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“ピアノの吟遊詩人”生誕100年記念!ゲザ・アンダ『ドイツ・グラモフォン録音全集』(17枚組)

ゲザ・アンダ

生誕100周年記念。"ピアノの吟遊詩人"と称えられたスイスの名ピアニストのDG全録音

今年11月に生誕100周年を迎えるハンガリー出身のスイスの名ピアニスト、ゲザ・アンダ(1921-1976)がドイツ・グラモフォンに行った全録音がCD17枚組BOXにまとめられて発売されます。限定盤。
ゲザ・アンダは"ピアノの吟遊詩人"と称えられていましたが、残念ながらその音楽人生はとても短く、そのほとんどをドイツ・グラモフォンのアーティストとして活動していました。
バルトーク、ブラームス、シューマンの注目の録音、ゲザ・アンダが弾き振りした先駆的なモーツァルトの協奏曲、ヴォルフガング・シュナイダーハン、ピエール・フルニエとのベートーヴェンの三重協奏曲が収録されています。
フェレンツ・フリッチャイ、ヘルベルト・フォン・カラヤン、ラファエル・クーベリック、エドゥアルト・ファン・ベイヌムなどの指揮者と共演しています。
珍しいシェラック盤録音のJ.S.バッハ(ブゾーニ編)、スカルラッティ、ブラームスは初CD化となります。
(ユニバーサルミュージック/IMS)

【ゲザ・アンダの生涯】
ゲザ・アンダは1921年11月19日にハンガリーのブダペストで生まれ、1976年6月14日にスイスのチューリッヒで世を去ったピアニストです。アンダはフランツ・リスト音楽院でエルンスト・フォン・ドホナーニとゾルターン・コダーイに師事し、1940年にリスト賞を受賞しました。1943年1月10日にはフルトヴェングラー指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団と共演しフランクの交響的変奏曲を演奏。フルトヴェングラーはアンダを「ピアノの吟遊詩人(Troubadour)」と讃えました。1943年5月にはベイヌム指揮コンセルトヘボウ管弦楽団とフランクの交響的変奏曲をSPレコードに録音しています(CD5に収録)。

同年、アンダは第二次大戦の戦火を避けてスイスに亡命し、1955年にスイス国籍を得ました。演奏活動では1952年から1974年まで、毎年ザルツブルク音楽祭に出演して、リサイタルに、協奏曲に活躍。アメリカにも1955年以来、17回もツアーを行っています。

レコーディングでは1950~51年にはドイツ・テレフンケンに、1953~58年は英コロムビアと契約し、10数枚のモノラルLPレコードを作っています。録音レパートリーはバッハ、ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェン、シューマン、ブラームスという独墺系作品が中心で、そこにショパンとお国物のリストとバルトークが加わるというオーソドックスなものでした。

1959年にドイツ・グラモフォンの専属になると、折しも実用化されたばかりのステレオLPレコードのために多くの基本的レパートリーを録音します。当セットに収められたフリッチャイ指揮によるバルトークのピアノ協奏曲全集を皮切りに、ベートーヴェンの三重協奏曲ブラームスのピアノ協奏曲第2番モーツァルトのピアノ協奏曲全集(分売)などが次々にリリースされました。このうちバルトークの第2&3番とベートーヴェンの三重協奏曲、モーツァルトの第21番&第17番はフランス・ディスク大賞を受賞しています。

 フランス・ディスク大賞受賞
左上に「フランス・ディスク大賞」のステッカーが貼られた初期LPジャケット

また、アンダが録音したモーツァルトのピアノ協奏曲第21番が、1967年のスウェーデン映画「みじかくも美しく燃え(Elvira Madigan)」で使用されたことで、一躍アンダの録音とモーツァルトのこの作品が世界的にヒットする、という出来事もありました。

教育者としては1952年よりザルツブルクの夏季マスタークラスをもち、1960年からは大ピアニスト、エトヴィン・フィッシャーの後を受けてルツェルンでマスタークラスをもちました。

1965年にはフランスの芸術文化勲章「シュヴァリエ」を受勲、1970年にはイギリスの王立音楽アカデミーの「名誉会員」となっています。

私生活では1964年に「ビュールレ・コレクション」で名高い美術収集家のエミール・ゲオルク・ビュールレ(1890~1956)の娘、オルタンス(1926~2014)と二度目の結婚をしました。1969年には息子、グラティアンが生まれています。しかし、1975年に食道がんと診断され、手術は成功して一時回復しましたが、翌年6月14日に亡くなりました。54歳の若さでした。

