Serge Delaite Trio(セルジュ・デラート・トリオ)|澤野工房より新作『A PAZ』をリリース
澤野工房 何と1年7ヶ月ぶりの新譜です。セルジュが、ピアノの音に注いだ感情の煌めきがきっとあなたに届きます。
本作は澤野工房、アトリエサワノシリーズの169枚目の作品だ。少し振り返って、このフランスのピアニスト、セルジュ・デラートが初めて日本で紹介されたのは、AS029『ルッキン・アップ』(2003年)だった。決して大きく主張するアルバムではないのだけど、独特なメロディの美しさがあり、彼にはスタンダードなどの曲もしっかり自分自身のものとして聴かせる腕がある。そのAS029以降、じわじわとジャズファンの知るところとなり、サワノから本作を入れ14作をリリースしている。そしていつも思うのは、デラートの作品はとにかく一曲目の選曲が抜群にすばらしい、ということ。
デビュー盤のミシェル・ペトルチアーニ作のタイトル曲も見事だったし、本作も実に聴き手を引きつける一曲目なのだ。今回はブラジル、ジルベルト・ジルの「A Paz」。このパラパラと降り注ぐようなピアノを何と言ったらいいのだろう・・淡口だけど心に残る演奏だ。他にガーシュウィン、ルグラン、ジョビンにチャーリー・パーカーまで取り上げているが、すべての曲が「デラートのテンポ」と呼びたい、間とリズム、優しさを持っていて、そのマエストロぶりがよく伝わってくる。そして最後に、一曲目に続く私のおすすめは、メランコリーな「ホエン・サニー・ゲッツ・ブルー」。どこか懐かしいメロディの「ロレットの店で(Chez Laurette)」です。
さて、みなさんのお気に入りはどの曲になりますか。
Text by 神尾 孝弥
国内盤CD
【収録曲】
01. A Paz
02. Nostalgia in Times Square
03. When Sunny Gets Blue
04. La valse des lilas
05. That's Pad
06. Chez Laurette
07. Bloomdido
08. Our Love Is Here to Stay
09. Line for Lyons
10. Never Let Me Go
11. A Nice Guy
12. Tricotism
13. Joy Spring
14. Fotografia
【メンバー】
Serge Delaite - piano
Daniel Mayerau - bass
Denis Maisonneuve - drums
掲載: 2021年08月30日 14:42