ジュスタン・テイラー率いる「ル・コンソート」によるヴィヴァルディと同時代のレアーリ作品集!『ヴェネツィアの鏡』
[Alpha Classics 公式チャンネルより]
俊才テイラーと仲間たちが浮き彫りにする、ヴィヴァルディの影に潜む異才の存在
イタリア・バロック屈指の才人ヴィヴァルディの作風はあまりにも個性的で、その作風は彼一代で成し遂げた偉業といってよいのかもしれませんが、そこにもまたルーツは存在するのだということが近年、1700年前後のヴェネツィアにおける作曲家たちの仕事が解き明かされるにつれ明白になってきました。
今回、初期のものを中心としたヴィヴァルディ作品と対置されるのは、彼より3歳年下のヴァイオリン奏者レアーリ。ヴィヴァルディとほぼ同じ頃に作曲家としてもデビューし、優れた才覚を発揮しました。遠く離れたアムステルダムの版元が彼の『シンフォニア集』と題したトリオ・ソナタ集を出版したのは、ヴィヴァルディの『調和の霊感』より2年早い1709年のこと。生涯については未だ謎の多いこの作曲家の音楽は、トリオ編成に「チェロ」と明記したソロ・パートを添えて華やかな活躍の場を与えるなど、ヴィヴァルディ初期の試行錯誤に通じる様々な仕掛けに満ちています。両者の「ラ・フォリア」を冒頭と末尾に配したプログラム展開も絶妙。
近年ウィリアム・クリスティとのデュオ・アルバムもリリースした俊才ラングロワ・ド・スワルトを筆頭に、名手たちが弾く弦楽器は全てが18世紀以前に高く評価されていた製作家のオリジナル。テイラーの細やかな通奏低音演奏とあいまって、18世紀初頭のヴェネツィアという「ヴィヴァルディを育てた世界」の面白さを実感できる1枚です。
(ナクソス・ジャパン)
[日本語解説付き]
日本語解説…白沢達生
『ヴェネツィアの鏡』 ~G.B.レアーリとヴィヴァルディ~
【曲目】
1. プレリュード(即興演奏)
2-5. ジョヴァンニ・バッティスタ・レアーリ(1681-1751):シンフォニア 第12番 (ラ・フォリア) *
6-9. レアーリ: シンフォニア 第2番(カプリッチョ)ニ短調 *
10-13. レアーリ: シンフォニア 第4番(カプリッチョ)ニ長調 *
14-18. アントニオ・ヴィヴァルディ(1678-1741):トリオ・ソナタ 第1番 ト短調 RV 73(Op. 1-1)
19-22. レアーリ: シンフォニア 第1番(ソナタ)ニ短調 *
23. ヴィヴァルディ: ラルゴ ~チェロと通奏低音のためのソナタ 第5番 ホ短調 RV 40(Op. 14-5) より
24-27. レアーリ: シンフォニア 第10番 (カプリッチョ)イ長調 *
28. ヴィヴァルディ: アンダンテ ~2つのヴァイオリンと任意参加の通奏低音のためのソナタ ヘ長調 RV 68 より
29-32. レアーリ: シンフォニア 第9番(ソナタ)ニ短調 *
33. ヨハン・ゼバスティアン・バッハ(685-1750):ラルゲット ~ヴィヴァルディのヴァイオリン協奏曲 ニ長調 RV 230(Op. 3-9)による 鍵盤独奏のための協奏曲 ニ長調 BWV 972 より
34-42. ヴィヴァルディ: ラ・フォリア RV 63(Op. 1-12)
*『2つのヴァイオリンおよび通奏低音を弾くチェロのための12のトリオ・ソナタ』 Op. 1 (1710年アムステルダム刊)より(「ラ・フォリア」以外は世界初録音)
【演奏】
ル・コンソート(古楽器使用)
[メンバー]
テオティム・ラングロワ・ド・スワルト(ヴァイオリン)
ソフィ・ド・バルドネーシュ(ヴァイオリン)
アナ・ザルゼンシュタイン(チェロ)
ジュスタン・テイラー(オルガン&チェンバロ)
ヴィクトル・ジュリアン=ラフェリエール(チェロ)…1、2-5、10、11、23、26
【録音】
2021年3月、フランス銀行トゥルーズ館「黄金の間」、パリ
カテゴリ : ニューリリース
掲載: 2021年09月28日 00:00