WEEKEND JAZZ ~週末ジャズ名盤探訪 Vol.136
ドナルド・バード『フュエゴ』(1960)
ドナルド・バード(tp)
ジャッキー・マクリーン(as)
デューク・ピアソン(p)
ダグ・ワトキンス(b)
レックス・ハンフリーズ(ds)
1959年10月4日、ニュージャージーにて録音
曲目:
01.フュエゴ
02.バップ・ア・ループ
03.ファンキー・ママ
04.ロウ・ライフ
05.ラメント
06.エイメン
【アルバム紹介】
1.名トランペッター、ドナルド・バードのハードバップ、ファンキー時代の傑作
2.全曲オリジナル曲で、アルバム・タイトルの意味は“火”
3.当時ブルーノートで活躍中の実力派メンバーによるクインテット編成
前回取り上げましたピアニスト、ボビー・ティモンズはアート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズのメンバーでしたが、そのザ・ジャズ・メッセンジャーズの最初期メンバーの一人だったのがトランペッターのドナルド・バードです。本作は1960年にブルーノート・レーベルに残された、本人のハードバップ、ファンキー時代の傑作です。
オリジナル曲指向のアルバムを推進していたブルーノート・レーベルらしく、本作はすべてバードのオリジナルで構成された意欲作であり、バード自身はこの3年後にパリでナディア・ブーランジェに師事し、本格的に作曲法を学んでいる、ジャズ・ミュージシャンとしては珍しい存在でもありました。
アルバム・タイトルはスペイン語で“火”を意味し、バードの音楽人としての魂に火がついた内容、そんな風にも解釈できます。
メンバーはジャッキー・マクリーン、デューク・ピアソンら当時ブルーノートでリーダー作を連発していた実力派そろいのクインテット編成で、ブルース、ゴスペルなどの匂いがするストレートなジャズを展開しています。
【スタッフのつぶやき:この1曲を必ず聴いて下さい】
ファンキーな演奏はラストの“エイメン”で。
本作はファンキーさがそれほど高いアルバムかといえば、そうでもなくこのラストに収録されたこの曲がもっともその要素が強く、ゴスペル・タッチのリズムに、軽快なテーマ・メロディが特徴であり、聴いているこちらが思わずハッピーな気分になれるような曲調ゆえ、このアルバムを大きく印象づける1曲になっています。
ドナルド・バードはハービー・ハンコックがジャズの世界に入るきっかけになった恩人としても知られており、ハンコックがブルーノート時代に数々のヒット曲を書いたのもバードのアドバイスがあったからと言われています。
ジャズ史の中では天才トランペッターのクリフォード・ブラウンと同時代のプレイヤーですが、70年代以降はクロスオーヴァー、R&Bジャズのジャンルでも成功し、チャレンジ精神も旺盛な、すぐれたミュージシャンであったことがそのキャリアからわかります。
国内盤SHM-CD(一般普及盤)
タグ : WEEKEND JAZZ
掲載: 2021年07月09日 10:00