WEEKEND JAZZ ~週末ジャズ名盤探訪 Vol.149
ケニー・ドーハム『アフロ・キューバン』(1955)
ケニー・ドーハム(tp)
J.J.ジョンソン(tb)
ハンク・モブレー(ts)
セシル・ペイン(bs)
ホレス・シルヴァー(p)
オスカー・ペティフォード(b)
パーシー・ヒース(b)
アート・ブレイキー(ds)
パタート・ヴァルデス(cga)
リッチー・ゴールドバーグ(cowbell)
1955年1月30日、3月29日録音
曲目(初出LP発売時):
01.アフロディジア
02.ロータス・フラワー
03.マイナーズ・ホリディ
04.バシュアーズ・ドリーム
05.K.D.ズ・モーション
06.ザ・ヴィラ
07.ヴェニータズ・ダンス
【アルバム紹介】
1.ラテンとジャズが融合、80年代にクラブ・シーンで注目を浴びたBN名盤
2.“静かなる”ケニーが“動”のサウンドに見事に対応したプレイ
3.メンバーはブルーノート・オールスターズによる大編成
前回取り上げましたハービー・ハンコックのアルバムはブルーノート・レーベルの傑作でもありますが、今回はケニー・ドーハムによる50年代ブルーノート名盤を紹介いたします。
本作はそのタイトルでお分かりの通り、ラテンとジャズの融合によるブルーノート初期の人気盤ですが、80年代の半ばにイギリスのクラブ・シーンでジャズDJによって1曲目の“アフロディジア”が注目を集め、クラブ・ジャズ系の名盤としても多くの音楽ファンに知られているアルバムです。
ケニー・ドーハムはトランぺッターとしてはハードにブロウするタイプではなく、このシリーズで過去に取り上げたリーダー・アルバム『静かなるケニー』(WEEKEND JAZZ ~週末ジャズ名盤探訪 Vol.56)のタイトル通り、ウォームなトーンが特徴のプレイヤーだけにここでのプレイは“動”のサウンドに見事に対応したプレイを聴かせています。
ケニー・ドーハム以外はブルーノート・オールスターズともいえる面々が顔を揃えており、ベースは前半4曲はオスカー・ぺティフォード、後半はパーシー・ヒース、またトロンボーンのJ.J.ジョンソンとパーカッションのパタート・ヴァルデスは前半4曲の参加になっています。楽曲は4曲目がバリトン・サックスのセシル・ペインの作曲以外はドーハムのオリジナルで固められています。
【スタッフのつぶやき:この1曲を必ず聴いて下さい】
クラブDJ御用達“アフロディジア”。
冒頭からアフロ・キューバン・ビート炸裂のこの曲は、先述の通り、80年代にクラブ・ジャズ・シーンで大人気の1曲となったダンス・ジャズ・ナンバーであり、ラテン音楽の勢いがあった50年代ならではの熱気がたっぷりの演奏は今聴いても色褪せていません。
イントロからインパクト大で、パーカッションに導びかれ、ピアノが軽快なリフでガンガン盛り上げていく様は聴いているこちらもいつの間にか体でリズムをとってしまいます。
こういう曲を聴いて思うのは、素直に反応できる音楽はどんなシチュエーションで聴いてもゴキゲン、ということです。
あと本作のもうひとつの魅力としては次のゆったりした“ロータス・フラワー”に続く流れも、熱気が広がったあとのクールダウン的な役目を担い、アルバムをより印象づける形になっています。
国内盤SHM-CD(一般普及盤)
国内盤UHQCD
タグ : WEEKEND JAZZ
掲載: 2021年10月15日 10:00