リュカ・ドゥバルグとギドン・クレーメルが共演!20世紀ポーランドの作曲家・ピアニスト『ミロシュ・マギンの音楽』
[Lucas Debargue 公式チャンネルより]
リュカ・ドゥバルグとギドン・クレーメル――2人の共演がポーランドの異才ミロシュ・マギンの音楽の魅力を明らかにする。クレメラータ・バルティカ、ソニー・クラシカル初登場。
●鬼才リュカ・ドゥバルグの最新アルバム
何を手掛けても決して普通では終わらないリュカ・ドゥバルグが、70歳を超えてもキレッキレで超個性的な演奏活動を続けるギドン・クレーメルとがっちりタックを組んで世に送り出すニューアルバムは、何と20世紀ポーランドの作曲家・ピアニストのミロシュ・マギンの作品集。
●ミロシュ・マギンってご存じですか?
ミロシュ・マギン(1929-1999)は幼い頃から音楽的才能をもち、ワルシャワのショパン音楽アカデミーでピアノをマルグリト・カズロに、作曲をヤン・マクラキュヴィチとカジミェシュ・シコルスキらに学び、1957年に優秀賞を得て卒業。在学中から演奏活動を行い、卒業後は世界各地への演奏旅行を開始。1960年からは家族とともにパリに永住しました。その3年後に交通事故に遭うも、演奏家としての強い意志の元に怪我を完治させ、1968年にショパン作品全集を仏Deccaに録音し、その見事な演奏と解釈は音楽界に大きな影響を与えました(仏AccordでCD化済み)。長期にわたる怪我の治療期間中に、10代の頃に夢中になった作曲を再び始め、技巧的なピアノ・ソナタを始め、交響曲、管弦楽曲、協奏曲、バレエ音楽、歌曲を作曲。豊かなハーモニー、メロディ、独奏的なリズムに溢れたこれらの作品は、近年新たに光が当てられるようになってきています。生涯をポーランドの音楽とともに過ごし、ポーランド音楽の創作活動と発展に貢献し、20世紀のポーランド音楽史に名を残した貴重な人物です。
●マギンの音楽にぞっこんのリュカ・ドゥバルグ
マギンの音楽は、「モーツァルト、クレメンティ、ベートーヴェンと並び、自分が最初に学んだ作品。特に『祖国への郷愁』など、子供向けに書かれた曲はそうです。過去20年間私の心の耳に響き続け、演奏家・作曲家としての自分の人生に重要な役割を果たしてきたのです」と語るリュカ・ドゥバルグ。さらに「マギンの音楽は聴けば一瞬でその個性がわかる。聴く者を楽しませ、驚かせてくれる。同時代の作曲家の中で、マギンほど美しいメロディを書くことをためらわなかった作曲家はほかにいないでしょう。一方で20世紀の偉大なフランスの作曲家たちにインスピレーションを得た現代的なリズムや和声も使われているのです」とその音楽の個性を絶賛し、クラコヴィアク、マズルカ、クヤヴィアク、オベレクなど、力強く哀愁に満ちたポーランドの伝統的な舞曲のリズムやニュアンスが採り入れられている点を、バッハにとってのサラバンド、モーツァルトにとってのメヌエット、ショパンにとってのワルツになぞらえて、「想像上のバレエ」と呼び、「マギンの音楽には調性があり、想像力を刺激しながら古典的な形式を保持しています。メロディ、ハーモニー、リズムのすべてが聴き手の耳をそばだてさせようとする音楽的なお喋りのようなものです」と、その魅力にとことん惚れこんでいることがわかります。
●ギドン・クレーメルとの強力なパートナーシップ
このアルバムのもう一人の主人公はギドン・クレーメルでしょう。ECMの伝説的なアルバムでアルヴォ・ペルトを世に広めて以降、常に新しい音楽を希求し、最近ではショスタコーヴィチの同時代人だったヴァインベルクの凄さを世に問い続ける音楽の求道者が、デュバルグとともに選んだのがこのミロシュ・マギンです。2016年の来日でデュオのパートナーに起用したように、クレーメルはデュバルグを高く評価しており、このアルバムでも「アンダンテ」や4つある「ヴォカリーズ」という小品で共演しているほか、「田舎風」と名付けられたヴァイオリン協奏曲でソロを聴かせてくれます。クレーメルがソニー・クラシカルに登場するのは2001年のサロネンによるサーリアホの作品集(グラール・テアトル)以来約20年ぶりのことになり、その意味でも大きな注目を集めること必至です。
(ソニーミュージック)
【収録内容】
ミロシュ・マギン(1929-1999):
1. ヴァイオリンとピアノのためのアンダンテ
[演奏]
リュカ・ドゥバルグ(ピアノ)
ギドン・クレーメル(ヴァイオリン)
2. ピアノ協奏曲第3番(ピアノ、弦楽、打楽器のための)
[演奏]
リュカ・ドゥバルグ(ピアノ)
クレメラータ・バルティカ
3. ヴォカリーズ第2番(アンダンテ)
4. ヴォカリーズ第3番(ヴィヴァーチェ)
[演奏]
リュカ・ドゥバルグ(ピアノ)
ギドン・クレーメル(ヴァイオリン)
5. 「ポーランドの小品集」より「祖国への郷愁
[演奏]
リュカ・ドゥバルグ(ピアノ)
6. ヴァイオリン協奏曲「田舎風」(ヴァイオリン、弦楽、打楽器のための)
[演奏]
ギドン・クレーメル(ヴァイオリン)
クレメラータ・バルティカ
7. ヴォカリーズ第1番(アンダンテ)
8. ヴォカリーズ第4番(アンダンティーノ)
[演奏]
リュカ・ドゥバルグ(ピアノ)
ギドン・クレーメル(ヴァイオリン)
9. スターバト・マーテル(弦楽とティンパニのための)
[演奏]
クレメラータ・バルティカ
【録音】
2019年2月25-28日、リトアニア、Paliesiaus Dvaras
<リュカ・ドゥバルグ プロフィール>
1990年生まれ。11歳の時コンピエーニュ音楽院でピアノを学び始める。16歳で3年間ピアノを中断。パリ第7大学で理学、文学を学び学士号を取得。20歳の時、再びピアノの道を志しエコール・ノルマル音楽院、パリ音楽院で研鑽を積む。第15回チャイコフスキー国際コンクールでは個性豊かな演奏でピアノ部門第4位入賞を果たすと同時に、モスクワ音楽批評家協会賞を受賞。