パトリシア・トラヴァース(ヴァイオリン)、ノーマン・デロ=ジョイオ(ピアノ)
[録音]1952年6月2日、
<CD3>
ベン・ウェバー:
1. ピアノのためのファンタジア(変奏曲)Op.25
[演奏]ウィリアム・マセロス(ピアノ)
[録音]1958年2月18日、ニューヨーク、コロンビア30番街スタジオ
2. フルート、オーボエ、クラリネット、弦楽四重奏のための協奏曲 Op.45
[演奏]ジュリアス・ベイカー(フルート)、ハリー・シュルマン(オーボエ)、
    アレクサンダー・ウィリアムズ(クラリネット)、ガリミール弦楽四重奏団、
[録音]1958年頃、ニューヨーク、コロンビア30番街スタジオ
3. 弦楽のためのセレナーデ Op.46
[演奏]ガリミール弦楽四重奏団、デイヴィッド・ワルター(コントラバス)
[録音]1958年2月18日、ニューヨーク、コロンビア30番街スタジオ
<CD4>
コープランド:
1. ピアノ変奏曲
2. ピアノ幻想曲
[演奏]ウィリアム・マセロス(ピアノ)
[録音]1960年5月27日(1)、1958年11月19日(2)
<CD5>
アイヴズ:ピアノ・ソナタ第1番
[演奏]ウィリアム・マセロス(ピアノ)
[録音]1966年2月18日、
<CD6>
1. シューマン:ダヴィッド同盟舞曲集 Op.6
2. ブラームス:ピアノ・ソナタ第1番ハ長調Op.1
[演奏]ウィリアム・マセロス(ピアノ)
[録音]1971年7月20-21日、ニューヨーク
<CD7>
サティ:
1. スポーツと気晴らし
2. ジムノペディ第1-3番
3. あらゆる意味にでっちあげられた数章
4. 夜想曲第3番
5. 鎧をつけた踊り
6. メデューサの罠
7. 最初のメヌエット
8. グノシエンヌ第1-3番
9. 犬のための本当にぶよぶよした前奏曲
10. エスパニャーニャ
11. ひからびた胎児
[演奏]ウィリアム・マセロス(ピアノ)
[録音]1968年12月18日、ニューヨーク、ウエブスター・ホール

カテゴリ : ニューリリース | タグ : ボックスセット(クラシック)

掲載: 2020年04月24日 13:00