Opera Rara50周年記念!『ドニゼッティ: 1830年代の3つの歌劇<限定盤>』(7枚組)
ドニゼッティの貴重で珍しい録音が、セット化して限定再発売
「Opera Rara」は、19世紀から20世紀初頭の失われたオペラの遺産を再発見、復元、記録、実行するための財団として設立され、2020年にちょうど50年をむかえした。特にドニゼッティについては、それまで演奏されることのなかった歌劇を多数、再演奏を果たしてきています。このセットに収録された3つのオペラアルバムは10年以上生産中となっていたものでしたが、50周年の締めくくりとして、リマスター及びセット化して限定再発売するものです。ドニゼッティがイタリアで人気の絶頂にあった1830年代に書かれたこれらのオペラは、作曲家の鋭敏な演劇感覚と国際的な野心を示したものです。
『大洪水(ノアの大洪水)』は、聖書のノアの方舟の物語を伝えていますが、バビロニアの都市セナールの総督カドモスとセラの悲劇的物語を加えることで、さらに人間的で劇的な興味を与えています。四旬節の間にオペラを禁じたナポリの検閲官から許可を得るために、ドニゼッティはこの作品をオラトリオである「アジオーネ・トラジコ・サクラ」としたことにより上演が許可されました。このジャンルにより、ドニゼッティはオペラのアイデアをさらに発展させることができ、恋人同士や不幸なヒロインが運命を待っているのではなく、ノアとその家族たちに重点を置いた作品となっています。
『パリのウーゴ伯爵』は、フランスの若い王ルイ5世と婚約したアキテーヌのビアンカ王女の物語ですが、実際にはルイが成人するまで摂政であるパリ伯のウーゴに恋をしていました。ウーゴはビアンカの妹アデリアと婚約。ビアンカがアデリアに王室の結婚式を取りやめたいと言うと、若い王はウーゴとビアンカの関係を疑い、ウーゴを刑務所に送る。複雑な陰謀は頂点に達し、失恋したビアンカがウーゴのために用意した毒を飲むという悲劇的なシーンで終わります。ベッリニーの「ノルマ」同じキャストのために書かれ、これまでの作品以上に複雑なアンサンブルによる作品となっています。有名なオペラ ブッファで大成功を収めた「愛の妙薬」の直前にスカラ座で初演された力作ですが、事情あって成功とはならなかった作品です。
『カレーの包囲』の舞台は1347年。カレーはエドワード3世率いるイギリス軍に包囲されています。市長を含むカレーの6人の貴族は、永続的な平和と引き換えに自らの命を捧げます。イギリスの女王は彼らの勇気にとても感動し、包囲を終わらせてこれ以上血を流さないように夫を説得します。カレー包囲戦は、1830年代のドニゼッティの最も興味深く革新的な作品の1つです。これは、作曲家とパリのオペラとの関係を発展させる上で重要なスコアであり、後にフランスの舞台へ移るような方法で意図的に書かれています。
(ワーナーミュージック・ジャパン)
【曲目】
ドニゼッティ:
歌劇『大洪水(ノアの大洪水)』(全曲)
[演奏]
ミルコ・パラッツィ(バス)
コリン・リー(テノール)
マジェラ・カラーフ(ソプラノ)
マヌエラ・カスター(コントラルト)
ローランド・ウッド(バリトン)、他
ジェフリー・ミッチェル合唱団、
ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団
ジュリアーノ・カレッラ(指揮)
[録音]
2005年11月、ロンドン、コンウェイ ホール
歌劇『パリのウーゴ伯爵』(全曲)
[演奏]
デッラ・ジョーンズ(メゾ・ソプラノ)
モーリス・アーサー(テノール)
ジャネット・プライス(ソプラノ)
イヴォンヌ・ケニー(ソプラノ)
アイドウェン・ハーリー(ソプラノ)
クリスティアン・デュ・プレッシー(バリトン)
ジェフリー・ミッチェル合唱団
ニュー・フィルハーモニア管弦楽団
アラン・フランシス(指揮)
[録音]
1977年7月、ロンドン、ヘンリー・ウッド・ホール
歌劇『カレーの包囲』(全曲)
[演奏]
クリスティアン・デュ・プレッシー(バリトン)
ヌッチア・フォチーレ(ソプラノ)
デッラ・ジョーンズ(メゾ・ソプラノ)
ジョン・トレレーヴェン(テノール)
アイドウェン・ハーリー(ソプラノ)
ノーマン・ベイリー(バリトン)、他
ジェフリー・ミッチェル合唱団
フィルハーモニア管弦楽団
デイヴィッド・パリー(指揮)
[録音]
1988年6月、ロンドン、オール・セインツ教会
カテゴリ : ニューリリース | タグ : ボックスセット(クラシック)
掲載: 2021年07月16日 12:00