エミール・ゲオルク・ビュールレ
自らの絵画コレクションに囲まれたビュールレ

オルタンス・アンダ=ビュールレはアンダの死後、1978年に若手ピアニストの育成を目的としたゲザ・アンダ財団を創設。プレジデントに就きました。同財団は1979年より「ゲザ・アンダ国際ピアノ・コンクール」を主催し、3年に1度開催。世界的ピアニストへの登竜門として有名なコンクールとなっています(第1回優勝者はフランスのジョルジュ・プルーデルマッハー)。
(タワーレコード 商品本部 板倉重雄)

『ゲザ・アンダ / ドイツ・グラモフォン録音全集<限定盤>』

【曲目】
《CD 1》
バルトーク:
1-3) ピアノ協奏曲第1番Sz.83
4-6) ピアノ協奏曲第2番Sz.95
7-9) ピアノ協奏曲第3番Sz.119
[演奏]
フェレンツ・フリッチャイ(指揮)
ベルリン放送交響楽団
[録音]
1960年10月(1-3)、1959年9月(4-9)、ベルリン

《CD 2》
1-4) ブラームス:ピアノ協奏曲第2番変ロ長調Op.83
5-6) バルトーク:ピアノと管弦楽のための狂詩曲Op.1
7) リスト:森のざわめき(『2つの演奏会用練習曲』S.145より第1曲)
[演奏]
フェレンツ・フリッチャイ(指揮)
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団(1-4)
ベルリン放送交響楽団(5-6)
[録音]
1960年5月(1-4)、10月(5-6)、ベルリン
1966年5月、ウィーン(7)

《CD 3》
1-4) ブラームス:ピアノ協奏曲第2番変ロ長調Op.83
5-7) グリーグ:ピアノ協奏曲イ短調Op.16
[演奏]
ヘルベルト・フォン・カラヤン(1-4)
ラファエル・クーベリック(5-7)(指揮)
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
[録音]
1967年9月(1-4)、1963年9月(5-7)、ベルリン

《CD 4》
1-3) シューマン:ピアノ協奏曲イ短調Op.54
4-6) ベートーヴェン:三重協奏曲ハ長調Op.56
[演奏]
ヴォルフガング・シュナイダーハン(ヴァイオリン)(4-6)
ピエール・フルニエ(チェロ)(4-6)
ラファエル・クーベリック(指揮) ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団(1-3)
フェレンツ・フリッチャイ(指揮) ベルリン放送交響楽団(4-6)
[録音]
1963年9月(1-3)、1960年6月(4-6)、ベルリン

《CD 5》
1-3) バルトーク:ピアノ協奏曲第3番Sz.119
4-6) モーツァルト:ピアノ協奏曲第21番ハ長調K.467
7) フランク:交響的変奏曲
[演奏]
ヘルベルト・フォン・カラヤン(指揮) シュターツカペレ・ドレスデン(1-3)
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団(4-6)
エドゥアルト・ファン・ベイヌム(指揮) ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団(7)
[録音]
1972年8月(1-3)、1957年7月(4-6)、ザルツブルク
1943年5月、アムステルダム(7)

《CD 6》
モーツァルト:
1-3) ピアノ協奏曲第6番変ロ長調K.238
4-6) ピアノ協奏曲第8番ハ長調K.246『リュッツォウ』
7-9) ピアノ協奏曲第9番変ホ長調K.271『ジュノム』
[演奏]
ゲザ・アンダ(指揮)
ザルツブルク・モーツァルテウム・カメラータ・アカデミカ
[録音]
1962年4月(1-3)、1968年5月(4-6)、11月(7-9)、ザルツブルク

《CD 7》
モーツァルト:
1-3) ピアノ協奏曲第11番ヘ長調K.413
4-6) ピアノ協奏曲第12番イ長調K.414
7-9) ピアノ協奏曲第14番変ホ長調K.449
10-12) ピアノ協奏曲第2番変ロ長調K.39
[演奏]
ゲザ・アンダ(指揮)
ザルツブルク・モーツァルテウム・カメラータ・アカデミカ
[録音]
1968年11月(1-3)、1965年5月(4-6)、1966年4月(7-9)、1969年4月(10-12)、ザルツブルク

《CD 8》
モーツァルト:
1-3) ピアノ協奏曲第13番ハ長調K.415
4-6) ピアノ協奏曲第15番変ロ長調K.450
7-9) ピアノ協奏曲第17番ト長調K.453
[演奏]
ゲザ・アンダ(指揮)
ザルツブルク・モーツァルテウム・カメラータ・アカデミカ
[録音]
1967年3月(1-3)、1968年4月(4-6)、1961年5月(7-9)、ザルツブルク

《CD 9》
モーツァルト:
1-3) ピアノ協奏曲第16番ニ長調K.451
4-6) ピアノ協奏曲第18番変ロ長調K.456
7-9) ピアノ協奏曲第19番ヘ長調K.459
[演奏]
ゲザ・アンダ(指揮)
ザルツブルク・モーツァルテウム・カメラータ・アカデミカ
[録音]
1963年5月(1-3)、1965年5月(4-6)、1967年3月(7-9)、ザルツブルク

