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レプシッチ&ミュンヘン放送管によるラトヴィアの現代作曲家ヴァスクスの弦楽作品集~“旅人”“遠い光”“声”

ヴァスクス

1946年にラトヴィアのプロテスタントの牧師の家に生まれたヴァスクスは、リガの音楽院でコントラバスと作曲を学び、早くも1961年にはオーケストラや室内楽での演奏を開始。1970年から1年間、旧ソ連軍での兵役期間をはさんで演奏を続け、並行して作曲も学び続けます。宗教家の出自ゆえ、旧ソ連の宗教抑圧政策に悩まされた時期もありましたが、1990年代にギドン・クレーメル(ヴァスクスと同郷で一歳違い)によって作品が紹介されて以後は、一躍世界の注目を集める存在となりました。
ヴァスクス作品の特徴は、作曲技法の先鋭さを競うのではなく、内省的で心に響く音楽となっていること。波や風などの自然音を思わせるサウンドや、伝承曲や教会音楽のような感傷的で息の長い旋律もしばしば聞かれます。

このアルバムには弦楽のための3作品を収録。ザルツブルク音楽祭からの委嘱で1997年に書かれ、クレーメルが初演した「遠い光」は、世界的に演奏機会や録音に恵まれ、20世紀最後の10年間で書かれたヴァイオリン協奏曲の中でも代表格的な存在。8楽章から成り、メロディアスに高揚する2つのカンタービレや超絶技巧を伴う3つのカデンツァを静謐な緩徐楽章で挟んだ置いた構成は、無から始まり無に還る音楽や人の一生を象徴しているかのようです。
同様の構成は、弦楽のための「交響曲第1番」やアルヴォ・ペルトへのオマージュである「旅人」にも見られます。

ヴァイオリン協奏曲のソリストを務めるのは、現在オーケストラの第1コンサート・マスターを務める1984年生まれの期待の奏者スタンコ・マディチ。
録音セッションは、コロナ禍による自粛を経てオーケストラが活動を再開し始めた2020年6月下旬に行われました。
(ナクソス・ジャパン)

【曲目】
ペトリス・ヴァスクス(1946-):
1. Viatore 旅人(2001)
11の独奏弦楽器のために(S.ヴァンセロウ編)

ヴァイオリン協奏曲「Tālā gaisma 遠い光」
ヴァイオリンと弦楽オーケストラのために(1997)
2. Andante
3. Cadenza I
4. Cantabile
5. Mosso
6. Cadenza II
7. Cantabile
8. Cadenza III
9. Andante

交響曲第1番「Balsis 声」
弦楽合奏のために(1996/1997)
10. I. Klusuma balsis 沈黙の声
11. II. Dzīvības balsis 人生の声
12. III. Sirdsapziņas balss 良心の声

【演奏】
スタンコ・マディチ(ヴァイオリン)
イヴァン・レプシッチ(指揮)
ミュンヘン放送管弦楽団

【録音】
2020年6月23-27,29日
バイエルン放送第1スタジオ、ミュンヘン

カテゴリ : ニューリリース

掲載: 2020年10月14日 00:00