WEEKEND JAZZ ~週末ジャズ名盤探訪 Vol.300
ジャッキー・マクリーン『デモンズ・ダンス』(1970)
ジャッキー・マクリーン(as)
ウディ・ショウ(tp, flh)
ラモント・ジョンソン(p)
スコット・ホルト(b)
ジャック・ディジョネット(ds)
1967年12月22日、ニュージャージーにて録音
曲目:
01.デモンズ・ダンス
02.トイランド
03.ブー・アンズ・グランド
04.スイート・ラヴ・オブ・マイン
05.フルーゲ
06.メッセージ・フロム・トレーン
【アルバム紹介】
1.名アルト・サックス奏者の60年代ブルーノートでの最後の作
2.インパクト大なジャケット・アートワーク
3.ドラムスには若き日のジャック・ディジョネットが参加
WEEKEND JAZZは今回で300回を迎えました。これからもいろいろな名盤をご紹介してゆきたいと思っています。
さて、今回取り上げるのは名アルト・サックス奏者のジャッキー・マクリーンが60年代後半にレコーディングした逸品です。
ジャッキー・マクリーンはピアニスト、マル・ウォルドロンがベツレヘム・レーベルに残した名盤『レフト・アローン』のタイトル曲での名演で知ったという人も多いと思われます。自身のリーダー作としては大きく分けて50年代はプレスティッジ、60年代はブルーノート、70年代はスティープル・チェイスといった具合に、各レーベルからリリースしていますが、本作はブルーノート・レーベルで60年代の最後を飾ったアルバムになります。
まず目に飛び込んでくるのはジャケットのアートワーク。
このインパクト大の絵はハンブルグの画家マーク・クラ―ワインによるもの。マーク・クラ―ワインはジャズ以外でもロックやポピュラー系のアルバム・ジャケットを何枚も手掛けており、最も有名なのはマイルス・デイヴィスの傑作『ビッチェズ・ブリュー』です。
本作はこの印象的なジャケットのお陰で“ジャケ買い”アルバムとしても人気の高い一作です。
アルバムの内容は、ややハードバップ寄りながら、モード・ジャズのテイストをも感じさせる充実したもので、楽曲はタイトル曲と5曲目“フルーゲ”はジャッキー・マクリーン、2曲目と6曲目はトランペッターでコンポーザーのカル・マッセイ作、そして3曲目、4曲目はこのセッションのメンバーであるトランペッターのウディ・ショウ作。
参加メンバーはウディ・ショウの他、ピアノには知る人ぞ知るラモント・ジョンソン、ベースにはジャッキー・マクリーンとの共演で馴染みの深いスコッティ・ホルト、そして注目なのはドラマーで、若き日のジャック・ディジョネットが素晴らしいプレイを披露しており、このクインテットの演奏をグレードの高いものにしています。
【スタッフのつぶやき:この1曲を必ず聴いて下さい】
ジャズ・ボッサのリズムが誘う“スイート・ラヴ・オブ・マイン”。
ジャッキー・マクリーン作のタイトル曲の“デモンズ・ダンス”も十分魅力的なナンバーですが、ウディ・ショウが作曲したこの曲は、メロディも明快で、アルバム中最も聴きやすい演奏になっているのが特徴です。
イントロのアルト・サックス、トランペットの2管による短いフレーズの後、ジャズ・ボッサのリズムに乗って、2管のコンビネーションでテーマが奏でられてゆきます。ブルーノート・レーベルらしい表情豊かなメロディ・ラインが印象に残ります。
テーマ提示後はジャッキー・マクリーンのアルト・サックスによるソロとなります。決して技巧的にならず、メロディを歌わせるようなプレイで魅了します。続くウディ・ショウのトランペットはややアグレッシヴな姿勢を見せながら情熱的なソロを展開、そしてラモント・ジョンソンのピアノ・ソロに移り、ブロック・コードを多用したアプローチで盛り上げ、再びテーマに回帰します。最後はイントロのフレーズをキメとともに協調して、エンディングとなります。
ジャッキー・マクリーンは本作のレコーディングの後、5年ほど演奏活動から遠ざかりますが、北欧のスティープル・チェイスでのレコ―ディングで復帰、80年代後半には、マウント・フジ・ジャズ・フェスティヴァル等で毎年のように来日し、親日家のジャズ・ミュージシャンとしても知られていました。90年代後半には日本のサムシン・エルス・レーベルから大西順子との共演作他をリリースするなど、レコーディングにも意欲的でした。2000年代以降はアルバム・リリースは無く、病によって体調を崩していたとも言われており、2006年3月31日、帰らぬ人となりました。73歳でした。
国内盤UHQCD
タグ : WEEKEND JAZZ
掲載: 2024年11月01日 10:00