村上春樹、偏愛するクラシック音楽についてのエッセイ『古くて素敵なクラシック・レコードたち』
クラシックの名曲100曲につきLPレコード3~6枚を聴き比べ
LPレコード486枚をカラーで紹介した史上空前のクラシック・レコード文献!
『古くて素敵なクラシック・レコードたち』は、クラシック音楽をこよなく愛し聴き巧者である村上春樹さんが、LPレコード486枚をカラーで紹介しながら、縦横無尽に論じるという待望の音楽エッセイです。
これまで、村上さんは、音楽に関する書籍として、和田誠さんとの共著のジャズエッセイ『ポートレイト・イン・ジャズ』『ポートレイト・イン・ジャズ2』、和田誠さんとの訳詩集『村上ソングズ』、音楽エッセイ『意味がなければスイングはない』、小澤征爾さんとの対談集『小澤征爾さんと、音楽について話をする』などを刊行されていますが、クラシックについての単著はこれがはじめてとなります。
(文藝春秋)
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この本に紹介されたLPレコードのCD化情報をまとめました!(2021年7月7日)
村上春樹『古くて素敵なクラシック・レコードたち』
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カバーに掲載されたLPレコード紹介
クラシックLPレコードの文献で486枚ものジャケット写真がカラーで紹介されたものは、LP時代を含めて皆無でしたし(モノクロは数種ありましたが)、5月17日に解禁されたカバー写真に掲載された9枚を見ても、すべてLP初期の初出盤で、印象的なアートワークが使用されています。
5月23日(日)のTOKYO FM「村上RADIOプレスペシャル」で今回の本が紹介がされました。それによると、
・村上さんが執筆活動の合間に書き溜めて、完成した状態で文藝春秋の編集者に渡された。
・取り上げたのは100曲。それぞれ LP3~6枚聴き比べている 全部で486枚 それぞれの違いについて論じている。
・これはすごいLPというだけでなく、今一つだなというLPも取り上げている。
・クラシックLPがあぶないほど好きで、同じ録音の輸入盤と国内盤の違いを聴き分けて、編集中により良い音の盤への差し替えも行った。
・取り上げたLPはすべて私物、自分でクリーニングして磨いて、よりよい音がでるように工夫している。
つまり、これは本格的なクラシック・レコード評論本ということになり、
作家の書としては戦前の名著として知られる野村胡堂(あらえびす)著の『名曲決定盤』『楽聖物語』の現代版、ということが言えそうです。
ここでは、カバーに掲載された9枚につき、その初出LP番号と録音年月、現在のCD化状況についてまとめました。
(タワーレコード 商品本部 板倉重雄)
左上より
(1)ストラヴィンスキー:バレエ音楽《ペトルーシュカ》
エルネスト・アンセルメ指揮
スイス・ロマンド管弦楽団
1949年11月、モノラル録音
米ロンドン LLP130/英デッカ LXT 2502
CD-R化
(2)ブラームス/間奏曲集
グレン・グールド(ピアノ)
1960年9月&11月、ステレオ録音
米コロムビア MS6237
CD化
オリジナル・ジャケット・デザイン使用
(3)プーランク:グローリア/ストラヴィンスキー:詩編交響曲
レナード・バーンスタイン指揮
ニューヨーク・フィルハーモニック/ロンドン交響楽団、他
1976年12月/1972年4月、ステレオ録音
米コロムビア M34551
CD化
オリジナル・ジャケット・デザイン使用
(4)ヘンデル:水上の音楽(全曲)
ボイド・ニール指揮
ボイド・ニール管弦楽団
1954年7月、モノラル録音
米ロンドン LL1128/英デッカ LXT2988
未CD化
(5)ベートーヴェン:交響曲第5番《運命》
エーリヒ・クライバー指揮
アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団
1953年9月、モノラル録音
英デッカ LXT2872
CD化されましたが廃盤中
(6)ドビュッシー:弦楽四重奏曲/ラヴェル:同
ジュリアード弦楽四重奏団
1959年5月、ステレオ録音
CD化
オリジナル・ジャケット・デザイン使用
(7)ベートーヴェン:交響曲第5番《運命》/シューベルト:交響曲第8番《未完成》
小澤征爾指揮 シカゴ交響楽団
1968年、ステレオ録音
CD化
オリジナル・ジャケット・デザイン使用
(8)モーツァルト:クラリネット協奏曲、バスーン協奏曲
ジェルヴァーズ・アラン・ドゥ・ペイエ(クラリネット)
アンリ・エラール(バスーン)
アンソニー・コリンズ(指揮)ロンドン交響楽団
1954年7&8月、モノラル録音
米ロンドン LL1135/英デッカ LXT2990
CD化されましたが廃盤中
(9)シューマン:謝肉祭
セルゲイ・ラフマニノフ(ピアノ)
1929年4月、モノラル録音(SP復刻)
米RCA LCT12
CD化
オリジナル・ジャケット・デザイン使用