クレーメルとブルネロ、クレメラータ・バルティカによるベートーヴェンへのトリビュート・アルバム!『ルートヴィヒを探して』
クレーメルALPHAに登場!ブルネロと組んだベートーヴェンへのトリビュート・アルバム
ベートーヴェン生誕250年を記念する、趣向を凝らしたアルバムがまた一つ誕生します。クレーメルとブルネロという二人の名手がタッグを組み、クレメラータ・バルティカと共に、名作とされる晩年の弦楽四重奏曲を弦楽合奏版で収録したという嬉しいもの。
さらにはベートーヴェンに触発された近年の作品2つを収録し、楽聖の遺産が現代の私たちにどのような影響を与えているかを掘り下げるという、興味深いものです。アルバムのメインは何と言っても2曲の弦楽四重奏曲。ベートーヴェン最後のまとまった作品である第16番はブルネロの指揮による演奏。そして第14番はヴァイオリンを担当しながらのクレーメルの指揮となっています。いずれもクレーメルの念頭にはバーンスタインがウィーン・フィルと残した録音があったようですが、その濃厚な味わいとは違う、クレメラータ・バルティカらしい歌心と生き生きとしたフレージング、見通しの良いサウンドが、現在ならではのベートーヴェン像を感じさせる素晴らしい演奏に仕上がっています。
冒頭に収録されているのは、モナコに生まれフランスでシャンソン歌手として活動したレオ・フェレによる作品。革新的な思考を持った彼はベートーヴェンに深い共感を抱いていたようで、「エグモント」序曲に詞を付けていたり、「コリオラン」序曲を指揮する映像が残っていたりします。こちらに収録された作品は、弦楽四重奏曲 第16番の自筆譜に書きつけられた「かくあらねばならぬか?かくあるべし!」という言葉がモチーフとなったもの。イタリア語でまくしたてるように語られるテキストは、「音楽はどこにあった?それは特別なところではなく、民衆の元にあるべきだ。ベートーヴェンはストリートにある!」といった内容。フェレ自身がオーケストラを指揮しながらアジる版や、ギターなどによる版がありますが、ここではイタリアの作曲家シヴィロッティによる編曲版にフェレの声をかぶせています。
ヴェネツィアの方言で「隠された音」を意味するタイトルのソッリマの作品は、ブルネロの師でありヴェネツィア出身だったイタリア弦楽四重奏団のチェリスト、フランコ・ロッシに捧げられたもので、彼が子弟によく語った「楽譜の中に隠された音に注意を向けなさい」がタイトルのモチーフ。1968年にトリノで刊行された、ベートーヴェンの未出版作品から走り書きまでを網羅した作品目録「ビアモンティ目録」の中からソッリマが見つけた宝のようなフレーズの数々を元に、チェロ・アンサンブルのために書かれました。ここでは弦楽合奏への編曲版にて収録しています。ベートーヴェンの発想を詰め込んだような、魅力的な曲想が次々と登場します。
(ナクソス・ジャパン)
『ルートヴィヒを探して』 ~ ベートーヴェン、ジョヴァンニ・ソッリマ、レオ・フェレ
【曲目】
1. レオ・フェレ(1916-1993): ‘Muss es sein? Es muss sein!’(かくあらねばならぬか?かくあるべし!)
- ヴァルター・シヴィロッティによるチェロ、弦楽合奏と打楽器のための編曲版、レオ・フェレ自身の語りと共に
2-5. ベートーヴェン(1770-1827): 弦楽四重奏曲 第16番 ヘ長調 Op. 135 (弦楽合奏版)
6-8. ジョヴァンニ・ソッリマ(1962-): NOTE SCONTE(隠された音) (弦楽合奏版) より ※6. I. Lento レント
7. IV. Leopold Cadenza レオポルト・カデンツァ
8. V. Il deserto rosso 赤い砂漠
9-15. ベートーヴェン: 弦楽四重奏曲 第14番 嬰ハ短調 Op. 131 (弦楽合奏版)
※ NOTE SCONTEのうちCD未収録の下記楽章は、デジタル配信版に収録されています。 ・II. Un Canone Allegro カノン アレグロ
・III. Dal Quartetto op.131 di Ludwig van Beethoven Presto
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンの弦楽四重奏曲第14番からプレスト
【演奏】
マリオ・ブルネロ (チェロ…1、指揮…2-8)
ギドン・クレーメル (ヴァイオリン、指揮…9-15)
クレメラータ・バルティカ
【録音】
2019年10月 クロンベルク、ドイツ…1-8
2011年7月 アイゼンシュタット、オーストリア…1-15
[日本語解説付き]
カテゴリ : ニューリリース | タグ : BEETHOVEN 2020
掲載: 2020年09月04日 00:00