《CD 10》
モーツァルト:
1-3) ピアノ協奏曲第20番ニ短調K.466
4-6) ピアノ協奏曲第21番ハ長調K.467
7-9) ピアノ協奏曲第1番ヘ長調K.37
[演奏]
ゲザ・アンダ(指揮)
ザルツブルク・モーツァルテウム・カメラータ・アカデミカ
[録音]
1965年5月(1-3)、1961年5月(4-6)、1968年11月(7-9)、ザルツブルク

《CD 11》
モーツァルト:
1-3) ピアノ協奏曲第22番変ホ長調K.482
4-6) ピアノ協奏曲第23番イ長調K.488
7-9) ピアノ協奏曲第3番ニ長調K.40
[演奏]
ゲザ・アンダ(指揮)
ザルツブルク・モーツァルテウム・カメラータ・アカデミカ
[録音]
1962年4月(1-3)、1963年5月(4-6)、1969年3月(7-9)、ザルツブルク

《CD 12》
モーツァルト:
1-3) ピアノ協奏曲第24番ハ短調K.491
4-6) ピアノ協奏曲第25番ハ長調K.503
7-9) ピアノ協奏曲第5番ニ長調K.175
[演奏]
ゲザ・アンダ(指揮)
ザルツブルク・モーツァルテウム・カメラータ・アカデミカ
[録音]
1966年4月(1-3)、1968年4月(4-6)、11月(7-9)、ザルツブルク

《CD 13》
モーツァルト:
1-3) ピアノ協奏曲第26番ニ長調K.537『戴冠式』
4-6) ピアノ協奏曲第27番変ロ長調K.595
7-9) ピアノ協奏曲第4番ト長調K.41
[演奏]
ゲザ・アンダ(指揮)
ザルツブルク・モーツァルテウム・カメラータ・アカデミカ
[録音]
1965年5月(1-3)、1969年4月(4-9)、ザルツブルク

《CD 14》
1-34) ベートーヴェン:ディアベッリのワルツの主題による33の変奏曲ハ長調Op.120
35-38) シューベルト:ピアノ・ソナタ第21番変ロ長調D960
[録音]
1961年5月、ルツェルン(1-34)
1963年6月、ベルリン(35-38)

《CD 15》
ショパン:
1-24) 24の前奏曲Op.28
(第1番ハ長調/第2番イ短調/第3番ト長調/第4番ホ短調/第5番ニ長調/第6番ロ短調/第7番イ長調/第8番嬰ヘ短調/第9番ホ長調/第10番嬰ハ短調/第11番ロ長調/第12番嬰ト短調/第13番嬰ヘ長調/第14番変ホ短調/第15番変ニ長調『雨だれ』/第16番変ロ短調/第17番変イ長調/第18番ヘ短調/第19番変ホ長調/第20番ハ短調/第21番変ロ長調/第22番ト短調/第23番ヘ長調/第24番ニ短調)
25) ポロネーズ変イ長調Op.53『英雄』
26-43) シューマン:ダヴィッド同盟舞曲集Op.6
[録音]
1959年7月、ベルリン(1-25)
1966年5月、ウィーン(26-43)

《CD 16》
シューマン:
1-8) クライスレリアーナOp.16
9-11) 幻想曲ハ長調Op.17
12-26) 交響的練習曲Op.13
[録音]
1966年5月、ウィーン(1-8)
1963年5月、ベルリン(9-26)

《CD 17》
[シェラック盤の録音]*
1) J.S.バッハ:われ汝を呼ぶ、主イエス・キリストよBWV639(『オルゲルビュッヒライン』より)
D.スカルラッティ:
2) ソナタ イ長調Kk.182
3) ソナタ イ長調Kk.113
リスト:
4) メフィスト・ワルツ第1番S.514(2021年リマスタリング)
5) ラ・カンパネッラ(ブゾーニ編)
ショパン:
6) 練習曲Op.25より第5番ホ短調
7) マズルカ第47番イ短調Op.67 No.4
8) マズルカ第49番イ短調Op.68 No.2
9-23) シューマン:交響的練習曲Op.13
ブラームス:
24-26) 3つの間奏曲Op.117
27) 間奏曲ホ短調(『4つの小品』Op.119より第2番)
[録音]
1943年5月(1-3, 6-8)、3月(9-23)、1942年6月(4, 5)、ベルリン
1947年、パリ(24-27)

*初CD化

【演奏】
ゲザ・アンダ(ピアノ)

カテゴリ : ニューリリース | タグ : ボックスセット(クラシック)

掲載: 2021年08月25日 00:00