『テキサスだからこそ:テキサス・パンクの異端者たち』70年代後半から80年代前半のテキサス州オースティンでのパンク・シーンに迫る一冊!
1970年代後半から1980年代前半まで、米国テキサス州のオースティンでは、テキサス大学近くにあったクラブ、ラウールズを中心に独自のパンク・シーンが爆発していた!
パンクを様々な音楽と融合させ、テキサスという保守的な土地柄の中、抑圧されていた思いを生々しくすさまじいエネルギーの叫びへと昇華させた数々の名バンドや人物たち。そのオリジナリティと勢いを聞きつけ、やがてはパティ・スミス、Devo、ブロンディ、ロバート・フリップなど多くのミュージシャンがそのクラブで演奏することとなり、シーンは今でも語り継がれる伝説となっている。
本書は当時テキサス大学でフォト・ジャーナリズムを学んでいたパット・ブランシルよるその貴重な記録である。1985年前後に撮影されたショットには、パンクロック界のゲイ・パフォーマーとして先駆者的存在であったビスケットと、かのレッド・ホット・ペッパーズがリスペクトしてオープニング・アクトを務めたビスケットのファンク・パンク・バンド、ザ・ビッグ・ボーイズ(スケート・パンクと呼ばれるジャンルを作りスラッシャー・マガジンとの関わりも深い)、マッド・ハニーをはじめとして後のグランジ・バンドの多くがリスペクトを寄せるブルーズ・ロック・ハードコア・バンド、ザ・ディックス(このバンドのボーカルのゲーリー・フロイドも当時としては珍しくゲイであることを公表していた)、カート・コバーンが大ファンであり、ノイズとパンクを融合させた音楽とその狂気じみた破天荒な行動で今や生ける伝説扱いのバット・ホール・サーファーズをはじめとする後の音楽シーンのインスピレーションの源となったバンドの日常やオフショットの姿を見ることができる。ブランシルは、トレイラー・パーク、低所得者が身を寄せるシェアハウス、ビールががぶ飲みされるバーを背景に、テキサス・パンクスたちの絶望と彼らの唯一の解放手段であった音楽活動を捉えた。
写真だけでなく、映画『スラッカー』『スクール・オブ・ロック』の監督であるリチャード・リンクレーター、スクラッチ・アシッド、ジーザズ・リザーズのボーカル、デビッド・ヤウ、バットホール・サーファーズのテレサ・テイラーなどの当時についてのテキストも読むことができる。
日本語訳ブックレット付き!
登場するバンド:
ザ・ビッグ・ボーイズ、ザ・ディックス、バットホール・サーファーズ、ザ・オフェンダーズ、スクラッチ・アシッド、ダニエル・ジョンストン、ドクターズ・モッブ、グラス・アイ、ポイゾン13、ザ・ヒッコイズ、ソニック・ユース、Devo、サムヘイン、ソウル・アサイラム、ザ・リプレイスメンツ、ザ・デッド・ケネディーズ
「パット・ブラシルの美しい本は80年代にテキサスのオースティンのポスト・パンク・シーンの、詩的でエネルギーに満ち溢れた変わり者たちを捉えているわ。ネットでは上がってこないような貴重な写真よ。このような本になって一同に見ることができるなんて素晴らしいわ。」
ー キム・ゴードン
「当時テキサスではマジでやばいことが起きてた。太平洋岸北西部にいた俺らはもっと知りたくてたまらなかった。シアトルのシーンは自分の写真を通してみんな見てたけど、俺らはパットの写真を通してテキサスのシーンを覗き見してた。この本には同じ写真家として”やられたなあ”というような名ショットがたくさんある:床にクラッシュする寸前のステージ・ダイバー、スーツを着た男の子がパンクスの連中を見つめる様子、みんなが住んでた部屋の生々しいインテリアや装飾物たち、、、パットはバンドのクラブでの演奏シーンのみならず日常の様子含め、俯瞰した目で全体を捉えてくれてた。シーンに完璧に入り込んでる奴しかキャッチ出来ない細かい部分を記録してるし、とにかく美しいパンクスたちの姿オンパレードで圧倒される。これらの作品はもちろんアートだし、人類愛でもあるし、歴史の記録でもある。そしてそれら全てを包むのは、甘く輝くテキサスの光なんだ。」
ー チャールズ・ピーターソン(写真家)